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好きなことより続けられることを選ぶ

世の中では仕事のやりがいについて議論されることがあったりします。
ただ、私はそのやりがいって本当に必要かな?と思ったりします。


◆そもそもやりたい仕事に就ける環境ではなかった

子供の頃はプロ野球選手になりたいとかありがちな夢がありましたが、成長とともに現実をみていくことになります。その中で、私は機械いじりが好きなこともあって、電気工事士等の資格を取得し、地元の電力会社に就職するのが夢でした。
ですが、家庭の事情で高校を中退することとなり、最終学歴中卒で学歴もなく、知識も知恵もない私を雇ってくれるところはほとんどありませんでした。
飲食業界に飛び込んだのも、当時は選択肢が2~3しか無く、その中でも「飯は食えるから」という理由だけです。料理人の父の失敗を見ているだけに、本当は飲食業界に進むのは嫌で嫌で仕方がなかったです。

◆自分の戦場を間違えない

例えば、田舎の学校一の秀才だった人が、都会の学校に進学したら下位に埋もれてしまい、最終的に退学してしまったというようなのはよくある話です。
自分の手札は何か、それをどう使えばいいのか、
学歴も無く不遇な家庭環境で育った私には、その配られた手札で勝負するしかありませんでした。
そんな私は、自分が好きな仕事をやろう、夢を追い続けようではなく、
好きでもないし夢でもないが自分が続けられる仕事、自分の居場所を作れる職場で生きていこうと決めて生きてきました。

◆なんとなく続いてしまった

飲食業は嫌で嫌で仕方がありませんでした。
正直今でももうやりたくありません。
(好きで飲食業に従事している方すいません)
ですが、結局そんな飲食業界に23年居ました。
料理を作ることはクリエイティブと思われるかもしれません。
しかし大事なのは考案した料理を10個作っても100個作っても1000個作っても毎回同じ味で提供するという果てしないルーティンワークです。
接客業でもあるのでやりがいがあると思われるかもしれません。
「美味しかったよ。ごちそうさま。」と言われる以上に酔客の相手は厄介です。
特に現在はSNSで一方的に告発、糾弾されたりするので、並のメンタルの人にはつらく、やりがいどころではないでしょう。
あと、ブラック労働になりやすい業種でした。

◆どんな仕事でも苦悩はある

例えば、プロ野球選手は一般の会社勤めが無いまま入団し、
結果を出し続けないとクビになり、第二の人生に躓くという人も少なくないでしょう。そのプレッシャーは私のような一般人には計り知れないと思います。
アーティストも決して好きな音楽ばかりをやれるわけではなく、常に自分たちのやりたい音楽と売れ線の商業音楽の間で葛藤していることでしょう。
よく料理が趣味でいわゆる脱サラして飲食店を開業する人も居ます。
趣味で作っていた料理をお客様に売って事業とするには損益を考えなければなりません。
最高の食材を使い最高の料理を作ることは、そこそこ腕に覚えがある人ならできるかもしれません。ですが、じゃあそれをいくらで売って食べてくれる人が居るのか、利益が出るのか。趣味でやってた時とは180度世界が変わります。
私は以前、とても美味しい料理を作るTwitterの友人に、
周りの何人ものフォロワーーがお店を開いて欲しいという中、
「趣味のまま続けて欲しい。仕事にすると料理が嫌いになるかもしれない。」と言ったことがあります。
もし実際にお店を開いていたらどうなっていたかはわかりません。
ですが、その方は今でも趣味として続け、友人に腕を振る舞う程度にしているようです。

◆やりがいを持てないのは悪いこと?

好きなことを仕事にできてお給料もたくさん稼げて、やりがいをもって生きていける人は、それはそれでいいと思います。
ただ、果たして世の中の何人の人が自分の好きな仕事、やりたかった仕事、やりがいのある仕事に就けるのでしょうか。
社会を構成する仕事はほとんどがルーティンワークです。
一部のクリエイティブな方が創造したものを保守管理していくのが大多数の人です。
私は少なくとも「その仕事やってて面白い?自分の好きなことできてる?もっとやりがいのある仕事を探せよ。」なんてことは絶対に言えませんし、
そのような事を言ってくる人は嫌いです。

◆続けられることが大事

結局のところ、私は仕事にやりがいなんて無くてもいいじゃないかと思います。
ただし、そこそこの生活ができるお給料を貰えるように頑張ることは必要です。
それは別にやりがいが無くても可能だと思います。
変に業務内容にやりがいを謳うより、「仕事なんてやりがいないよね。だるいよね。」的なところをスタートにし、
じゃあ、その仕事をどうしたらマシにできるか、楽しくできるか考えていかないと、いつまで経ってもやりがい搾取的な状況は変わらない気がします。

私は飲食業の店長時代、「仕事なんて大して面白くないと思うよ。でもそこで、例えば朝起きて今日も仕事か。行きたくないな。って職場にはしたくない。仕事自体はしんどいかもしれないけど、楽しいから出勤はしたくなるような、休日にはみんなが飲みにきてくれるような職場にしたい。」とバイトに言い続け、実践していました。
お陰様で、当時大学生バイトのほとんどは卒業までずっと働いてくれてましたし、お店の売上も利益も自然と上がりました。
そんな大学生バイトに囲まれていたので、私自身もなんだかんだ続けられたのだと思います。
つまり、続けられるような職場を構築したのです。

◆続けることが大事ではない

「続けられること」と「続けること」は違います。
私は労基法に違反するような会社は続けるべきではないと思いますし、続けられることではないと思います。
心と体を病む前にさっさと退職するべきです。
ただ、一つ言えるのはそのあたりのストレス耐性や体の強さはどうしても個人差があります。
私がいた飲食業界も大概労基法を無視するブラックなところばかりでした。
しかし私はおそらく生まれつきストレス耐性がそこそこあったこと、学歴も何も無い私は飲食業界が一番給料が良かったこと、何とかして職場は楽しくしようと努力したこと、独身だったことから続けることが出来ました。
例えば月給100万円稼げるなら月に300時間以上働けるぜという人も居るかもしれません。そこは、ワークライフバランスをどこに持っていくかを自分と相談する必要があります。
家族をもった今、私はさすがに当時のような労働はもうしたくないですし、運良く今は当時よりはるかに労働時間は少なく、当時より稼げています。

◆今現在は

今の会社、業種に転職して今年の9月で9年となります。
ここまで書いてて何ですが、実は今の仕事はやりがいが結構あります。
社長が色々と初めてのことばかりやらせてくれるからです。
ただ、いつかどこかで仕事がつまらないなと思うことがくると思います。
でもこの会社で働く事自体は楽しい。そんな会社でいられるよう引き続きがんばっていこうと思います。

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