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呪術廻戦

これはタクロウのお話である。タクロウを一言で表すなら、すぐにマネしたがる19歳。 この一言は時期によって異なるのだけれど、今しっくりくるのはこの言葉だ。

次の講義まで時間があったので、アニメイトで買った呪術廻戦のグッズを眺める事にした。

(恵が今日も可愛い…。)

僕はいつも窓際の席に座っている。
良い天気なので、青空をバックにアクスタの写真を撮ろうとしたらお尻が映った。

(おしりっ…!?)

そこには窓の外を眺める男が立っていた。
(邪魔だな…。)

恵が雲の上を歩いているような写真を撮りたくてアングルを下にしたら、カメラが男のお尻を捉えてしまったというわけ。

「ちょっとごめん!」と、爽やかに言えるタイプではないので、じと~っと視線を送り続けた。

教授が入ってきた時に男が振り返って目が合った。
思わず会釈をしてしまった。
(くっ、悔しい…。こんなヤツに頭を下げるなんて…。)

男は恵を指差して、
「ハリネズミみたい…。」
と言った後、席に着いた。

ブチ切れ案件だ。

出欠の時に知った。
タカタタクロウと言うらしい。

コイツの名前を覚えるヒマがあれば英単語を覚えた方が絶対に良いのに、僕はタカタタクロウタカタタクロウと呪文のように唱えた。

翌日の事だった。
「見て~、買った。」
呆気に捉えてしまった。
タカタタクロウが恵のアクスタを持っている。

「昨日見たときいいなぁ…って…。」

タカタタクロウのトークは巧みだった。
付いていくのに必死でひたすら頷いていたら、一緒にアニメイトに行く流れになった。

交差点を渡る時に隣から何かが聞こえた。
タクロウが小さい声で「じゅじゅちゅかいせん、じゅじゅちゅかいせん…」と言っていた。

少し可愛いと思ってしまった。