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銀河鉄道999 1巻 第6話 引き返せない旅

「迷いの星の影」

停車駅 冥王星

 旅は安全が保障されているからこそ楽しめるもの。

 ここは太陽系最果ての冥王星、ここを出てしまえば後戻りはできない。もしこの先、体や心が限界になれば、その場所で死ぬしかない。後戻りのできない怖さを感じた旅人はこの星を迷いの星と呼んでいます。

 この場所に学生から社会人になる時のことを思いました。たぶんその時を過ぎる本人はそれほど決死の思いはないのかもしれません。鉄郎もいつものごとくあっけらかんとしております。
 冥王星に近づくとなぜか列車内の暖房もきかず体の芯から震えるような寒さがおそってきます。
「原因はわからないわ!ある人はあの星で凍りついてる旅人の魂がそうさせているんだっていうけど・・」
 メーテルはわざと鉄郎を怖がらせにいってます。そして今回の話でも少しメーテルの過去が描かれています。

 冥王星は星全体が氷につつまれており、駅舎やホテルまで氷漬けです。そういえばそんなホテルが実際にありましたね。そしてなんと街はずれには墓場もあり、氷漬けの無数の死体?が寝ていました。この死体は機械の体になった人が生身の体を保存しているのだそうです。
 生前?の体をここに保存しているということは、機械の体になったものの生身の体に未練がある人々という事でしょう。そしてメーテルもここに生身の体を保存しているようですが、人間の時のメーテルがどんな姿だったのか紙面ではみせてくれません。

 ここで登場するのがこの墓の管理人シャドウです。シャドウは美しい生身の体に満足できずさらなる美しさを求めて機械の体を手に入れました。しかし生身の体以上にきれいになることはできず、とうとう顔をつくらなかったのです。のっぺらぼうのシャドウは子供心にとても恐怖を覚えました。
 これ今読むと完全に整形依存の話ですね。整形は一度してしまうと後戻りできません。そして99%の人が後悔しているように思います。そんな現実をみるとシャドウが顔をつくらなかった事にも納得してしまいます。
 冥王星では外宇宙に出る迷いと機械の体になる迷いが同時に描かれています。どちらの決心もむつかしいのですがメーテルはそれを十分わかっているのでしょう。しかし鉄郎はここでもそれほど考え込む事もなく先へすすみます。

「迷いの星は宇宙で一番悲しいところ
多くの人がここに体をおいて遠くへ旅だった悲しい星・・いつの日か自分の体がなつかしくなって人々が帰って来るという星だから・・」





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