円安でも輸出は伸びない

製造業、円安効果薄く 日銀9月短観 景況感3期連続悪化

 日本における製造業は高度成長期から急激に成長し、バブル崩壊直前に名目GDPはピークに達した。製造業のGDPに占める割合は徐々に低下し、ピークの26%から現在では20%前後となっている。

 バブル崩壊以降の日本経済は、度重なる消費税増税等により慢性的なデフレに陥った。需要より供給能力が高い状況、つまりデフレギャップが定着するようになった。そこで企業が活路を求めたのが外需である。ジャパンアズナンバーワンと称されるまでに成長したものづくり大国日本である。2011年の東日本大震災までは、輸出が輸入を上回るという貿易収支の黒字が続いていた。

 だが一方、現在の急速な円安にもかかわらず、それほど輸出が伸びていない。それどころかリーマンショック以前にも達していない。外国から見て日本製品は割安のため輸出が増えてもおかしくないが、為替の振れ幅ほどではない。これはなぜか。

 製造コストの上昇等の影響もあるが、端的に言えば日本製の財・サービスの相対的な魅力が落ちたため、需要が減っているのであろう。実際、家庭用電気機器や家庭用機器といった項目は、2007年を基準にしてもほとんど横ばいである。リーマンショック以前のピークを上回ったのは、工業用化学品だけとなっている。

 結論を申せば、日本経済の回復のためには、外需依存から内需中心の構造に転換すべきである。グローバリズムの貿易網は、戦争や疫病の蔓延でいとも簡単崩れてしまうもろいものだ。国内GDPは個人消費が6割も占める。内需を活発にさせることこそが肝要である。




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