精神科の基本




 精神疾患の分類は、表に現れた症状を基に分類しようとする方法と、

 そうした症状が、生じる原因となっている、病因を基に分類しようとする二つの方法がある。


 簡単に言えば、だ。


 現在の、精神科医療では、当然、が、採用されている。つまり、特徴的な、症状に焦点を当て、診断をしていく。


例えば、

 気分の落ち込み、食思不振などがあればうつ病、不安が強くなっている場合には不安障害、みたいな感じだな。


 なぜ、が採用されないか、それは、一部を除き、ほとんどの精神疾患は、原因を究明できていないからだ。


 つまり、中心となっている症状を頼りに、診断をしていくしかない。我々、精神科医は、未熟だ。


 大脳生理学は、不可解な部分が多く、人間が人間である以上、大脳を、完全に解明することは、できない。


 そして、この症状から診断をしていく、方法は、決して、”単一の原因”を示唆しているわけではないため、医師により診断がブレてしまう。


 骨折とか、癌とか、不整脈とか、そう言った、分かりやすい指標は、ない。精神科医療は、毎回、初見殺しだ。


 しかし、良い側面もある。


 それは、患者様に対し、唯一無二の治療を、提供できること。決して、”画一化”されることはない。


 精神症状に加え、その方の人格、身体症状、ストレス要因、社会機能、家族関係、経済状況など、

 それらを、多面的に評価し、患者様を、全体的な人間として、捉え、多元多軸診断を行う。

  そして、患者様が、今、直面している問題に、焦点を当て、

 解決へ導くことにより、患者様自身も、人として成長し、現状を乗り越えていくことができる。



 そう言った、複雑な、やりとりが診察では行われている。


 精神科医は、冷静に、淡々と向き合い、状況を見極め、あらゆる悩みを解決していく力が必要だ。


 面接の場で、いかに相手を知ることができるか、それこそが、精神科医の真骨頂である。

 ちなみに、

私は、その人の”顔”を見れば大体のことは分かる。

精神科医ましろ


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