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突然だけど、諸君は東京スカイツリーに登ったことはあるだろうか?

突然だけど、諸君は東京スカイツリーに登ったことはあるだろうか?
もちろんそのまま登るという話をしているわけではない。
展望台まで行ったことはあるか?
ということである。

僕はある。それも野郎2人で仲良く夜景を眺めてきた次第である。
まだ昼ならいいだろう。外国人観光客達の止まない会話劇や半ば無理に連れられた子供が急に退屈になってパパの裾を掴みながら喚いていて、国際演劇場か何かと勘違いできる。
しかし、これが夜になるとどうだ。昼にあれだけいた外国人は宴のためにアメ横に出向き、子供は結局ソラマチで買ってもらえなかった戦隊グッズに思いを馳せながらぐっすり夢の中にいるだろう。
夜はね、こりゃすごいんだよ。カップルしかない。大事なことだからもう一度言う。

「カップルしかいない」

カップルたちはもはや前戯ともいえる親密すぎる距離感で、互いに何かを囁きながらうらうらと左右に揺れている。物陰に隠れている下手な中学生がいたら屹立した股間を抑えることができず果ててしまうこともあるかもしれない。
あえて言おう。彼等は夜景を見ていない。
じゃあ何を見ているのか?

結論、何も見ていない。

花より団子、大事なのは景色よりもその後だ。その後によろしくやるために、夢の中にも出てこないであろう展望台からの夜景を見ながら、綺麗だね、そうだねなんて囁き合う。
しかし僕等はそんなカップルたちの濁流を抜けながら、もはや抜けることに必死で彼等よりも夜景を見ずにいち早くエレベーターで降りて行った。
財布から消えていった2000と少し。野口英世も、夜の東京スカイツリー展望台に野郎2人で行って当然の如く撃沈してくる馬鹿者たちを「これが私の夢見た未来か……」(※1)なんて嘆いているに違いない。
すみません野口さん。しかし、そういえばもう少しであなたもクビみたいですよ。

ごめん、やっぱ金運がなくなりそう。今の言葉は撤回します。

(※1)

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