大好きな人との別れと アキレス腱が切れる時の音は多分似ている
強盗が言った イツカを出せ。 強盗が言った イツカを出せ。 その目は揺れている その目は怯えている 強盗が言った イツカはどこだ。 強盗は泣いた イツカはいらない。 強盗は言った イツカはいらない。 強盗は知ってる イツカは来ると 強盗は言った キミニアイタイ
きみはラムネ型隕石 宇宙の暗がりを猛スピードで駆けてきた 暗いのは怖いです。 静けさに飽きたのです。 それできみは遥か彼方から 光の如く飛んできた きみとの衝突 億光年の交信、無音の共鳴 束の間の閃光 キーンと耳鳴り、潤む砂埃 胸突き、脳揺らす宇宙のエネルギー 確かにきみはここに落ちてきて 立派な穴をつくったんだ 世界遺産になるような でもきみはラムネ型隕石 シュワシュワ溶けて、地球に消えた。 残ったのは穴 残ったのはきみの型 あぁ、ほんとうにサヨウナラ?
牛乳は白い なぜ白いのか、なんて考えた。 脂肪か、カルシウムか。 光に反射して白く見えるのだと ガゼインミセルは言う。 その白さがガゼインミセルだろうが、 シロインミセルだろうが、多くの人にとってはあまり問題でない。 その成分が何であるか、牛乳も多分知らない。 自らの白さの理由を忘れて この白さこそ私だと、 みずみずしく並んでいる。 私もそう。君の存在した事実も忘れて、 初めからそうでした、という顔をして 平凡な社会の一員をやるのだ。 その身に、君の流れるのを忘れて。 君
それが人生だから。仕事だから。恋だから。人間だから。そういう言葉、潔さ、諦念みたいなものが嫌いだ。嫌いというか、そうした思考を身につけるだけの余裕がない。だから諦めろ、だから仕方ないじゃないか。だから苦しくても耐えるしかない。だからだからだからだから。こうした言葉たちに抵抗したくなるのは、反抗期の人間がすることなのだろうか。若いから仕方無い。そういう時期もあるものだよ。何かを受け入れて、私の遥か先にいる賢い人たちは、そうやって諭すのだろうか。断定するなと叫びたい。でも、そんな