この1年間のまとめ(2023年1月16日-2024年1月31日)

1月は行っちゃう、2月は逃げる、3月は去る、の言葉通り、あっという間に1月が終わってしまいました。

とはいえ、これは平和で安全な環境で過ごせていることの証でもあります。元日早々、震災の被害に遭われた方々には、謹んでご冥福をお祈り申し上げ、またお見舞い申し上げます。
このスクラップ帳でも、金沢のひがし茶屋街でいただいたあんみつの写真を掲載させていただいたことがあり、大いに胸を痛めております。1日もお早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。


さて、またしても、更新が滞ってしまっておりました。
気づけば、このスクラップ帳を始めてから1年が経ちましたが、細々ながらも継続できたことに驚いております。これもひとえに、お読みくださる方々がいらっしゃるお蔭様と、大変感謝しております。

滞り気味のスクラップでしたので、まだ昨年4月の記事の途中までしか進んでおらず、これをもって1年間の米中関係のまとめができるとは到底申し上げられない状態です。にもかかわらず、どんな記事が多く読まれたのか、をまとめさせていただきます。

第1位

最も多く読まれたのは、ジャネット・イエレン米国財務長官の米中経済関係に関する講演録でした。この講演では、米国の経済状況、中国の経済状況、米国の対中経済政策を丁寧に解説した後、グローバルな経済秩序など、国際環境にまで視野を広げた、包括的な分析と提言が示されました。以来、ほぼ1年近くが経過しましたが、いま再読しても価値を失っていない内容だと思います。この講演が行われたのは、2月に気球問題が発生し(本投稿内、第3位ご参照)、米中間のコミュニケーションが中断していた時期のことでしたが、以後、閣僚の相互訪問が漸増していくことになりました。その意味でも、同時期のサリバン補佐官の演説と併せて、米政府の対中政策の方向性を示す、重要な講演となっていました。
(なお、この記事のアクセス数は、以下の第3位の記事のアクセス数の約2倍でした。)

第2位

こちらも、いまとなっては当たり前のことかもしれませんが、中国の自動車会社が大きく成長してきたことに驚かされた記事でした。ハイブリッド車から電気自動車への転換が、日本の自動車産業に及ぼす影響は、いかばかりなのか、非常に気になります。

第3位

2023年2月のブリンケン国務長官の訪中直前に発見された、中国の偵察目的が疑われる気球について、どのような企業がその製作にかかわっていたのか、またどのような変遷を経て製作されてきたのか、などを解説した記事でした。当時、この偵察気球問題が、米中関係をさらなる悪化に導くのではないかと危惧されていました。現在でも、科学目的なのか国家安全保障上の目的なのか、などさまざまな論点が提示されており、今後新たな事実が明らかになる可能性も残されています。

第4位

このまとめでは、米中関係と日中関係は、どうやら随分と異なるのではないか、との分析をさせていただきました。その後、日中関係は少し改善されたような印象ですが、どのように推移していくのか今後も注視したいと思います。


第5位

思わぬところで、多くの方にご覧いただいたようです。お散歩の途中でひと休みされるのに、おすすめです。

第6位

このまとめでは、当方のまとめ記事及びスイーツの画像は除いた上で、アクセス・ランキングをご紹介しておりました。このスクラップ帳を始めたきっかけや、その目的などをお話しさせていただきました。もはや所期の目的は果たされたと考えております。

第7位

聞き慣れない「生物兵器防衛の態様の見直し」というタイトルの報告書に、隔世の感を覚えた方も多かったのではないかと拝察しております。1969年、ニクソン大統領が生物兵器の開発を中止した上で生物兵器禁止条約に署名し、1975年に米議会で批准されて以来、開発プログラムは停止されていましたが、2022年10月にバイデン大統領が、生物兵器の脅威を前提とした生物兵器防衛を強化する覚書に署名したことは、この問題が新たな局面に入ったことをうかがわせるものでした。

第8位

昨年末に、それより半年以上前の記事を慌てて投稿させていただいたところ、多くの方にご覧いただいたようです。台湾総統選挙の直前だったことも影響したものと思われます。選挙結果はご承知のとおりですが、早くも米議会の超党派の議員による訪台団が近く訪台を計画しているとの報道もあり、今後も目が離せない問題です。

第9位

こちらは、このスクラップ帳の投稿記事の選定方針をご紹介させていただいたものでした。繰り返しになりますが、所期の目的は無事果たされました。これからは、また別の選定方針で投稿させていただきたいと存じます(後述)。

第10位

これまで、徐々にアクセス数を伸ばし続けてきた長寿記事です。日本のアニメやゲームが、ソフトパワーとしてその価値を発揮する反面、それに付随する問題もあることが喚起されました。

以上が、この1年間の投稿記事の中で、アクセス数が多かった10本のご紹介でした。

この1年間の米中関係を振り返りますと、意外にも非常に柔軟な側面があったことが思い返されます。果たされなかった2月の米国務長官の訪中までは、その前年のAPEC におけるバイデン大統領・習近平国家主席の会談以来、両国関係は関係改善・強化の基調の上にありましたが、スパイ気球の出現により一気に冷却化しました。しかし、悪化の一途を辿るやに思われたその2か月後には、イエレン財務長官による訪中があり、これが諸閣僚の相互訪問の嚆矢となりました。また、閣僚だけでなく、ビル・ゲイツ氏や故ヘンリー・キッシンジャー前国務長官など、中国との関係におけるキーパーソンが次々に訪中し、関係悪化を防ごうとしていたことが印象的でした。日中関係と比べると、米中関係におけるコミュニケーションのチャンネルが豊富であることを再認識させられました。駐中国の米大使、駐米の中国大使のツイート(現X)も、協調面を強く打ち出しており、対立面の傍らで堅くも機能する友好関係(の演出?)に驚かされました。そのようなガードレール効果のおかげか、2023年のAPECにおいても前年同様に米中首脳会談が開かれ、ふりだしに戻った感があります。

もっとも、このような外交が、構造的な対立をどの程度緩和させることに寄与しうるのか、は議論の分かれるところだと思います。個人的には、これまで米中関係は、幾度となく対立激化が懸念されては、別の事件の発生によってそれが回避されてきたことが常に念頭にありますが、この1年の推移もその法則に則ったものに見えていました。これについては、またいつか稿を改めて、書かせていただきたいと思っております。

そもそも、このスクラップ帳を始めるきっかけとなりましたのは、「米中関係は対立面だけではない」との強い違和感を抱いたことによるものだったのですが、半年後くらいには、協調面も多く論じられるようになり、(もちろんこのスクラップ帳の影響力など微塵もないながら)日本社会の柔軟性に勝手に感動させていただいておりました。願望や主義主張に囚われてしまうと、どうしても協調面を認めたくないとの思いから、そうした事実を否定したくなってしまうのは仕方がないことだったのかもしれません。

本スクラップ帳は、ある意味でノンポリであり、「対立してほしい」または「協調してほしい」という願望は一切なく、また「対立すべきだ」や「協調すべきだ」という主義主張もありません。もし主義主張があるとすれば、「不都合な事実であっても、それを見逃さないようにしたい」というものです。そのため、対立面にも協調面にも目を配って、これからも細々ながら投稿を続けさせていただきたいと思っております。(あえて申せば、国益重視、という一言かもしれません)

そして、その選定方針についてですが、このスクラップ帳を始めた当初とは異なり、もはや本業で手一杯になっている以上、すきま時間の確保が出来ず、最新情報の投稿が難しくなってしまいました。そのため、日々のニュースについては重要なもの(と勝手に判断させていただいたもの)のみの投稿にとどめ、もう少し長いスパンで刊行される報告書などに重点を移していければと思っております。

というわけで、以下に、これまで投稿の元となっていたメールマガジンをご紹介させていただき、その埋め合わせとさせていただきたいと存じます。

メルマガその1
「USCBC News Overview」(US-China Business Council)
以下のURLからメルマガ購読のお手続きをしていただけます。(無料)https://www.uschina.org/china-hub/subscribe-uscbc-news-overview

メルマガその2
「China & the Hill」(NCUSCR)
こちらも、無料のメルマガを配信してくれます。(無料)
https://go.ncuscr.org/subscribe

メルマガその3
「AmCham China Newsletter」(AmCham China)
同様に、無料のメルマガで、最新情報が配信されます。(無料)
以下のサイトの一番下に、お名前とメールアドレスを入力する欄があり、メルマガ購読のための登録をしていただけます。
https://www.amchamchina.org/

メルマガその4
「Stay up-to-date on our latest research」(Rhodium Group)
最新の報告書の情報が配信されるメルマガに、以下のサイトの一番下からご登録いただけます。
https://rhg.com/

という訳で、もっと早くお知らせすべきでしたが、遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。当方としましては、日本の中に、一人でも多く、ファクトを把握している方がいてくだされば、との思いが強くあります。
このような考えの大元には、やや飛躍がありますが、物量で遠く及ばない米国に、なぜ戦争を仕掛けなければならなかったのか(さまざまな議論があることは承知ですが)、客観的な情報や分析が共有されていなかったのではないかとの思いがあります。

幸い、インターネットで諸外国の情報を容易に入手することが出来る時代になり、リソースが信頼に足るものか否かは注意しなければならない点ですが、それを活用しない手はないと思うようになりました。情報が何より重要となっている昨今、質量ともに情報収集とその分析の向上が必須であると愚考いたしております。

この愚考を共有していただける方がいらっしゃる限り、相変わらず細々ながら、これからも継続させていただきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。