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同化してる! ハリガネムシの神秘
内容がアレなので、せめてトップ画像は綺麗めにしました。ナショナルジオグラフィックにて面白い記事を見つけたので紹介します。
ハリガネムシは、カマキリやコオロギ等を宿主とする寄生生物であり、特に「自身が成長してきたら、宿主を水に飛び込ませる」(宿主は溺れて死んだりするが、ハリガネムシ自身は脱出して水中で繁殖する)という宿主操作を行う事が知られています。あたかも宿主を洗脳するかのような特殊能力は、私にとって以前から心を鷲掴みする存在。しかし、なぜハリガネムシにそんな事が可能なのかは知られていませんでした。
2023年11月に発表された論文で示された主な点は、下記2点です。
ハリガネムシは、多細胞生物の間ではまれな「遺伝子水平伝播」によってカマキリから遺伝子を手に入れた
カマキリから水平伝播で獲得した遺伝子を使って、陸上昆虫に自ら水へ飛び込ませるという行動操作を成し遂げている可能性がある
遺伝子が親子で伝搬するのは垂直伝搬と呼ばれます。水平伝搬とは、全く異なる個体間で遺伝子が転移する現象を指します。細菌などの単細胞生物間では一般的との事。なぜハリガネムシがカマキリの遺伝子を伝搬させる事ができたのかは分かりませんが、遺伝子レベルで一心同体となり、自身に利する行動を取らせるとは、恐れすら感じさせる凄みがありますね。
水平伝搬の話が面白かったので、関連する情報も調べました。以下は2022年4月の論文記事です。文章を一部抜粋します。
水平伝播について直感的に考えやすいメカニズムに、「食べる-食べられる」を通じた遺伝子の移動があります。しかし、今回発見されたのは捕食者(ヘビ)から被食者(カエル)という、このシナリオで想定されるものとは全く逆方向の伝播でした。そのため、この水平伝播がヘビとカエルの直接的な接触によって生じたとは考えにくく、むしろ第三者による仲介が想定されるものでした。
本研究では、この仲介者の存在が想定される水平伝播系を対象として、両生爬虫類とその寄生虫を含めた網羅的なサンプルを調査することで、脊椎動物の間で生じた水平伝播について、その発生頻度の地理的傾向や伝播経路の探索を行い、以下の興味深い発見に至りました。
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水平伝播が生じるためには外来遺伝子が宿主の生殖細胞系列に組み込まれる必要がありますが、そのためには細胞内に侵入可能なウイルスや細菌などの最終媒介者が存在しており、寄生虫はそれらの運搬者として働いている可能性が考えられます。
高等動物間での水平伝搬として、寄生虫が仲介者となっている可能性が示唆されています。特にマダガスカルで多くの伝搬が見られたとの事。マダガスカルといえば、独自の進化を遂げた不思議な生物が非常に多い「神秘の島」として有名です。進化を加速させた鍵が、実はあの小さな寄生虫にあったと想像すると、生物の神秘になんだかワクワクしますね!(一部の人だけ?)
以下は余談です。寄生虫を調べていたら、ふとあの検査の事を思い出しました。布団の中でゴソゴソ。。幼少の頃でも恥辱的でしたが…調べてみると、2015年度で検査義務は廃止されたとの事。わりと最近までやってた事に驚きです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!少しずつ想いを残していければ、と思います。またお越しください。