法事での金封。その表書きの仕方や種類など

どもども、寺務所に座ってる系noter慈岳です。

私のお仕事の中に、ご法事で来られたお客様の受付と接遇があります。今回はこのタイミングで登場する金封について書き書きしましょう。難しく考えず、気楽にお付き合いくださいね( `・ω・´)


●法事お問合わせで多い、金封表書き

御霊前、御佛前、御香典、御斎料、読経料、御布施、御車代、塔婆料、御供……などなど、仏教のご法事だけでも金封の表書きはいろいろあり、宗派や地方によって使い方が変わります。

慈岳が勤めているお寺は北海道から沖縄まで全国各地に信者さんを持ち、どの宗派の方もウェルカム。そのため私は御布施等をお預かりする際、どのように表書きされているかはほとんど気にしません。

ただ、表書きについて質問して「何でも大丈夫ですよ」と答えられると困る人は一定数います。それで一般法事であれば便宜的に、僧侶宛なら『御布施』、仏様宛なら『御供』でとご案内しています。

●『御佛前』か『御霊前』か

これは字を見たら簡単です。故人様が成仏されたあとは『御佛前』で、成仏される前(まだ魂の状態)なら『御霊前』。

「四十九日が過ぎたら御佛前なんですよね」と聞かれることがたまにあるのですが、うちの宗派では確かにその通り。宗派によっては亡くなってすぐ成仏されますので、お葬式の弔問等の際は、先様の宗派の確認をされると良いでしょう。

●表書きのそれぞれの意味

  • 御斎料……法事にともなう飲食代全般に。膳立ての場合は『御膳料』とも。

  • 読経料……僧侶が読経する場合に。読経はせず、僧侶立ち会いで本堂などのお参りのみをする場合は『御布施』で。

  • 御車代……僧侶の交通費。車のガソリン代、タクシー代のほか、電車でも原チャリでもこちらでOK。

  • 塔婆料……卒塔婆の書記料。本体を自分で用意せずお寺に頼む場合は、本体代も含まれます。

  • 御礼……御布施や諸費用とは別で、感謝の気持ちを示したいときに。

いわゆる『すべてコミコミ』で御布施として納める方もいれば、細かく金封を分ける方もいます。うちの場合ですと、一般信者さんはコミコミ、檀家さんは分ける傾向がありますね。

●表書きは毛筆でないとダメ?

ダメということはありません。毛筆や筆ペンの方が多数派ですが、サインペンで書く人も時々おられます。どうしても毛筆が苦手な方、家に筆ペンを置いていない方は、サインペンで大丈夫ですよ。

なお、字が下手でも気にしなくて結構です。『お気持ち』を渡すものですので、平凡な字や悪筆であってもご本人が書くのは、尊いことなのではないでしょうか。

もちろん、「仏様やお寺に失礼のないようにキレイな字の表書きをしたい」と考えて筆耕を頼むのも、立派な『お気持ち』です。私が述べたいのは、無理はしないでくださいね、ということです。

●弔事用の水引の色について

  • 黒銀……ご葬儀~弔事一般。喪の色=白である神道では使えません。

  • 黒白……ご葬儀~弔事一般。表書き次第で神道でも使えます。

  • 黄白……ご葬儀~弔事一般。公家社会発祥で関西向け。

  • 双銀……ご葬儀~弔事一般。施主が女性のときに。

  • 紅白……僧侶への御礼や寸志に。結び目は蝶結び。

最後の紅白は弔事シーンではやや特殊で、御礼は『何度してもよい』ものなのでこの金封が使えます。お坊さんどうしだと、ご葬儀の応援を頼んだ他寺の僧侶への御礼は紅白の蝶結びです。

喪の場で紅白を使うことが気分的に嫌であれば、弔事用金封でも構いません。意味を分かっている人は使うことがありますよ、ってことで豆知識程度に覚えておいてくださいね。

●お包みは一重か二重か

お札の枚数が少ないときは一重で、多いときは二重のものを使います。これは特に金額の多いときに、『厚さ』で金封にシワや折れ目ができないようにしたり、たくさんのお金を納めることをひけらかさないようにしたりといった目的があります。

また、二重包みの中でもエンボス加工がされた高級金封は、数十万円~の高額を包むときに使います。企業さんの慰霊祭や、永代供養などの大きな法事法要でよく見られます。

●金封が入手できないとき

郵便用の封筒や、コピー用紙などの無地の紙(できれば白色)で構いませんので、何かしら包んでお金が『ハダカ』にならないようにしましょう。銀行の封筒で渡される方もいます。

それも無いときはハダカで渡すほかありませんが、「ハダカで恐れ入ります」など一言添えれば、ウルサ型のご家族やご親戚に不快感を与えにくいかなと。目の前でギスギスされるとお寺も対応に困るので、ここは宜しくお願い致します。

なお、私はいろいろな信者さんやお客様を見てきているため、納め方も特に気にしないです。買い物でもするノリで、財布からずばっと現ナマを出す方も(特に男性で)おられますよw

●さいごに……困ったときの質問先は?

金封関係の質問は、ご家族やご親戚、法事を行う地域の年配者、または法事を行うお寺のいずれかに行うのが良いでしょう。

本稿も含めてネットの情報は、『一例』や『一般的なマナー』を掲載していることが多いです。実際には地域やお寺によって独特のしきたりがありますので、特に田舎でのご法事は、その土地の人やお寺に尋ねるのが最も間違いを起こしません。

核家族や独居(年齢問わず)が増えた今の時代、ついついネットに頼りたくなりますが、『生身の人間に聞く』という情報収集手段も上手く使いましょうね。

それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?