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世界でいちばん小さい映画館(たぶん)

もう10年も前の話だ。

その頃、僕は仕事でしょっちゅう海外に行っていた(遠い目)

移動はもちろん飛行機。

数時間のフライトの時もあれば、10時間以上のフライトもあったけれど、どちらにしろ僕の時間の潰し方は同じだった。

それは、自分の20cmくらい手前にあるあの小さなモニターで映画を観ることだった。

基本的に日本語の字幕はない(英語の字幕はあった)から、初めのうちは邦画ばかり観ていたけど、あらかた見尽くしたら、たいして意味も分からないのに、日本で未上映の最新の洋画を片っ端から観ていた。

その中でダンチで面白かったのは、

「マッドマックス 怒りのデスロード」

だった。

あの迫力のアクションシーンを

僕はあの小さな画面であれほど感動したわけだから、映画館の大スクリーンで観たら、果たしてどうなっていただろう。

でも、案外、たいしたことないかもな、となんとなく想像できる自分がいてそれが面白くもある。

うん、映画の感動って、やっぱり画面の大きさとか音響の素晴らしさ以外がもたらすウェイトの方が大きい

というのが僕の超個人的な持論だったりするからだ。

あと、いちばん感動したのは、

「バードマン」

だった。

確か年老いた父親と年頃の娘の関係性を描いた物語だったと思うけど(違うかな?)

なんだかあの頃のあの時の自分の胸にめったくそ響いたんだよなあ。

そして、なぜ唐突にこんな昔話を思い出したかと言うと、先日、自分の人生はまるでふざけた映画みたいだな、と思ったことがきっかけだ。

そう、このとき僕は確かにこんなことも思ったんだよね。

もし僕の人生が本当に映画だとしたら、IMAXやらREXやら、そういう最新の設備を備えたでっかいシネコンとかではなくて、この天空を移動する世界一小さいミニシアターで上映してほしいってね。

そして、何回食べても慣れない機内食にウゲッーとなった後、まったくくつろげない窮屈なエコノミー席で、暇を持て余して仕方なしに映画を観るようなひとりぼっちの、そう、かつての僕みたいな観客が観てくれたら…。

そんな想像をするだけで、不思議とめちゃくちゃハッピーな気分になれる自分がいるのだった。

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