【橈骨遠位端骨折の治療に効果あり】リストラウンダー・掌背屈板とは?
物品紹介
リストラウンダー
三角形もしくは半円に近い形をした硬めの素材で作成される。自動運動により前後・左右に動かす事で物品自体の凹凸などで手根骨に対する刺激を与える、また物品が手関節運動を補助(自動介助)する役割となり拘縮予防をする目的があります。また、リストラウンダーを装着する位置については末端部が手根骨近位部に接触するように装着することで手根骨のローテーション作用にアプローチしやすくなります。リストラウンダーの種類も2種類存在し初期に用いるリストラウンダーは半円にする事で傾斜角度が少ないため、手関節に掛かる負担を考慮した運動が可能となります。後期に用いるリストラウンダーは三角形に近い形となるため傾斜角度が上がる事で手関節に掛かる負担を向上させることが可能となります。掌屈、背屈板
手関節掌屈、背屈位を矯正保持する事により手関節拘縮を軽減する目的があります。
作成方法と使用方法
・リストラウンダー
当院では、初期に用いるリストラウンダーは紙粘土で形成しその上に包帯を巻くことで接触部分の清潔も保持することができるようにしました。後期のリストラウンダーに関しても紙粘土で作成することは可能だと思われます。当院では、後期のリストラウンダーは余っていたギプスを頂戴しそれを三角形に形成しました。ギプスの方が硬さがあるためリストラウンダー作成に向いていると言えると思われます。手背部に巻くバンド(ストラップ)は当院では使用していませんでした。本来であればリストラウンダー使用時のズレを防ぐ意味とリストラウンダーを手指で把持しない事で手関節にダイレクトにアプローチできるため作成した方が良いと思われます。
・掌屈、背屈板
当院では、上記のような「物品紹介」で載せた掌屈、背屈板をOTで作成することが難しかったため、クライアントの中に大工をしている方が見えたため作成依頼した所、喜んで作成してくれました。大工の経験・DIYが得意な方がいると木材でいとも簡単に作成してくれます。その他の方法ですと、ブックスタンドを購入し本を置く部分のネジを取る事で木の板と角度調整のみとなります。その状態で、手掌・手背部をブックスタンドに当て、角度調整を行います。そのままでは、手掌部が浮いてくる可能性があるため前腕遠位部に重錘を置く事で浮き上がりを防止することが可能だと考えられます。
使用時期
各々の施設での橈骨遠位端骨折に対するプロトコルに準ずることが大切となります。現在は橈骨遠位端骨折は掌側プレート固定術を施行するようになってからの全体の進行に関しては早期の拘縮予防に努める形となっています。そのため、リストラウンダー、掌屈・背屈板に関しても早期より施行した方が最終的な手関節角度を確保するために必要になると思われます。
リストラウンダー(小):2週目から3週目
リストラウンダー(大):3週目から4週目
掌屈、背屈板:4週目以降
上記の周期に関しては骨折分類により異なる場合があります。骨折分類が良い場合は早期より導入することが早期回復へ近づける事になると思います。しかし、骨折部の転移等には十分に留意して使用することが必要とはなるため使用に関しては気を付けて行ってください。
参考文献
引用:中田 眞由美・大山 峰生.作業療法士のためのハンドセラピー入門 第二版.173
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