【逆転裁判4 感想考察③ 】牙琉霧人を外堀から考える
あんこです。
いや〜遂に来たな、この男について書く時が…
もうこの下からネタバレしかないので逆裁4が途中・未プレイの方は戻ってください。
牙琉霧人。
逆転裁判4をプレイした人なら、
ほぼ確実に「あーあいつね」となるだろうキャラクター。
先にハッキリ書いておく。
牙琉霧人、私はまだコイツを理解出来ていない。
なんと言っても情報が少ない。
最後まで解錠出来ない黒いサイコロックを胸に秘めているぐらい、自己開示しない人間だ。
その割に最後のブレイクを始め、
随所のインパクトはめちゃくちゃ強いので
その印象で終わってしまうことも多い。
…というか暈さずにいうと、ほぼネタキャラと化しているような面も強い。
が、改めて考えれば考えるほど
「こいつ何だったん…?」のドツボにハマる(少なくとも私はハマっている)、何とも難しいキャラクターだ。
正直まだ頭の中で全然整理がついていない。
やり直せばやり直すほど「この言動って…」となってしまい、印象がコロコロ変わる。
なので今回は牙琉霧人について纏める…というよりは、
私の頭の中をまとめる為に牙琉霧人について書いていく。
そのため展開がぐちゃぐちゃになることも多いと思う。
先に謝っておきます。ごめんなさい。
⚠️今まで同様、逆転裁判1〜4(蘇る逆転含む)までの全てのネタバレを含むので注意。未プレイの人は回れ右でお願いします⚠️
ちなみに当方は
・逆転裁判1〜4 : 何周もプレイ済
・逆転裁判5 : 1周のみ(ほぼ記憶なし)
・逆転裁判6 : 未プレイ
の状態です。
牙琉霧人
牙琉霧人は序盤も序盤、1話から登場する弁護士だ。
パッケージにもいるぐらいなので、
本作のメインキャラなんだなぁとプレイ前から察する人も多かっただろう。
そんな霧人はオドロキくんの師匠にあたる。
逆裁1〜3における、ナルホドくんにとっての千尋さんのポジションだ。
1話では一緒に弁護席に立って、
初法廷で頭真っ白になっているオドロキくんにいろいろと教えてくれる。
2人のやり取りを見ていると、既に割と仲が良さそうだ。普通に微笑ましい。
とはいえ師匠となると頭に過ぎるのは1-2の展開だ。
千尋さんのように途中退場しちゃうのかな〜
展開被るし流石にないかな〜と思ったりして
いたのだが…
1話 : 真犯人
裁判が進むと状況は一変。
牙琉霧人が被害者・浦伏影郎を殺害した真犯人であることが判明する。
オドロキくんは初めての法廷で、自分の師匠の罪を追求することになる訳だ。
しかも被告人のナルホドくんとの間に挟まれながら。
そんなんさすなよ弟子に。
余談だがこの4-1話、逆裁1〜4の1話の中でダントツに難しかった。
初プレイ時は、よくオドロキくんついていけてるなぁと思いながらテキストを読んでいたのを覚えている。
頭爆発しそうになった。
そして捏造の証拠品によって自分の犯行を立証され、霧人はあえなく緊急逮捕されることに。
こうして事件は解決し、
牙琉先生はオドロキくんの前から去ることとなった…
…のだが、この時点でモヤモヤした方は多かったのではないだろうか?
なんと言っても、残った謎が多すぎる&デカすぎるのだ。
・なぜ捏造した証拠品について追求しなかったのか
(どうせ捕まるならそこを掘り下げても良かったのでは)
・なぜ動機その他諸々が判明していないのに犯行を認めたのか
などの「それ事件の根幹じゃね?」を置き去りにしたまま、
霧人は自身の犯行を全て認めてしまう。
変な言い方にはなるが、犯人としてはまだ全然粘れるはずなのだ。
逆裁1〜3でも「私には動機がない!」の一点張りで、審理を粘った真犯人はいくらでもいた。
しかし、霧人は
とめっちゃ意味深な言葉を残して、多くの謎を残したまま1話は終わる。
まぁこのセリフの時点で「こいつまた出てくるやろ」感は満載なのだが、
それを差し引いたってモヤモヤは残る。
ちなみに霧人はこの1話で捕まることもあり、
2.3話では出てこない。
再登場するのは最終話の4話となる。
4話 : ラスボス
結論から先に言ってしまう。
牙琉霧人が逆転裁判4におけるラスボスだ。
4話では霧人がここ7年間で犯してきた罪が総ざらいされる。
まとめると、
〇7年前
・弟・響也の検事としての初舞台かつ兄弟初対決の場で、
偽造した証拠品を使って無罪を勝ち取ろうとした
・裁判直前に依頼人・或真敷ザックに担当弁護士をクビにされ、
用意した捏造の証拠品を罠として使うことを画策し、響也に情報をリーク。
成歩堂弁護士の弁護士バッチ剥奪を仕組んだ。
(その際に、まだ幼いみぬきちゃんを巻き込む)
・例の証拠品の作成者である贋作師の絵瀬どぶろくさんと絵瀬マコトちゃんを毒殺しようと目論んだ。
(当時は偶然により不発に終わった)
〇現在
・浦伏影郎=或真敷ザックを撲殺。
・7年前の毒殺の罠(切手とマニキュア)が使われ、
絵瀬どぶろく氏は死亡。絵瀬マコトちゃんは意識不明の重体に陥った。
かなりやらかしてる。ギルティ。
そしてこれらの罪は、4話で
弟子・王泥喜法介 と 弟・牙琉響也によって、
ナルホドくんが用意した舞台=裁判員制度の試験運用の場で暴かれた。
じゃあ全てが解決!万々歳!!…とは言いきれないのも事実だ。
というのも、霧人は最後まで犯行の全てを自供しない。
結局ザックさんの撲殺の動機も語られないし、
狩魔豪や巌徒局長、ゴドー検事のように、
全てを暴かれたあと内面を吐露するシーンもない。
法廷では「口封じ」「名声のため」と結論づけられてはいるが、
これはあくまでオドロキくんや響也が主張したものであり、
霧人本人が語ったものでもない。
そしてそのまま何も開示せず「認められぬ」まま、霧人は「アンタはもう必要ない」と断罪されて4の物語は終わる。
そのため、霧人の過去や内情については殆ど言及されないままエンディングとなってしまう。
本来5以降で触れられる予定だったのかは何とも…だが、にしたって情報が少なすぎる。
実際のところ、真犯人なのに・証人席に2度も立たされているのに、
1.4話で霧人がした証言はたったの2回のみだ。
そして何度も言うが黙秘ばっかりする。
分かるかこんなもん。
そのため霧人について考えを深めるのは手段がかなり限られる。
彼のセリフや挙動から彼の内面を推察するのは後のお楽しみにとっておくとして、
今回の記事では「物語における彼の立ち位置」や「与えられたピース」、
つまりあくまで外堀から推察していこうと思う。
逆裁1〜3・4のアンチテーゼ
上で霧人の一連の犯行を並べたが、何か引っかからないだろうか。
実は、霧人は逆裁1〜3で築き上げた土台や信頼関係を尽く踏みにじっているのだ。
では逆裁1〜3では主に何が描かれたのか。
①弁護士と依頼人の信頼関係
②親友の信頼関係
③弁護士と検事の信頼関係
④師弟関係
⑤姉妹(家族)の信頼関係
⑥弁護士としての責務
…詳しく書くとキリがないので主な物だけにしておくが、列挙すると大体こんな感じだ。
で、これに霧人の行動を当てはめると
・弁護士と依頼人
→依頼人・ザックさんの弁護士への信頼を破壊し最終的に裁判は未結審で終了。挙句の果てに撲殺
・親友
→ナルホドくんを「親友」と呼びながら、ナルホドくんの弁護士バッチ剥奪の主犯であり、ナルホドくんが許せないと語る「毒と裏切り」に手を染める
・弁護士と検事
→ナルホドくんが捏造証拠を用いたとすることで、牙琉検事に弁護士への不信感を与える
・師弟関係
→オドロキくんの初法廷を真犯人としてめちゃくちゃにし師や職場を失わせる
・(霧人の場合)兄弟関係
→弟の初法廷で捏造証拠を画策し、「正々堂々と戦いたい」とした響也の気持ちを踏みにじる
・弁護士としての責務
→捏造の証拠品を用意し、紆余曲折を経て法曹界に闇をもたらす
になる。あまりにも酷くない?
しかも、よりにもよってこれを「弁護士」という立場でやってのける。
1〜3好きとしてはあんまりにもな所業だろう。
さらに言えば、霧人は4の肝すら否定していく。
4ではオドロキくんの能力である「みぬく」に焦点が当てられる。
これもざっくりいうが、みぬくとは「相手のクセをみぬいて嘘を暴く」行為だ。
そして真実へと至る道への突破口とする…といった流れで、この能力は使われる。
しかし、霧人は反対に人のクセを利用することで殺害を実行しようとする。
その筆頭が、言わずもがな「緊張すると爪を噛む癖がある絵瀬マコトを殺害するため、アトロキニーネを混入したマニキュアをプレゼント」したことだ。
いい加減にしろ。
さらに何が最悪かというと(まだある)、
霧人が表向きは真っ当な弁護士を装っている事だ。
実際霧人は、1話時点では「超一流の弁護士」「最高の弁護士」「名高い弁護士」「恐ろしいほど優秀」とめちゃくちゃ持ち上げられる。
それほど、これまでの裁判での弁護士としての立ち振る舞いは良かったのだろう。
実際弟子のオドロキくんも、「最も尊敬している先生」と人物ファイルで説明しているし、
悔しいかな、真犯人として告発される前の師匠としての振る舞いは至って優秀だ。
また、上にも書いたが霧人はナルホドくんを「親友」と呼ぶ。
ナルホドくんの弁護士バッチを奪うきっかけを作ったのは霧人にも関わらず、である。
しかも捏造証拠を使った成歩堂弁護士に「厳罰処分」をと全会一致した場面では、
霧人はただ1人その処分に異議を唱えたらしい。
何度も言うが、ナルホドくんの弁護士バッチを奪うきっかけを作ったのは霧人にも関わらず、だ。
この「ただ1人ナルホドくんの味方となった」という意味では学級裁判の際の御剣と同じ行為をしている訳だが、
その背景はあまりにも残酷だ。
…こういった感じで、
霧人は表向きは良い先生・良い親友・良い弁護士を装いながらも、
とことん1〜4を逆張りしていく。
そのため一見(といっても1話中盤までだが)優秀な良い人に見えるのに、
やってることは最悪という何ともフォローしづらいキャラクターになっている。
そう考えると霧人は1〜3の背景を経たからこそ生まれたラスボスであり、
1〜4のアンチテーゼとして描かれた霧人が「もう必要ない」と切り捨てられる結末は、
新章開廷として開発された4だからこそ描けたものなのかもしれない。
…そしてそんな悪の所業をやってのけた彼に懐いていた、当時の幼いマコトちゃんはこう語る。
悪魔
霧人を特別証人として呼び、「みぬく」のは4話だ。
そしてその際、オドロキくんは霧人の手に「悪魔」が現れた瞬間を目にする。
この時殆どのプレイヤーは、
マコトちゃんが毒によって倒れる際に「あくま」と零したことを思い出したのではないだろうか。
牙琉霧人は天使ではなく悪魔だったのである。
ちなみにオドロキくんが「悪魔が現れた」と表現した理由として、
手の甲にある傷が悪魔と見える一助となっていることが挙げられる。
これは本編では描かれていないが、
4の公式ガイドブックに以下のような記載がある。
これを言葉通り受け取ると、
最後まで明かされなかった霧人の動機の奥には、
過去の牙琉兄弟が経験した出来事が大きく関わっていると考えられる。
サイコロックが出現する時、
「悪魔」が宿った時と同じ仕草をしているのも何だか意味ありげだ。
霧人が過去に負った傷が悪魔が宿る元凶となったと考えると、
概念的に言えば「霧人は元々悪魔だった訳ではなく何かきっかけ(傷)があって悪魔に魅入られた」と言うことも出来る。
そもそも悪魔とはなんなのか。
Wikipediaからの引用だが、こう書かれている。
要は悪魔は最初から悪事を働いていた訳ではなく、
元は天使だったのだ。
霧人がここまで堕ちてしまったのは「牙琉兄弟の泣けるエピソード」があったからかもしれない、という推察と合わせて考えると、
もしかしたらその前までは、純粋に「法」を信用していた霧人もいたのかもしれない。
そして"何か"が起きて暫く経った現在、
犯罪を犯し法の逃げ道を探しながらも「法が絶対だ」と語る矛盾を抱えながら、
そこからは目を背ける人間となってしまったのかもしれない。
そんな矛盾を抱え「法」に固執する霧人が、
名前に「法」を持ち、「真実を追求する」弁護士であるオドロキくんが弟子としたのも、
なんだか勘ぐってしまう。
そう考えると何とも味のあるキャラクターだなぁと。
しかし、こうまで考えてはみたが、
本編で彼がこうなった過去や理由については全く語られないので、結局妄想の域を出ない。
先程も書いたが、霧人はこの「動機」については頑なに語ろうとしない。
なにせ、絵瀬親子の毒殺について問題となる4話法廷では
「この私がなぜ、絵描きを殺害しなければならないのですか?」
と動機を尋ねたのに対し、
1話のザックさんの撲殺に関してだけは深堀しないまま、
それどころか「私には動機がない」と主張すらもしないまま、
逮捕を受け入れるぐらいだ。
それは彼の高すぎるプライドによるものなのか、
トラウマがすぎて直視を避けているためなのか。
潜在意識か顕在意識かすらも謎だが…
…兎に角、
霧人が「ザック氏を撲殺した真の理由だけはどうしても明かしたくない」ことだけは確実らしい。
黒いサイコロックを秘めているだけあり、
何か相当なトラウマとなっているのかもしれない。
そのトラウマを解決できないまま葬り去られた、と考えると、少し可哀想にも思えてくる。
中央刑務所 「13」号独房
1話の逮捕後、霧人は13号独房に収監される。
この13という数字、見覚えがないだろうか。
1話で問題となった「K(キング)=13」のカードだ。
恋の禁固刑・13年が過ぎった方は僕と握手。
1話の霧人は、
AのカードをKのカードとすり替えたことがきっかけで逆に隙を作ってしまう訳だが…
トランプにおけるカードの強さは「A>K」で、
基本的にKに勝てるカードはAだけだ。
さらに、ナルホドくんが証拠として採用した「スペードのA」は何よりも強いカードであり、
「死のカード」とも呼ばれている。
「あるまじき」5枚目のAのカードをKのカードにすり替えたことが致命的なミスとなり、
スペードのAによって霧人は敗北した、
と考えると何とも綺麗な勝負である。
そもそも、日本ではトランプと言えばカードそのものを指すが、
英語では異なり「切り札」という意味を持つ。
さらに「trump(トランプ)」は、
「勝利」という意味の英語「triumph」が語源だそうで。
正に「逆転の切り札」だったわけですね。
もっともっと言えば、トランプのAは「Ace」…
つまり最高や一流の意味を持つ。
逆転裁判の英語版タイトルが「Ace Attorney」なことからも分かるだろう。
さらに、スラングでは「親友」の意味もあるらしい。
ちなみに霧人がスペードのAの代わりに入れ替えたのは「ダイヤのK」だ。
調べたところ、トランプには各スート・数字に意味があるようで、ダイヤのKは
…なんだそうだ。ここまでくると興奮してきたな。
…さて少し話は逸れたが、
こんな感じで、霧人には度々「13」が付き纏う。
公式ガイドブックによると、霧人のデザインの影テーマとして「ファラオ」があったようで、
こちらもファラオ=王(キング)=13と考えられなくもない。
ブレイクモーションにも影響があったようだ。
この「13」という数字は、
ご存知の方も多いだろうが「忌み数」にあたる。
ここでは不吉の象徴程度に思っていただければ充分だ。
特にキリスト教神話においては、サタンは13番目の天使であるそうで。
さらに、サタンはよく「憤怒を司る悪魔」と言われる。
ここで4の公式ガイドブックを思い出していただきたいのだが、
霧人の表情パターンはそのほとんどが「怒り」関連で占められている。
上で「霧人は悪魔だった」「過去は天使(純粋)だったかもしれない」件について書いたが、
偶然なのか必然なのか、ここにも繋がってきたりする。
ちなみにサタンは、
らしい。
蛇…というとファラオ(蛇形記章)が、
竜…というと牙「琉」も成歩堂「龍」一も浮かぶわけで。
さらに、英語版逆裁4でのマコトちゃんの発言を見てみると
この悪魔は「the Devil」と訳されている。
ご存知の通り「devil」は悪魔の意味で用いられる英単語だが、
どうやら「サタン」の意味で「デビル」と英語で言う時は、
「The Devil」と"the" を使い、さらにdを大文字にするらしい。
そこを踏まえると、
(あくまで英語版のだが)マコトちゃんは霧人から「サタン」を見出した、とも推測される。
…とこのように、
「悪魔ひいてはサタン」と「13」、牙琉霧人が繋がることがやたらと多いのだ。
正直確証は無いし、どこまで狙って設定されているのか、
逆に私が見落としている要素がまだまだあるかも分からないが…
少なくとも、牙琉霧人に意図的に「13」が与えられているのは間違いなさそうだ。
ちなみに「13」について調べていて、
個人的に最も衝撃を受けたのは以下の話。
これをどう受け止めるかは個人の裁量によるところだが…
霧人の罪が全て立証されれば逆裁世界では死刑も有り得るレベルだということ、
「アンタはもう必要ない」と断ぜられたこと、
最後のナルホドくんの「人はそう簡単には死なないものです。生きることに価値がある限りは」のセリフ…
あれこれがフラッシュバックしてはロジックが繋がってしまい、
辛すぎるので、そのうち私は考えるのをやめた。
月桂樹
さて、半年ほど前に「逆転裁判456 王泥喜セレクション」が発売されたわけだが、
キーアートは見られただろうか。
パッケージ版で見るとタイトルと重なっているため分かりづらいのだが、
一枚絵で見ると霧人もいることが分かる。
で、霧人の周りには植物が添えられている。
植物に明るい知り合いに聞いたところ、
恐らくこれは「月桂樹」の可能性が高いそうだ。
「ローリエ」と言った方が「あぁあれね!」とピンと来る方も多いかもしれない。
問題なのは、月桂樹とはなんぞや?ということだ。
とりあえず月桂樹の花言葉を調べてみた。
オタク所作あるある。
これ耐えられます?
私は無理でした。初見の時、暫く放心したのを覚えてる。スッゲェ。
1つずつ見ていこう。
まず花の花言葉である勝利、栄光、名誉、裏切り、不信…
あからさまに、4で描かれた霧人そのものと言っていいだろう。
まぁここは問題ない。(そうかな?)
私に特にぶっ刺さったのは、葉の花言葉である
「私は死ぬまで変わりません」だ。
上でもチラと触れたが、
霧人と歴代真犯人たちを比べると決定的に異なる点がある。
それは最後まで「認められぬ」ことだ。
さらに、逆裁で「プライド」「カンペキ」と言えば狩魔親子が思い出されるが、
霧人は冥ちゃんのように変わることも出来なかった。
つまり、霧人は1〜3でのキャラクターたちとは打って変わって、
何も認められないまま、何も変われないまま役割を終えてしまう。
そういう意味でも、これまでの敵と比べるとかなり異色だ。
4話裁判終盤、つまり霧人のブレイク後、
霧人は弟の響也とサイバンチョにこう説かれる。
法を絶対とし、一般市民を愚かと断じ、
過去に囚われ、「認められぬ」まま役目を終えた牙琉霧人とその末路。
この深淵を「私は死ぬまで変わりません」で改めて証明されたように感じて、
私はこの花言葉に五体投地する勢いだった。
しかもよりにもよって、
霧人の周りには月桂樹の花よりも葉の方が多いんですよね。あんまりだ(褒め言葉)
最後に、「月桂樹は古代ギリシャやローマでアポロンの聖なる樹として崇められていた」の件だが。
アポロンはギリシャ神話の太陽神だ。
真実と予言を司る神と言われている。
そして王泥喜法介の英語版の名前でもある。
ここで師弟関係まで持ってこられると、
流石に心にクるものがある。
「特に、勝者や優れた人物、大詩人の頭上に月桂樹で作られた冠の「月桂冠」を戴くことは、最高の栄誉とされていました」
の部分も、なんだか例のシーンを思い出さないだろうか。
もはや「霧人って月桂樹から生み出されたんじゃね?」
と思ってしまうぐらいにはピッタリで、逆に怖い。
さらに、月桂樹が霧人に重なるように配置されているのに対し、
弁護士バッチのモチーフにもなっている向日葵は霧人の横に置かれている。
しかも露骨に、向日葵は霧人の方を向いていない。
霧人は弁護士として「やってはいけないこと」をした上に、
向日葵は太陽に向かって咲くとも言われているため、
4で「闇」を担当した霧人の方を向かないのはある意味当然と言える。
こんな…こんな対があっていいのか。
もうなんというか、胸いっぱいである。
4が発売された2007年からもう17年も経過したが、
今のところ牙琉霧人の情報は一向に明かされていない。
そんな折りに急に月桂樹という爆弾を落とされたので、
私は心が追いつかなかった。
本当は「本来用意されていた設定を少しでもいいから公開して欲しい」と思ってしまうのが正直なところだが…
兎に角「これを描いてくださってありがとうございました」の気持ちでいっぱいだ。
総括
今回は牙琉霧人を外堀から考えてみた。
本当は同時にセリフや言動から彼について考えてみようとも思ったのだが、
予想以上に文字数がいってしまったのでまた別の記事で書くことにする。
正直、初プレイ時は私は霧人が憎かったし、
バカにしていたところもあった。
なんだったら「嫌い」まであったと思う。
が、歳をとり改めて霧人の言動を見て
「コイツめちゃくちゃ複雑では?」と思ってから急に見方が変わるようになった。
…まぁ変わったはいいが、全く理解出来ていないのだが。
そして未だに「許せねえ!!」とブチギレる時もあるのだが。
でもだからこそ、彼についてもう少し考えていきたいと思う。
せめて「過去の牙琉兄弟の泣けるエピソード」だけでも公開されないかな。
後生だから。何でもするから。
もっと牙琉霧人、そして牙琉兄弟のこと知りたいな。
あんこでした。
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