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子育ての隣に本② 「ブックスタート事業」がとても良かった話

「赤ちゃん絵本」の良さって、難しくないですか!?

今回は子どもの絵本……の中でも、子どもたちが人生の最初のほうで出会う「赤ちゃん向け」の絵本の話です。

ちなみに、皆さんは絵本の読み聞かせは好きですか?
私は大好きです! 今でも、毎晩息子にせがまれて読んでます。もともと私自身が絵本好きなので、絵本は息子との「共通の趣味」かもしれません。

とはいえ、「赤ちゃん向けの絵本」となると話は別でした!
妊娠中に書店で赤ちゃん向けの絵本を手に取ったりしましたが、どう楽しんでいいのかが、さっぱりわからない!!

一番の理由は、物語がないこと。
こういうのが赤ちゃんには刺さるのかな? しかし、どのテンションで読んだらいいんだ……。さっぱりピンとこず、結局何も買わずじまいで出産を迎えました。


市の「ブックスタート事業」で、赤ちゃん絵本の魅力に開眼

でもその後、息子が生後半年を迎えた頃、自治体の「ブックスタート事業」を通じて私は知るのです。保育のプロが読むと、赤ちゃん絵本は俄然面白い!!ということに。

ちなみにブックスタート事業とは、ごく簡単に言うと、乳幼児が絵本に親しむきっかけを行政がつくる取り組みのこと。
「絵本を読んであげる」「絵本をプレゼントする」をセットで行うのが基本で、日本では2000年頃から取り入れられていったようです(ちなみに起源はイギリス。NPOブックスタートのホームページに詳しい説明があります)。

多くの自治体では、0歳児健診の際に絵本タイムを設けるといった形でブックスタート事業を進めているようですが、私が住んでいる市では、生後6カ月を迎えた子どものいる家庭を保育士さんが訪ねてくれて、赤ちゃん向けの絵本を2冊朗読してくれました。で、どちらか気に入ったほうの絵本がもらえました。

そのときにいただいたのが、『だっだぁー』(ナムーラミチヨ、主婦の友社)です。わが家で最初の「息子用」の絵本となった、記念すべき1冊です。


意味を超えて本能を刺激する『だっだぁー』の顔たち

『だっだぁー』を開くと、左ページには粘土でつくられたいろんな表情の謎の顔(人間のようでもあり、異世界の生き物のようでもあり)が登場し、右ページには「だっだぁー だらっ だらぁー」「ぎーじ いーじ ぎーじ いーじ」など、喜怒哀楽を感じさせる音とリズムを持つ謎の言葉が書かれています。

それを保育士さんが臨場感たっぷりに読んでくれるのですが、ほんとプロの方の朗読は素晴らしかったです!!
発声もいいし、声の表情にメリハリがあって、言葉の意味を超えて本能が刺激される感じ。これが赤ちゃん絵本なんだ!と体感できた貴重な時間でした。
息子もガン見。「あっ、あっ」と対話(?)していたような記憶があります。何かが呼び覚まされたのかもしれません。

あと、ビジュアルもかわいい。丸っこい粘土の顔は、表情がはっきりしているけれど、キツくなくてひょうきんで、どれもいい人(?)そう。

温かみのあるくっきりとした色2~3色くらいで構成されていて、視覚的な情報量は少なめ。でも、単調じゃない。このバランス感覚が絶妙だなぁと思います。


赤ちゃんも前のめりになるシズル感! 『くだもの』

そのときもう1冊読んでもらったのが、赤ちゃん絵本界のロングセラー『くだもの』(平山和子、福音館書店)でした。

左側には身近なフルーツの絵(リンゴとかさくらんぼとか)、右側には「さあ どうぞ」の言葉とともに、お皿に盛られている絵や、食べやすく切ってある絵が描かれています。

この絵が本当に美しくておいしそう! 「本を見た赤ちゃんたちも、思わずつまもうとすることがよくあるんです」と聞きました。


今はもうビリビリ。息子と私の絵本ライフはここから始まった

それまでの私の好みでいくと、絵の美しさで『くだもの』を選んでいたと思うのですが、あえて自分では選べなかっただろう『だっだぁー』にしました。
自分が朗読するのは、結構勇気がいるな……と思いもしたのですが、あの日体験した本能的な楽しさを、もう一度味わってみたい気がしたのです。

ノリノリで読んでみると息子の反応もあったりして、それにしっかり声を出すのって、ちょっとしたいい運動にもなったりするので、読み聞かせの楽しさを教えてくれた最初の本になりました。

息子がページをわしづかみして、ビリビリに破れてしまったページもあります。息子と絵本を楽しむ日々は、ここから始まりました。


証拠写真。本のカバーはむしり取るのが当時の息子の流儀でした


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