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「写ルンです」が世界を救う?!かもしれないお話

「写真のチカラ」なんていう、
なんだかよく分からないものを信じてみることにした

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「写真のチカラ」
使い古された言葉です。写真家を志した人は、少なくとも一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
けれど今、それを本当に信じられる人はどれくらいいますか? 写真がこの世界をより良くしてしまう可能性を信じられる人は。

「写真のチカラ」
本当にそんなものがあるとしたら? 写真で世界がちょっと変わるかもしれないとしたら?あなたはどう思いますか? 
「ちょっと見てみたい」
そう思ったりしませんか?

これから数回にわたってご紹介するこのプロジェクトは、結構マジで世界を変えかねないって思ってます。自分自身、写真家として活動してきて「写真のチカラ」って言葉をよくわからないままお題目のように使ってきましたが、今回ばっかりは本気で信じています。

このプロジェクトが進めば、世界中の貧困層の子どもたちが自立する手段を手にすることができます。本当に子どもたちの世界が変わるんです。

これからそんな御伽噺みたいなお話を少しずつお届けできればな、って思います。お付き合いいただけば嬉しいです。

初めまして「写ルン族(しゃるんぞく)」です

初めまして。使い捨てカメラの「写ルンです」を使ってルワンダをはじめとする途上国の子どもたちの自立支援を行うプロジェクト「写ルン族(しゃるんぞく)」の代表・香川です。

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メンバーからはニックネームの「ごっち」って呼ばれてます。ごっちの由来は「たまごっち」。というのもですね、私、肌が綺麗なんです(笑)

昔お付き合いのあったお客様が「香川君、玉子肌よなぁ。たまごっちか。今日から君のあだ名はごっちな」って。ありがたく今に至るまで使わせていただいてます。もう38歳のアラフォーなんですけどね(笑)さすがに当時と比べると劣化したかもしれない(笑)

あ、ちなみに名前の通り香川県出身です。「香川県に香川って姓は多いの?」って良く聞かれるので先に答えときますね。まあまあ多いです。香川県の中では16位(約5,400人)だそうです。

そうそう、「しゃるんぞく」という名前は、最近の若い子たちが「写ルンです」のことを「しゃるん」って呼んでるというエピソードから名付けました。私はバリバリ「写ルンです」を使ってた世代なのでひたすら懐かしいんですが、今の大学生って生まれたときにはデジカメが出ていた世代なので、そもそもフィルムを触ったことがない人が大半。で、むしろこのアナログなカメラが「新しい」んでしょうね。
 
このプロジェクトではそんな写ルンですを使って、ルワンダのアフリカの子どもたちの自立を支援しています。

具体的には、

01  サポーターからのご支援を元に100台の写ルンですを調達、ルワンダに持参
02  現地の子どもたちに渡して写真を撮ってきてもらい撮影後の写ルンですを1台1万ルワンダフラン(約1000円)で買い取ることで現金収入を提供
03  子どもたちが撮った写真を鈴木掌(すずきつかさ)さんをはじめとするアーティストの方々とともに作品化して販売。そのお金を蓄えておき、将来的に現地に写真家育成学校を設立。真の自立につなげる

こんなことを目指しています。

このプロジェクトはただお金の支援をするのではなく「写真のチカラ」で子どもたちが手に職をつけ真の自立を獲得することを目指しています。なので「本当に世界が変わる」と言い切れるんです。

ちなみに、子どもたちに渡す報酬の1万ルワンダフラン。100台あれば100万ルワンダフラン。約10万円です。たった10万円と言う勿れ。これだけのお金があれば14人の子どもたちの1年分の食費になり、35人の子どもたちの1年分の小学校の学費になります。直接的・短期的なインパクトも私たち日本人が思う以上に大きいものだったりします。

「アフリカの奇跡」ルワンダで味わった達成感と無力感。

昔、といってもほんの27年前。1994年のことです。アフリカの小さな国で何十万人もの人が殺される血みどろの内戦が合ったことを、何となく記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。映画を見たことがある人もいるかもしれませんね。或いは、アフリカではしょっちゅう内戦が起きているのでどの話か分からなくなってしまっているかも?

このプロジェクトの主な舞台は、そんな内戦の悲劇から目覚ましい発展を遂げ、「アフリカの奇跡」とまで呼ばれるようになったルワンダです。

ところでみなさん、そもそもルワンダってご存知ですか? かなりマイナーな国なんじゃないか思います。ルワンダという名前を聞いたことがある人はそこそこいますが、どこにあるのかご存知の方には関係者を除いてまだ一度も(!!)会ったことがありません。「ウガンダ」と間違われることもしばしば(違う国です!)。映画「Hotel Rwanda」をご覧になっていればまだ良く知っているほうです。
 
ルワンダは東アフリカの真ん中付近、コンゴ民主共和国やタンザニアといった国に挟まれた場所にあります。面積は四国の1.4倍くらい。とてもコンパクトな国ですが、都市の魅力とサファリのような自然を同時に味わうことができます。赤道直下にも関わらず平均標高が1500mと高いため、気候はとても過ごしやすく平均気温も25度くらい。朝晩は寒いくらいです。またそのおかげでマラリアや黄熱病といったアフリカ特有の病気の心配も比較的少ないです。

首都キガリは治安もよく、凶悪犯罪の発生率は何と大阪よりも低いそうな?! 実際私たちが一昨年ルワンダにお邪魔した際も、全く怖い目に遭うことはありませんでした。そんなわけで「アフリカ入門編」の国としては最高の国ですね! 後述のプロジェクトのメンバーに加え、我が家は0歳児を含む家族5人で行きましたが、本当に安心して楽しく過ごすことが出来ました。

そんな平和で美しい国ルワンダで起きてしまったのが忌まわしき「ツチ・フツ内戦」です。この内戦では、たった3か月の間に実に70万人もの人が虐殺されました。元々は部族対立も無く仲良く暮らしていた人々が、19世紀の欧米の植民地政策で無理矢理対立構造を作られ、結果的に隣人同士が殺し合う凄まじい悲劇が起きてしまったのです。
 
その悲劇から間もなく、現大統領のポール・カガメが就任。半ば独裁的な方法とはいえ民族融和を強力に進めます。さらに、2000年頃からIT立国を掲げルワンダは目覚ましい経済発展を遂げます。この10年程、東アフリカ一帯でITスタートアップが盛んに生まれていますが、ルワンダもその中で大きな存在感を発揮しています。
 
そんな奇跡の経済発展を遂げた「アフリカの奇跡」ルワンダに「Rwanda Happy Mother Project」のメンバーとしてプロカメラマン10人が訪れたのは一昨年、2019年のことでした。

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ルワンダでスラムに住むシングルマザーの支援をしている「KISEKI」の女将・山田美緒さんとのご縁があり、写真を使ってママたちのためのハッピーなプロジェクトをしちゃおうぜ! って盛り上がったんですね。美緒さんの他、一反のキテンゲ(現地の布)でドレスを2着作り、ルワンダの女性と日本の女性でシェア(現地の方には安く提供し、日本人は適正価格で購入)しましょう、という団体「Dress for Two」の岡本望さんとそのメンバーのご協力もあり、現地でママたちのためのファッションショーをプロデュースしてきました。

スラムのど真ん中のコミュニティセンターで開催されたファッションショー。観客含め300人余りの人が集まりました。前座のダンスが終わりメインテーマが流れ始めた瞬間、長かった準備のことが色々と思い起こされ「ついにここまで来た……」とプロジェクトメンバーは皆、涙・涙・涙……。そして大興奮のお祭り騒ぎ。

 ショーの様子を撮影した動画があるのですが、全員興奮しすぎで映像がブレッブレ。プロカメラマンとしてはあるまじきクオリティ。。。後の編集では後半ほとんど素材が使えませんでした(笑)まあ、それほど盛り上がったってことにしておいてください。

ファッションショー以外にもクラファンでご支援いただいたお金で保育園の修繕費を提供したり、プリンターを持っていき現地で無料撮影会(本気で撮影してその場で写真をプリントしてプレゼント)を開催したり、サッカー教室をしてみたり、、と盛りだくさんのプロジェクトでした。

コロナの影響で2020年は現地に行けなかったのですが、美緒さんによると「KISEKI」で開催したイベントに、撮影会に来てくださった方が私たちがプレゼントした写真を大切に持ってきてくれたそうです。私たち日本人にとって写真とはありふれたものなのですが、現地の方々にとっては家族の思い出をカタチにしてずっと残しておける、本当に大切なものなんですね。渡航前に美緒さんから「みんなボロボロになった家族写真を家の中に飾ってたりするよ」って聞いていた通りでした。改めて、プロジェクトをやってよかったなって思うエピソードです。

この歓喜と達成感の一方で、何となくモヤッとココロの中に残り続けてきた疑問がありました。「俺たちはどれだけ現地の方々に貢献できたのだろう?」って。

確かにファッションショーや撮影会でたくさんの思い出を作ることはできたと思います。けれど、決して現地の人々が満足にご飯を食べられるようにはなっていない、という現実。仮に私たちが写真を販売しそのお金を送金したところで、彼ら・彼女らはそこに依存してしまうことになる。これはどうしようもない事実でした。

一昨年も「写真のチカラで世界を変える!」と意気揚々乗り込んだものの、結局は何か変わったのか? 良い変化が起きたのか? それは分からないまま。。。どうしようもない無力感がぬぐえない、そんな日々を過ごしていました。

帰国してからもずっと考えていましたがなかなか解決策は見つからず。ファッションショーの最後に「This story will go on. Let’s start together!!」って宣言したにも関わらず、「まさか、またファッションショーやるの……? もう、ちょっといいかな……」って。正直バーンアウトしていました。

そんな折に発生したコロナ禍。もう完全に思考停止ですね。頭の片隅には何となくずっとルワンダのことがありましたが、コロナを言い訳に逃げまくっていた。そんな日々に終止符を打ったのが、2020年7月26日、アーティスト・鈴木掌さんとの出逢いでした。

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 ……ふうっ。だいぶ長くなってきたので今回はこの辺にしておきます。何回かに分けてこんなお話を書いていくので、引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。次回は鈴木掌さんとの出逢いの結果見つけた自分たちなりの結論とか、そんなお話をしたいと思います。

(第2回に続く)

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Event Information

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■新潟展
5月30日(日)10時〜17時 *終了しました
〒953-0011 新潟県新潟市西蒲区角田浜1661
CAVE D’OCCI ギャラリー麻
カーブドッチ薔薇フェスタ2021にて開催される鈴木掌展「Burn & Born」との共催です

■池袋展
6月中の日程にて日程調整中
※詳細決定次第アナウンスいたします

■大阪展
6月中の日程にて日程調整中
※詳細決定次第アナウンスいたします

■六甲展
7月28日(水)〜8月4日(水)
〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町南六甲1034
六甲山サイレンスリゾート
※詳細決定次第アナウンスいたします


ーー作品の取り扱いについてーー
こちらの展示作品は全て販売しております。
売上の約50%を写ルン族の活動費として大切に使わせていただきます。


ーーサポーター制度についてーー
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ーー開催場所の募集についてーー
写ルン族では開催場所を随時募集しております。
場所、イベント等をご提供いただける方はお気軽にご連絡ください。
info@brave-eggs.com
担当:香川

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