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7秒タイムマシン 第31話 影の預言者

第31話 影の預言者

レンは「影の預言者」という言葉に動揺しながらも、その存在に関する情報をもっと掘り下げることにした。彼は図書館の奥まった棚から古い書籍を何冊も取り出し、手がかりを探し始めた。そのうちの一冊に、ようやく求めていた記述を見つけた。

『影の預言者』とは、遥か昔、アルケンと地球の次元が一時的に重なり合った時期に現れたとされる人物だった。預言者は、次元の境界が歪むことによって起こる災厄を予見し、それを止める方法を知っていたと言われている。しかし、その存在や預言の詳細はほとんどが失われており、真実を知る者はごくわずかだと記されていた。

「これだ…影の預言者が鍵を握っている。」レンは急いで書籍を閉じ、家に戻ることにした。

家に戻ると、エミリがリビングでアヤカと共に待っていた。レンはその書籍をエミリに見せ、見つけた情報を共有した。

「エミリ、この『影の預言者』って人物が、俺たちが直面している異変に何か関わっているはずだ。彼のことをもっと調べれば、この状況を打開する手がかりが見つかるかもしれない。」

すると、アヤカが突然口を開いた。「パパ?この預言者って漢字間違えてない?」

「そう言われれば、普通は予言者だよな!?」

レンはネットで調べると驚くべき事実が分かった。
たった一文字で意味が全く違っていて驚いた。この預言者の意味は、神の意志を伝える者の事を言うらしい。エミリも全く気づいてなくて、かなり驚いてた。「アヤカ、よく気が付いたね!」

その夜、レンとエミリはインターネットや古い文献をさらに調べ、影の預言者に関する情報を集め続けた。しかし、その存在に関する記録は断片的であり、確かな手がかりはなかなか見つからなかった。

「レン、もしかしたら、私たちが見つけた情報は不完全なのかもしれない。でも、諦めるわけにはいかないわ。」エミリが焦りを感じながらも、強い意志を見せた。

「そうだな、エミリ。俺たちは絶対に諦めない。何か他の方法で、影の預言者にたどり着けるはずだ。」レンはエミリを励ましながらも、自分の中に湧き上がる不安を抑え込んでいた。

翌日、レンは仕事を早めに切り上げ、街の歴史的な建物を訪れることにした。そこには、地元の伝承や神話を集めた小さな資料館があった。レンはそこで、影の預言者に関する情報が残されている可能性に賭けたのだった。

資料館は静かで、人影もまばらだった。レンは受付で「影の預言者」について尋ねると、年配の職員が彼を不思議そうに見つめた。

「影の預言者ですか…あまり聞いたことがない名前ですね。ただ、古い伝承の中に、それに似た存在が記録されているかもしれません。少しお待ちください。」と言い残し、職員は奥の棚から古びた巻物を取り出してきた。

レンは巻物を広げ、その中に記された内容を読み始めた。そこには、ある古代の村で、次元の歪みが起こった際に現れた謎の人物の話が記されていた。その人物は村人たちに警告を与え、災厄を防ぐための儀式を行ったが、その後、忽然と姿を消したという。

「影の預言者は、次元の歪みを修正するために現れる…そして、儀式を行うことでそれを防ぐ…」レンはこの情報が自分たちの状況に関連していると確信した。

家に戻り、エミリに見つけた情報を伝えた。「エミリ、これが手がかりになるかもしれない。影の預言者が行った儀式の詳細は分からないが、その痕跡をたどれば、何か分かるかもしれない。」

エミリは少し考え込み、「でも、その儀式が本当に今でも有効なのかしら?それに、どうやってその場所を見つけるの?」と疑問を投げかけた。

レンは巻物を広げ、そこに描かれた地図を指差した。「この場所だ。ここが儀式が行われたとされる場所。今では廃村になっているけれど、そこに何か手がかりが残っているはずだ。」

エミリは地図を見つめながら、「じゃあ、私たちはそこに行ってみるしかないわね。リスクはあるけれど、他に方法はなさそう。」と覚悟を決めた。

アヤカをどうするか悩んだ末、レンとエミリはアヤカを連れて行くことに決めた。アヤカもまた、家族と一緒に行動することを望んでいたからだ。


つづく

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