世界36か国が重大な飢餓-「ロシア軍を撤兵させる」は正義だが、それ「だけ」が「すべてに優先すべき神聖不可侵の正義」でもない!

 野口先生のツイートより下記のようなものが目を引きました。
野口和彦(Kazuhiko Noguchi)さんはTwitterを使っています: 「サッターホワイト氏「ウクライナは欧州で最も貧しい国であり、ロシアに次いで腐敗の激しい国であり…世界122位の汚職大国です。冷戦終結後、ウクライナは違法な武器取引で悪名高く、これは旧ソ連が国内に大量に備蓄していたことに起因する。1992年から1998年にかけて、(続) https://t.co/G6AzBFBZVB」 / Twitter
野口和彦(Kazuhiko Noguchi)さんはTwitterを使っています: 「盗難、監督不行き届き、値引き販売などにより、320億ドルもの軍備が失われたのだ。 EUの法執行協力機関であるEUROPOLは、"ウクライナにおける銃器や爆発物の拡散は、確立された密輸ルートやオンラインプラットフォームを通じてEUに密輸される銃器や軍需品の増加につながる恐れがある "と指摘し(続)」 / Twitter
野口和彦(Kazuhiko Noguchi)さんはTwitterを使っています: 「ている。さらに、紛争終結時には、その脅威はさらに高まる可能性があると付言している。ウクライナに送られた武器は、すでにフィンランド、スウェーデン、デンマーク、オランダの地下ネットワークで見つかっている。 米国がすべきことは、現地査察の回数を増やすことだ。米国の援助開始以来、(続)」 / Twitter
野口和彦(Kazuhiko Noguchi)さんはTwitterを使っています: 「危険度の高い兵器の10%しか、そのような措置はとられていない…米国はウクライナ人自身による最終的な使用状況の監視を規定する必要がある。シリアルナンバーやジオロケーションタグの写真は、ウクライナ人と米国政府が共有するデータベースにアップロードすることができるだろう」。」 / Twitter
 ウクライナに供与された武器が横流しされないか、については早くからその危険が指摘されていましたが、現時点でもウクライナに供与された武器がフィンランド・スウェーデン、デンマーク、オランダなどの地下ネットワークで見つかっているとのことです。横流しはそれにとどまるのでしょうか。ウクライナは残念ながら汚職と違法な武器取引で悪名高い、は知る人ぞ知る現実です。ウクライナへの軍事支援をした結果、武器の密輸ルートが太くなってしまった、では大変な危険な事態を招きます。軍事支援にはこうした危険は常にあるのですが、汚職大国で違法な武器取引で悪名高いウクライナについてはその危険は大きい、その点も常に考慮する必要があります。劣化ウラン弾・クラスター弾のウクライナへの供与など論外です。

 アメリカの「世界食糧政策研究所」は22年には世界36か国が深刻な飢饉に陥っていることを報告しています。
世界36カ国が重大な飢餓に 22年、ウクライナ侵攻影響(共同通信)|dメニューニュース(NTTドコモ) (docomo.ne.jp)(4/8)
「同研究所は、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻が食料や燃料価格高騰を招き「世界の飢餓を著しく悪化させた」と強調。」(上記記事より直接引用)
  そしてロシア・ウクライナ戦争がその大きな要因であることはいうまでもないし、常に指摘されています。もちろんこの間飢饉に苦しむ国々への支援も行われていましたが、結局足りていません。そもそも支援を行う側の先進国の方も食料品価格・燃料価格高騰に苦しんでいます。その点は米欧だけでなく現在日本にも押し寄せてきています。
 猪野先生のご指摘です。
物価高騰が酷すぎる 食料品に対する消費税課税の緊急停止は必須 - 弁護士 猪野 亨のブログ (fc2.com)(4/7)
  ロシア・ウクライナ戦争が終われば解決する、という簡単なものではありませんが、戦争が続く限り飢饉の危機は解決せず、広がっていってしまいます。私たちも他人事ではありません。
 「侵略したロシア政権が悪い」は当然ですが、戦争が続く限りこうした事態が解決しない以上、一日も早い戦争の終結を模索する必要があります。そのためにはやはり、「今こそ停戦・和平交渉による戦争終結」が必要です。
「戦争が続いたらロシア軍を撤兵させる前に私たちが明日にも飢え死にする」という人々が世界には少なくないこと、そしてその人たちのことを考えなければならない、と思います。「飢え死にする人を一人でも少なくする」は重要な正義です。「ロシア軍を撤兵させる」だけが「何よりも優先すべき唯一不可侵の神聖な正義」というわけではありません。後者のみを「何よりも優先すべき唯一不可侵の神聖な正義」として議論することは、人命に関する様々な無視すべきではない正義を無視する論議に陥ってしまう恐れがあります(誤解のないようにいうと、「ロシア軍を撤兵させる」は重要な正義であることは当然でその点を否定するものではありません。ここで指摘しているのは「それのみを全てに優先する唯一の神聖不可侵の正義」としてしまうことの問題性です)。
 ただ「今こそ停戦」という主張には、「ウクライナ軍が反転攻勢に出ようとしている今それを主張するのはロシア政権をアシストすることだ」との批判もあります。
 例えば下記の志葉氏の「即時停戦論」批判の意見です。
「1.タイミングが悪すぎ この冬、#ウクライナ 東部攻略が失敗したロシア側は現時点での占領地をキープすべく守りに入る方針。他方、ウクライナ側は、これから被占領地を奪還しようとするところ。今「即時停戦」で最も喜ぶのはロシア側。当面、占領を継続できるから。」
 しかし、戦況については現在下記のようなことも伝えられています。
ロシア軍、バフムト中心部を制圧した可能性=英情報機関 | Reuters(4/7)
ロシア軍勢い取り戻す…バフムト攻防戦で英国防省が分析 (テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース(4/7)
 先日まで私たちが知らされてきたこととは異なる戦況です。「戦争を続けた場合ロシア軍の占領地がまた増えてしまう」という恐れも否定できません。またウクライナ軍が反転攻勢をしえたとしても、「勝利ライン(それがどこかについては、最近クリミア奪還まで、と、その直前まで、という異なった見解がウクライナ政府側から出されていますが)」まですぐに到達できるわけではなく一定の時間がかかります。その間当然「飢饉」の問題は深刻化していきます。それでもいいのでしょうか。なお志葉氏は戦場ジャーナリストだそうですが、そのツイートをみてもなぜか、4月5日の「今こそ停戦を」の記者会見批判は連発されていますが、同日なされた下記の件については現時点(本記事執筆時9日午後10時)までツイートはありません。
殺傷力ある武器輸出容認 自民・小野寺氏「考える局面」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)(4/5)
  この件はウクライナへの武器供与問題とともに、それに関連しての日本の安全保障政策の転換、という点をどう総合的に把握するか、という私たちの将来にわたってきわめて影響が大きい深刻な問題をつきつけていることです。「今こそ停戦を」記者会見批判とは対照的になぜこの件にはツイートですぐに触れることはしないのでしょうか?志葉氏はこの間「即時停戦論」を強く批判否定していますが、「ロシア軍撤兵だけが、なによりもに優先すべき唯一不可侵の正義」という思考に陥ってしまっているのではないか、疑問に思います。
  ロシア・ウクライナ戦争の継続で世界には「飢饉」に苦しむ人たちがいます。その人たちを飢饉から救うこと、それも重要な正義です。それらの点を考慮したうえで、正義のために出てくる解は、「今こそ停戦、和平交渉による和平合意での終戦を目指す」ではないでしょうか。ひとつの現象がつきつける様々な問題を総合的にみる視点が必要ではないでしょうか。
 最後になるますが、「今こそ停戦を」への署名、ご協力のほどを重ねてお願い申し上げます。下記サイトから可能です。
キャンペーン · #今こそ停戦を  賛同署名をお願いします · Change.org
「数は力」です。一人一人の声は小さくてもまとまれば無視できなくなります。

白井邦彦
青山学院大学教授



 
 


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