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人間を社会的にするのは彼の弱さだ。           ♥小説の予定調和について♥

足りないものが何もない者は他の人を必要としないから、他の誰かを愛することもできない。だから幸福にもなれないと、18世紀の思想家は言う。苦しみや悲しみという「みじめさ」の中で人は他者を求める。単なる「必要」は「利害」で人を結びつけるが、「みじめさ」は、同情でも羨望でもなく「愛情」によって人を結びつける。

       今野一雄訳:ルソー『エミール』より。

黒豹コメント:

ある作家の先生が、小説の主人公には、
ある種のハンディを持たせた方がいいと話しておりました。

人は皆、何らかのハンディを背負って生きている。

確かに、最初にハンディを明確にし、
それを克服していくというストーリーは、
リアリティもあり面白いと思います。

ただここには、落とし穴もありそうです。

私は、若者の成長譚をよく書きますが、
「予定調和」と酷評されることもあります。

ただこの「予定調和」が、
小説の構造として功を奏するケースがあります。
ビジネス用語の「バックキャスティング」と同じように、

最初にエンドの展開を決定する小説もあるのです。

但し、序・破・急が成立することが絶対条件。

小説は本当に難しいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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