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作者以外から愛されない主人公(ジェイン・オースティン『エマ』)

一時期より大分暖かくなってきましたね。梅の花が咲いているのを見たとかいう、嬉しい話も聞こえ始めました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

26歳無職私、書類も揃ったのでハロワへ行って参りました。いざ、失業保険受給の手続きへ。重い腰を上げて、ずるずると化け物のような動きでスーツに着替え、化粧もしっかり濃いめに。行ってみると皆、普段着でした。一体私は何と戦っているのか。

ガクガク怯えながら受付に並ぶ。さながら狂犬病予防の注射を待っている犬。
けれど、受付を済ませてしまえば、あとは言われるがまま手続きを進めていくだけなので、想像していたよりずっとスムーズでした。そしてハロワのお姉様方、信じられないくらい皆穏やかで親切……!!(´;ω;`)
私が緊張しているのを見かねたのか、ちょっとした雑談まで振って下さりました。お忙しいのに、気を遣わせてしまった。

確かに、失業して落ち込んでいる人が多いだろうしな。優しい職員さんが意図的に充てられているのかもしれない、なんて想像しながら、番号札が呼ばれるまで待つ。

待っている間、ジェイン・オースティンの『エマ』を読んだ。
エマという、ちょっと愚かな、村一番のお嬢が成長していくユーモアたっぷりのラブコメディだ。

エマは、作者が「作者以外の人間は好きになれない」と言うのも納得なくらい、ヒロインとして嫌な部分をちょくちょく見せてくる。
親友ハリエットの縁談を自分勝手な偏見や思い込みで潰してしまったり、人に優しくしなければならない立場だと分かっているのに、嫌いな人に意地悪をしてしまったり。
いや、でもこれが割と、共感できてしまう部分なのだ。
性格が完璧な主人公より、少し性格に難ありの主人公の方が、気持ちを理解しやすかったりする。特に、エマが同い年のジェーンに冷たくしてしまうところは、割と分かる人多いんじゃないか。
自分が間違えていたと分かり、ガチめに凹んで猛省している姿まで、何だか自分と重なってしまう。

そしてエマにも勿論、素敵なところがたくさんある。
嫌な相手でも、顔を合わせなければならない時はできるだけ失礼にならないよう振舞ったり、ウッドハウス家の女主人として、若いながらも客を丁寧にもてなしたり。しっかりしていることには間違いない。体が弱く、極度の心配性の父親を大切にする描写も多い。
決して性根の腐った娘ではないから、幸せになって欲しい。でも、割と好き勝手している部分もあるので「この子は果たして、幸せになれるのだろうか」と最後までヤキモキさせられる。

頭が良く、顔も良く、器用で何でも出来て、皆からチヤホヤされて育ったエマ。唯一、エマを叱ることができるのは姉の夫のお兄さん、ナイトリーさんだけだった。

エマは、年上のナイトリーさんに指摘されると、恐らくナイトリーさんが正しいのだろうが、ほぼ確で反発したりムカついたりしている。待って、既視感……。
私もT氏に、整理整頓(自分ではきちんとしているつもり)のことを言われると、時々ムッとなる。向こうが正しいとは分かってるんだけど、分かってるんだけど……!!って感じ。

色々思いを巡らせながら読んでいると、自分の番号が呼び出される。
そうだ、ハロワにいたんだった。

手続き無事に終わりました。良かった!!




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