見出し画像

同じ景色を見ていても 「聴く」の考察 #4

仕事で一般の方へインタビューをする機会があり、インタビュアーとして参加していたのですが、本音を話してもらえていない違和感がありました。そんな中、株式会社COTENが運営するCOTEN RADIOのゲストに「LISTEN(日経BPマーケティング」の監訳をされた篠田さんが出演され、その放送内容に感化され聴くということに興味を持ち複数の書籍を読み勉強しました。

当初は業務スキルが高まれば良いな、ぐらいで勉強を始めたのですが、今は社会生活をする上での最重要スキルは「聴く」ことなのではないかとまで思っています。実践が足りずまだまだ勉強途中ではありますが、ここまでに学んんだことや気づきを書きます。

“「ヒアリング(聞こえること)」は「リスニング(聴くこと)」とは同じではなく、むしろその前段階にあるということです。「聞こえる」は受動的です。「聴く」は能動的です。”を考え方のベースに聴くという単語を使っています。

【引用・参考文献】
ケイト・マーフィー 篠田真貴子 LISTEN知性豊かで想像力がある人になれる 日経BPマーケティング、伊藤守 こころの対話25のルール 講談社、佐渡島庸平 観察力の鍛え方 SBクリエイティブ株式会社、帚木蓬生 ネガティブ・ケイパビリティ 朝日新聞出版

聴くとは同じ情景を見ようとすること

同じモノやコトに対して、自分でも状況によって見え方や感じ方が変わります。それは他人も同様だと冷静に考えればわかるのですが、それがいざ話を聞いている最中になると抜けてしまうことが災いの始まりです。一方で、相手の見え方や感じ方を聴くことで理解できたとして、そのまま共感せよという話でもありません。

勉強してみて、【「いま、ここにいる自分のこの気持ち」を共有できた!】と相手に思ってもらうことが聴くことのゴールだと個人的に理解しました。

考え方や感じ方は、相手の人生に根ざすもので共感するのはなかなか難しいですが、「嬉しい」「楽しい」「悲しい」「苦しい」・・・・といった感情に共感することはできると思います。それらの感情は、社会生活をする上で作り上げた表層的なセルフイメージの奥にある本質的な心の動きのはずです。

聴くができると、インタビューであればインアビュイーに安心感が生まれます。そこからの対話は、そうでない場合と比較し圧倒的に有意義な内容になるはずです。ここからは、聴く際におさえたい3点について書いていきます。

①好奇心をもつ

相手の話を聴く前提として、好奇心は必須です。そして、聴く姿勢を相手に見せることが、相手に「自分に好奇心を持ってくれているのだな」と思ってもらう唯一の方法です。それを前提に、2つ考慮すべきことがあります。

「なぜ?」と打ち返さない

好奇心があるからこその「なぜ?」だとは思います。しかし、相手は気持ち分かって欲しいだけなのに、なぜなぜ質問をされると身構えてしまいます。自分に置き換えてみても、全ての行動にロジックがあるわけではないです。それを説明せよと急に言われると、安心感からはほど遠い精神状態になります。なので、聴く際は相手の行動履歴というファクトを中心に進めるのが良いです。それなら、記憶を辿ることになるので安心して話ができますし、それを語る中で思考の整理も進むので、あとで「なぜ?」と質問した際、より洞察の深い回答が得られるかもしれません。

仮説が会話を勢いづける

話を聴く中で、自分なりの仮説を出して質問をすると会話がはずみます。相手の話を踏まえてという点が重要です。聴かなくてもわかる一般論は不要です。

好奇心は聴く場に来る前からすでに芽生えているはずのものです。可能な限り相手の情報を集めておく、仮説もすでにいくつか持っている、そんな状態であるか否かは相手にすぐに伝わります。

②判断しない

相手の話を勝手に解釈し「それは〜すべきだよ」などと判断していませんか?もちろん、何か期日があるビジネス案件をその場で具体的に決める必要がある場合は例外ですが、相手は基本的に判断は求めていません。気持ち(感情)を分かって欲しいだけなのです。では、なぜ相手の話を勝手に解釈し判断してしまうのか?要因として3つ挙げてみます。

自分を正当化したい

相手の話をそのままにしておくと、自分が否定されているような感覚になるということです。このモードに入ると、相手が話をしている最中でも、その内容よりもどう自分が切り返すかで頭がいっぱいになり、もはや何も聴けていない状態になります。

沈黙が怖い

これは、判断しているということだけでなく、沈黙を避けるためだけにその場しのぎの話をしてしまう、ということにもつながります。

その場で答えを出したい

ネガティブ・ケイパビリティという言葉をご存知でしょうか。どうにも答えの出ない、どうにも対処しようの無い事態に耐える能力という意味を持った言葉です。私もそうなのですが、何か未解決な事案を抱えていることに耐えられず、考えることもなく稚拙な策を講じたり他人に押し付けてしまうのは、ネガティブ・ケイパビリティが弱いということになります。

繰り返します。相手は答えを求めていません。その場はまず耐えましょう。

上記3つに共通しているのは、自分が主語になっていることです。「いや、相手のためを思ってやっている」と言いたくなる気持ちは抑えましょう。相手はそれを期待していないのです。

③自分フィルター(メガネ)の存在を認識する

自分には考え方のクセがあるということを認識することで、聴いた内容の解釈にワンクッション入ります。それが良いか悪いかということではなく、ファクトとして認識する、そして随時更新することが重要です。

外見、年齢、性別、人種、経歴・・・本来は関係ない要素に思考が引っ張られる経験は誰でも一度はあったかと思います。一度も無いと思われた方は、危険かもしれません。私は友人にこの話題を出したところ、「お前は生意気そうな後輩の話をやらた面白がる傾向がある」と言われたことがあります。その時はじめて気がつきました。。

まとめ

リモートワークが進み、コミュニケーションのあり方は変化が求められていると感じます。対面なら良いのか?チャットを頻繁にしていれば良いのか??など油断するとすぐに本質的でない議論が始まってしまいます。

聴くの学びから、コミュニケーションの本質を垣間見ました。思考と感情、変わるものと変わらないもの、共感できることと共感できないこと、、、不安定な情勢が続く中で、それぞれが所属するコミュニティー内における「安心感」の重要性は高まる一方です。

まずは、身近な人の話を 聴く ことかはじめてみませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?