見出し画像

メンタルやばいけど、「旅」と「孤独」の映画を見たよ。

仕事に出掛けようとかばんを持ち上げた途端、頭痛がした。
つぎには涙があふれ出ていた。

欠勤は日常茶飯事。私の現状は向こうに伝わっているから休むことにさほど罪悪感はない。
こんな日は何をして過ごそうか。
書き途中のものがあったが取り組む気分にはなれず、けれどこんなメンタルのときにただ布団の中に収まるのは逆に悪手だと自分に言い聞かせた。

今の私の感情は、表面張力でぎりぎりまで膨張したコップの水のようだ。
外部からのプレッシャーですぐにあふれ出てしまう状態。
こんなとき、「泣きたいときは泣く」という言葉にすがっている。
そして、私にとってそれを実行させてくれるのは映画だ。

こんなメンタルのときに見る映画は、もっぱらヒューマンドラマ。中でもちょっぴり人生の暗い側面を取り上げているものがよい。
映画の登場人物たちの、辛い境遇、悲しみの感情、吐き出されたセリフたちは、私の感情を揺さぶり、すぐに涙腺をゆるませてくれる。

この日観たのは「ノマドランド」(2021年アメリカ製作、アカデミー作品賞等を受賞している)。
家と町を失い、キャンピングカーで季節労働をしながらアメリカ各地を旅する老齢の女性の話だ。

私も一度は旅をしたことがある。ニュージーランドでひとり、知り合いもいない中でだ。
素晴らしい思い出がたくさんあるが、旅をすると必ず付きまとうのが孤独感だった。いっときでも同じ土地に暮らし、自分が受け入れられると愛着がわき、そこからまた旅に出ると、寂しさと、これから自分ひとりしか頼れない孤独感は毎度身に染みた。

主人公が親しんだ仲間を見送るシーンが度々ある。走り去るキャンピングカーを遠目に眺める主人公の背中が写される。わたしも良く知る「孤独」だった。
結末はない。主人公がこれから先もキャンピングカー生活を続けるのかどうかわからなかった。ただ、主人公の周りには家族や友人がたくさんいて、彼女はいつでもその生活を止めることができるのだろう。

映画中、切ないシーンもあるが、旅の楽しさ、素晴らしさも伝わってきたし、私のニュージーランドの記憶も引き起こされた。(写真はニュージーランドの風景である。)
だが、旅は、ひとりでいることが堪らないならやめた方がいいだろう。
今の私はかつてより、すっかり弱くなってしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?