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僕はいまわの際に最高のダンスを踊ります                               ♦善悪を超えた美しさについて♦

身体が思うように動かなくなったからと、踊りをやめる人が多いが、おかしな話だとダンサーは言う。踊りは、個人の意識よりも深い、他の生物の発生にも通じる次元から生まれるもの。だから指一本でも踊れると。たしかに身体の動きは、全身で表せなくなっても、足や腰や首(こうべ)にすぐに転写できる。
      舞踏家 田中泯さんの読売新聞インタビュー記事より

黒豹コメント:

藤沢周平原作の映画『たそがれ清兵衛』で見せた田中泯さんの鬼気迫る演技を思い出します。

仮に「善と悪」という視点で見ると、
悪の美学がこれでもかと暗い映像を染めていきます。と、同時に、一汁一菜で暮らす家族の、ささやかな善が浮かび上がってきます。

しかしどちらにも、根は同じ、絶対に譲れない宿命を抱えているのです。

舞踏家が悪の立場で見せた殺陣(たて)の動き。
ご本人曰く「指一本でも踊れる」のとおり、

身体のすべてをかけ、

最後の最後まで生き残ろうとする悪を演じ切った、
記憶に残る映像でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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