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ラジオ体操で健康マックス魔神

 ラジオ体操第3は、平成25年(2013年)に復刻されるまでの間、幻のものとされてきたらしい。
 
 私は最近、毎朝ラジオ体操をしている。第1から第3まで通しでやってだいたい9分前後の運動だ。たったこれだけの時間で身体のこりがほぐれたり、ウォーミングアップになったりと、非常にタイパがよい運動なのである。
 私はタイパをあまり気にしたくないのだが、それにしたって時間対効果が良すぎる気がする。タイパいいね~と表現するのが一番しっくりくる運動だ。一度みんなにもやってみてほしい。Youtubeに動画が上がっているので、それを見ながらやると良い。

 このラジオ体操、かつては『国民保健体操』と呼ばれていたそうで、ラジオで放送される曲と副音声に合わせて運動をすることから、ラジオ体操の愛称がつけられたとか。現代からでは考えられない話だが、当時のラジオといえば珍しいものだったらしく、ラジオ体操のちゃんちゃんちゃ~の音が聞こえてきただけで皆が物珍しさに集まってきたそうだ。
 更に当時は、ラジオ体操を普及させるための様々なキャンペーンが実施されていたらしい。郵便局員が振り付けが書かれたパンフレットを持参して、各地で講習会を開いていた……なんて話もある。驚きである。まぁ確かに言われてみれば、ラジオだけでラジオ体操の振り付けを想像するのは結構難しい。運動は正しい姿勢と動かし方をしなければ逆に身体を壊したりもするので、講習は必須だったのかもしれない。

 そんなラジオ体操だが、実は戦後まもなくして一時的に禁止された時期があったようだ。理由は諸説あるらしいが、”曲に合わせて一斉に体操を行う様が全体主義っぽくてヤバいんじゃね?と思われたから”という説が結構有力らしい。まぁ確かに、軍事行動の一貫ですと言われればギリ分からなくもない。

 この一時的に禁止される直前に、ラジオ体操第3は出来たのだそうだ。第1や第2と比べ、ピアノのリズムも早くなり運動もよりダイナミックなものになった第3は、この禁止期間の間にすっかりと姿を消してしまった。
 というのも、第3が出来てすぐ禁止されたものだから、みんなが振り付けを覚える暇が無かったという点と、普通に内容が難しかったという点が、消えていってしまった大きな理由なのだそう。
 実際に第3をやってみると分かるが、たしかにこれは難しい。振り付け講座とか講義がなかったら普通にわからない。音声だけでこれができる人はエスパーかなにかである。よしんばやり方を教えてもらっても、一発で覚えられることはまずないだろう難解な動きがちょくちょく出てくる。特に運動苦手な私にとっては難易度が高かった。
 というわけで、ラジオ体操第3はこの禁止期間内に自然消滅していった。
 しかしどうやら文献は残っていたようで、それを元にしてどこかのすごいえらい大学の教授とかが再現し、復刻されたのがつい最近の2013年のことらしい。
 そこからしばらくは認知されていなかったようだ。しかし、コロナ禍で日本中がご自宅待機を初めてから、運動不足に悩む人が一気に増加したのだった。さて何か良いものはないか……となったときに、ラジオ体操が脚光を浴びた。誰でもできて簡単だし、時間は短いし、かつ健康効果が高いとされているからだ。一気にラジオ体操ブームが加速し、そして第3も再び脚光を浴びることになったのだ。

 ちなみにラジオ体操は、上下半身の運動となる動きをはじめ、ひねったり屈伸したりといった基本的な運動が幅広く採用されている。全身のこりかたまった筋肉を動かしてやるにはちょうどいいという寸法らしい。
 実際にやってみると少し息があがったりもするので、呼吸の促進(有酸素運動)と消化器系の働きの改善、しかも肩こり腰痛の予防にもなっちゃうってんだから最強である。ダイエットにもいいらしい。なんなら心の病を抱えた方々の気分転換としても非常に優れているとか。
 ラジオ体操スゴイ。そこそこしっかりとした食生活と合わせると、健康マックス魔神になること請け合いだという。

 ラジオ体操スゴイ。
 みんなもやろう。

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