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『アンビュランス』

粗筋

 帰還兵のウィルは妻の治療費を賄うため、兄ダニーの許を訪れる。ダニーは高級車ディーラーを隠れ蓑に、幾度となく銀行強盗をこなしてきた悪党だった。犯罪への加担には乗り気ではないウィルだったが、背に腹は代えられず一味に加わる。
 本来なら完璧にこなせるはずだった仕事だが、現場に警官が居合わせたことで大混乱に。2人は救急車をジャックし、負傷警官・救急隊員を人質にLAの街を疾走する。


 観る拷問でした。

 ベイ映画ゆえ、多少の見づらさは覚悟していた。異常に短いショット、奔る車を上下左右から回り込むカメラワーク、爆発やアクションでの急なズーム・カメラパン…。織り込み済みのつもりでした。でも、全編その調子なんです。
 気が休まるシーンがない。会話シーン、場面転換といった見せ場と見せ場を繋ぐシーンですら、「ベイヘム」イズムで通してしまっている。監督の前作にして大駄作の『TF/最後の騎士王』ですら、会話シーンはフィックスに近い画で撮っていたのに。
 おまけにNoCGI・実景に拘るあまり、カメラが小刻みにブレるブレる。

ベイも、撮影監督も…(中略)…救急車の中にこもって撮影するという緊迫感と切実さを好んだからだ。

パンフより

ってあるけど、なら対比的に静かなシーン置いて?この映画、メリハリないんすよ。
「メリ・ハハハハハハハハハハハハハハハ・ハリ・メリ」で140分通されるのはキツい。

 ドラマ部分も、個人的には評価出来ないかなあ。リアルタイム群像劇なのに、キャラが後出しでどんどん増えていくんですよ。強盗・救急隊・巡査のほかに市警警部・医者・FBI・ギャングが登場する。
 導入パートで全員さりげなく出しつつ、それとなく組織・人間関係を提示して欲しかった。後々にアクションの舞台となる銀行・コンクリ河底・スラム街などを最初で映しながらね。
 

 緊急手術シーンの拘り、追跡攪乱作戦のアクションなど、文句なしに楽しいシーンはある。でもこの作り・この尺は僕には不向きでした。オリジナルのデンマーク映画、『25ミニッツ』を知れたのが唯一の収穫。

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