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育児と読書

自分がいつから、スマホを使い始めたのか、もう覚えていないけれど、調べてみると2010年から2015年の間に急速に普及したらしい。

私は2015年に長女を出産した。
この時、確かにiPhoneを使っていた記憶がある。それまで使っていたAndroidスマホと比較して性能の良さに驚いた。

育児をしていると、自分の自由な時間が細切れにしか訪れない。
そんな隙間時間を埋めるのに、スマホはうってつけだった。

子供の頃から本を読むのが好きだったけど、これまで好んで読んできた、人間の闇に切り込むようなミステリー小説は重たくて、ナーバスになりがちだった育児の合間に読む気分には、とてもなれなかった。

私は小説を読み耽って電車を乗り過ごすことが度々あったので、常に子供に気を配らなければいけない育児中に、本を読むのは不可能だとも思っていた。

ミステリーの気分じゃないなら、他のジャンルを..とか、子供が寝ている時間に、毎日10分ずつでも読みすすめてみよう!という発想にならなかったのは、スマホという今まで馴染みのなかったツールが、育児の隙間時間を埋めるのにピッタリのように思えたからだ。

たぶん、今赤ちゃんが生まれても当時と同じ状況にはならない気がする。
ある程度、自分なりのスマホとの付き合い方が構築できたからだ。

今思うと、当時は慣れない育児と、急速に普及した便利なツールでどんどん自分を見失っていたような気がする。

育児の不安を検索したり、SNSで他のママが素敵に子育てしているのを見たり。

結果、毎回自分ってダメな母親なんだな...という劣等感だけが残り、問題や不安をスマホが解決してくれたことは一度もなかった。

でも私は、育児情報を検索するのを辞めなかったし、答えがその中にないことも理解していなかった。

調べれば、なんでも分かるのがスマホなのだと思っていたからだ。
本を読むのが好きだったことも忘れていた。

『良き書物を読むことは、過去の最も優れた人々と会話を交わすようなものである』デカルト

再び本を読むようになり、この言葉を知った時は、まさに...!!と感動してしまった。
本には、気持ちを前向きにさせてくれたり、問題を解決に導くヒントがある。

でも、育児に行き詰まっているから育児本を1冊読んでみるというような方法ではあまり意味がない気がする。

実際、私も本を読まなくなっていた時期に、その時に悩んでいたことについて(例えば夜泣き、イヤイヤ期など)の育児本だけは何冊か読んだのだが、この本に書いてあることを実践できるのって優しくて良いママだけだよな...という結論に至り、また劣等感を深める結果になった。

育児本を読むのも、もちろん良いと思うけれど、結局のところ、育児も子供というよりは、自分と向き合うことによって、解決される問題が多いのかもしれない。

だから、育児本を1冊読むより、自分の興味のある本を読み、自分と向き合うことの方が、遠回りのようでいて、問題解決に少しずつでも近づけると思うのだ。

『おどろくことが知の始まり』プラトン、ソクラテス

という言葉を知った時も、まさに...!!と唸った。

検索エンジンで出てくる答えのように、分かってるけど、それが出来ないんだよ!というものではなく、『そんな考え方があったのか!』という自分の中の常識を覆すようなおどろきに、度々出会えるのが読書だと思う。

そして不思議なことに、何冊か読み始めると、読みたい本が、次から次に現れるのだ。

仕事や育児が忙しくて、本が読めないと思っている人も是非、1日5分、本を読んでみてほしい。そこには、人生が変わるような出会いがあるかもしれない。

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