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悩める経営者。今取り組むべき経営課題とは。

日本に存在する企業の99%は中小企業。
中小企業は日本の労働者の約70%を雇用し、企業の付加価値額の50%以上を生み出しています。
その存在は日本経済を支えていると言っても過言ではありません。
1948年、政府により中小企業の育成と発展を目的として中小企業庁が設置されました。
中小企業庁は2022年3月、「事業承継ガイドライン」を5年ぶりに改訂すると発表しました。
今回は、改訂された「事業承継ガイドライン」をもとに中小企業が抱える問題点、それに向けた取り組みを3本立ての記事としてお送りいたします。
本記事は、第一弾となります。

1.経営者の悩みは尽きない

長期化する新型コロナウイルス感染症の影響を受け、各企業は難しい経営状況に置かれています。
2022年版の中小企業白書によると、経営者が重視する課題は以下の通りです。

1位:人材
2位:営業・販路開拓
3位:組織

図表1 重視する経営課題

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(出典:中小企業庁 中書企業白書(2022年度版))

2022年7月現在、日本の総人口は1億2484万人。
そのうち、65歳以上の人口は3624万人で、総人口の3割が高齢者となっています。
出生数は年間約1.7万人ペースで減少し、2022年には80万人を切る可能性があります。

生産年齢人口(15〜64歳)は減少し、人材確保はますます難しくなります。

経営者は顧客だけでなく、従業員からも選ばれる魅力ある会社作りが必要となるでしょう。

2.見落としがちな経営課題

顧客や従業員、社会全体を幅広い視点で見ているはずの経営者。
そんな経営者でも実は見落としがちな課題があります。

それは、経営者の世代交代です。

図表2は、中小企業の経営者の年齢分布です。
60〜70歳代の年齢層に多くの経営者が分布していることがわかります。

図表2 中小企業の経営者年齢の分布(年代別)

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(出典:中小企業庁ホームページより)

日本人の健康寿命は約70歳です。
どんなに優れた経営者でも健康でないと会社経営はできません。
調査結果からもわかかる通り、多くの経営者は次の世代へ事業を引き継ぐ必要があります。

3.消えていく会社

44,377件。
この数字は、2021年に日本国内の企業が休廃業・解散した件数です。
2000年以降では過去3番目の高水準となりました。

図表3 休廃業・解散件数の推移

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(出典:(株)東京商工リサーチ「2021年「休廃業・解散企業」動向調査」)

なぜ、廃業する企業が増えていくのか。

その要因の一つとして、後継者不足が考えられます。

図表4は日本政策金融公庫総合研究所が実施したインターネット調査です。

図表4 廃業予定企業の廃業理由

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(出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」(2019年)再編加工)

廃業予定の企業へ廃業理由を調べたところ、およそ3割は後継者不足が原因と回答しています。

4.進む事業承継

これまでのデータを見ると日本企業の未来に不安を感じます。
しかし、改善している点があります。

図表5 経営者の年齢別にみた後継者不在率

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(出典:(株)帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年))

グラフからわかるように、後継者の不在率が減少傾向にあります。
不在率が減少しているということは、事業承継の取り組みが進み、後継者不足が改善している様子がうかがえます。

事業承継が進んだ一つの要因として、「事業承継5ヶ年計画」があります。

この計画は、平成29年に中小企業庁が事業承継支援の集中実施期間として策定したものです。

5.早期取り組みの重要性

事業承継の取り組みが進む中、大切なことがあります。

それは、「早期取り組みが必要」ということです。

図表6 後継者への移行にかかる期間

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(出典:(株)帝国データバンク「事業承継に関する企業の意識調査」(2021年8月))

後継者を決めてから事業承継が完了するまでの移行期間(後継者の育成期間も含む)は、半数が3年以上と回答しています。
10年以上を必要とする割合も少なくありません。

図表7 事業承継(譲渡等を含む)・廃業の予定年齢

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(出典:中小企業庁「中小企業白書」(2021年版、大同生命保健(株)「中小企業経営者アンケート「大同生命サーベイ」(2020年)」)

図表7から、事業承継・廃業の予定年齢は、5割以上が75歳未満となっています。

経営者の大部分は60〜70歳代(図表2)であることから、多くの企業は事業承継に向けた準備が必要です。

6.まとめ

企業の成長のため、経営者が取り組む課題は数多く存在します。
その中でも、人事確保は多くの経営者が課題感を持っています。

一方で、経営者自身の問題として考えなくてはならない事業承継。
国としても積極的に事業承継を支援しています。

しかし、事業を引き継ぐには時間が必要。

そのため、事業承継について早期に取り組むことが重要です。

今回は、第一弾として中小企業が取り組むべき課題を記事にしました。
第二弾は、具体的な事業承継について記事をまとめていこうと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


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