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今日のひとりごと

今日も何気なしに1日を迎えたのに、午後になって、ふと、今日は6月19日と何か確かめるように頭の中で呟いていた。そして「今日は19日……あ。桜桃忌」と思い出す。

実は、ほぼ毎年そうだ。

桜桃忌を思い出さずに翌日を迎えてしまう年もあるが、やはり「あ。昨日は桜桃忌」とフゥッと思い出す。
「明日は(あるいは今日は)桜桃忌だ」なんて、待ち構えたことはない。
こんな風に文字に起こしてしまうと、来年から待ち構えてしまいそうだが、きっと1年後には忘れているだろう。そしてまた、不自然なタイミングで思い出すのだろう。

この現象がなんとも不思議な感覚で、いい表現が定まらない。
頭の中に浮かび上がってくるようであり、意識の中から引っ張り出されているようでもある。
あるいは、自分自身の中に降りてきているようであり、入り込んでくるようでもある。

でもこのはっきりしない、いい加減な心地が、とても気持ちよくて好きだ。
似たような感覚に、何の脈絡もないのに、なぜかふと、ある人を思い出してしまったのが、驚きと疑問と不可思議でそわつくのが気持ちいいというのもある。

さて、桜桃忌を迎えたからと言って、私は何をするわけでもない。
サクランボを食べるわけでもないし、せっかくだからと太宰治の作品を読むわけでもない。
ただこの桜桃忌に感じる不思議な気持ちよさに耽って終わる。

私はどうかしているか。
それでも1年のうち1度や2度、どうかしているときがあっても、人生は面白いのではないかとも思うわけである。

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