服は30着しか持たない

『フランス人は10着しか服を持たない』という本は、タイトルも相まってインパクト絶大でした。
10着は極端なたとえでしょうが、実際、フランス人は所得が少なめで家賃も高く、たくさん買う金銭的余裕もスペースもなく、また消費行動や価値観に特色があるのは事実のようです。

人間には多かれ少なかれ所有欲があります。
心から気に入っているものを少しだけ持つ、というのも立派な所有欲。
無制限に物を欲しがることばかりが所有欲なのではない。

私も人並みに物欲や所有欲を持ち合わせています。
素敵なものを手に入れ、大切にして、楽しみたい。 
好きなものを愛で、大切に扱う、という行為は気持ちを豊かにします。

一方で、いくら美しく自分に似合う服だとしても、ファッションモデルや着せ替え人形のように、それぞれ一回ずつしか着られないとしたら?
かなり空しいものではないでしょうか。

美味しいけれど、毎回メニューが違うレストランより、『お気に入りのあの一皿』があるレストランの方が愛着がわくというもの。

私は、10着とまではいきませんが、自分の体型やテイストに合う30着くらいを大切に着回しています。
どんなコーディネイトも思いのまま、という見事なワードローブではありませんが、これにはこれが合うのではないか?と日々工夫しながら発見しながら着こなすのは知的な作業であり、楽しいもの。
この程度なら『不便を楽しむ』のも悪くありません。

数は少なくても一騎当千の上質なものを持つ。
お財布にもスペースにも限りがあるからこその知的な楽しみだと思います。

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