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竹林整備は農業生産性を向上させる鍵となるのか!?


前回は竹林整備が気候変動問題を解決する!?というタイトルで4パーミル・イニシアチブについてお届けしました。

今回は「竹炭の効果」や4パーミル・イニシアチブで謳われている「農業生産性の向上」についてまとめました。

竹炭の効果

竹炭は多孔質といって無数の小さな穴があり、その表面積は木炭の3〜4倍、わずか竹炭1gで表面積が約700㎡あるといわれます。この多孔質がさまざまな効果を生み出すのです。

匂いや湿気を吸着することから脱臭剤や調湿剤として一般によく使われます。他にも水の浄化やご飯を炊く時に一緒に入れると美味しく炊き上がるといった使い方など生活のあらゆる場面で使われます。

一方、竹炭を畑に投入するとおもに以下の効果が期待されます。
①通気性
②透水性・保水性
③ミネラルの供給
④微生物の活性化

竹炭は多孔質のため通気性や透水性・保水性が改善し、水はけ・水もちがよくなります。またカルシウムやカリウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルを多く含んでおり、植物に供給することで生長を促します。さらにミクロ孔は微生物のすみかとなり、微生物活性を高めます

竹チップも竹炭と同じく有用な資材

竹炭だけでなく、竹を粉砕した竹チップも土壌にとっては有用な資材です。
畑に投入された有機物は、そのままでは植物は吸収できません。有機物は土壌中の微生物により元素レベルまで分解されることで植物が根から吸収できるようになります。
つまり有機物の投入は微生物のエサを与えているともいえます。

有機物のC/N比

有機物の投入にあたって、大切になるのがC/N比です。C/N比は有機物がもつ炭素と窒素の比率を表します。
C/N比が低いほど、窒素の割合が高く、微生物による分解は早くなります。そのため肥料効果は高くなります。
C/N比が高いほど、窒素の割合は低く、微生物による分解はゆっくりになります。肥料効果は高くありませんが、土壌改良効果は高くなります。

どういった目的で有機物を投入するかで、選ぶ有機物が変わってきます。
肥料のように使いたい場合は、C/N比が10以下を目安にします。具体的には鶏糞や米ぬか、油粕などが挙げられます。
土づくりが目的の場合は、C/N比が20〜30以上を目安にします。具体的には竹やバーク、もみ殻などが挙げられます。
なかでも竹はC/N比が300近くあり、分解されにくく、ゆっくりと土づくりをおこなうことができます

竹林整備で発生した竹は里山の貴重なバイオマス資源。
竹炭、竹チップにして畑に投入することで、土壌中の微生物をふやし、肥料に頼らない農業を可能とすることができます。

日本全国で問題になっている放置竹林。
竹林整備と農業を掛け合わせることで、気候変動の緩和や農業生産性の向上といった好循環を生み出していくことができるのではないでしょうか。

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