思い出はいつの間にか通り過ぎるように、忘れていくけど...。
二度と思い出さないでいいよう、ずっと忘れようと思っても、急に思い出す事がある。
24歳の頃、とても好きな人ができた。
これが人を好きになるという事なんだと思ったし、それまでの気持ちとは全然違った。
年齢も同じで話しも合って楽しかった。
バイクで二人乗りして少し遠出して遊びに行ったりして、一緒にいられる事がうれしかった。
だけど、2人でまた同じ場所に行く姿が想像できなかった。
そういう時は寂しい気持ちで一瞬上の空になるけど、作り笑顔で誤魔化してた。
出会って1ヶ月半くらい経った頃に体調に変化が現れて、家に帰る為に別れる時、家で1人でいる時にメールがきて、返信を待ってる時、そういうタイミングの時にはすごく辛くなるようになった。
そして、なんで今は痩せないのかと逆に悩んでるのに、その時は1ヶ月半で11キロ痩せた。
身長は180センチあるけど、友人に会うと必ず「どこか悪いんじゃないか?」と心配されるようになった。
出会って3ヶ月が経った。なんとなく自分の中で、未来を想像できなくなっていた。どこかでわかっていたのかな。
実は自分は2番目で、遠距離になった間の間に合わせみたいなものだったってこと。
それからもしばらく現状を受け入れられずに見て見ぬふりをしていた。でもそんな関係が長く続くわけがなかった。
些細なことでケンカになり、その日を境に関係を終わらせる決断をした。
それから更に1ヶ月半くらい経った頃、街路樹脇の柵に腰掛ける様にして友達と話しをしていた。
その時、偶然その人が目の前を歩いて行った。胸が締め付けられる感覚と、話しかけたい欲望を我慢しながら背中を見送った。
それから見かけることは一度もない。15年経った今、偶然当時一緒によく聴いた曲が流れた。
音楽がタイムカプセルの蓋を開けた様に当時の気持ちを思い出した。
色々思い出した事で
「あぁ、もう思い出なんだ。とっくに前に進んでたんだな。」
と言うことに気づいた。
「思い出したくない出来事」ではなく「過去の思い出」として消化できた気がして気持ちが楽になった。