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楽天のブランドパーパスを考える

勝手に企業のブランドパーパスをつくってみるシリーズ。今回は日本を代表するネット企業、楽天のブランドパーパスを考えてみましょう。

「ダサい」楽天ブランド

楽天は言わずと知れた日本を代表するオンラインショッピングのサービスです。ショッピングモールと楽天ポイントを軸とした「楽天経済圏」を拡大し、サービス領域は証券、銀行、旅行などのネットコマースから、携帯事業、スポーツなどリアルビジネスにも領域を広げています。

成長を続ける楽天エコシスムですが、ブラントイメージは「ダサさ」がぬぐえません。

例えるなら、イオンモールとドンキホーテを足して2で割った感じ。「今日も新鮮な魚入ってまっせ、しかもポイント10倍!」のような。

楽天はお得で品揃えは抜群。ポイントが貯まるのは嬉しい。けど、お店で楽天カードを出すのはちょっと恥ずかしい。「ポイント」亡者とばらしているようで。。

楽天市場の画面を開けば「○○%ポイント還元」、「今ならポイント〇〇倍」、「XX%オフ」などのプロモーションのオンパレード。買い物をしに来たのかポイントを探しにきたのかもはやわからなくなるほどです。まさにポイント還元のダンジョン。百貨店ではなくドンキホーテ。表参道ではなく渋谷センター街。御堂筋ではなくてアメリカ村。好き嫌いあるでしょうが、それが楽天です。

楽天ブランドの葛藤

最近の楽天のブランド戦略には矛盾と悩みも感じます。

「楽天カードマン」を使ったインパクト重視のベタな広告展開をする一方で、楽天モバイルではピンクを基調としたブランドビジュアルを採用。プロモーションでは米倉涼子するなど挑戦的でスタイリッシュなブランドを志向しています(余談ですが、アメリカで大手キャリアに対抗する「革命者」として成長しているT-Mobileもピンクがブランドカラーです。ここら辺、楽天モバイルも意識しているのでしょうか)。

また三木谷社長自身のセルフブランディングも、以前の体育会系銀行員という印象から、ジャケット・ジーンズにスニーカーというシリコンバレーの起業家風のスタイルに変わりました。

従来の楽天は、ポイント還元が魅力の商業的なイメージが強すぎて、ハイテック・イノベーション企業からは遠いイメージでしたが、これからはテクノロジー・イノベーション企業というブランドイメージを強化しようとしているのでしょう。

ブランドイメージの葛藤は、現在の楽天のコーポレートミッションにも表れています。

イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする

これが現在の楽天のミッションですが、典型的に駄目なミッションステートメントです。

何か言っているようで何も言っていない。「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」なんてことはハイテク企業ならどこでも言えること。「イノベーション」と言いたい気持ちはわかりますが、あまりに汎用的すぎる言葉で、楽天のユニークさ、楽天ならではの志が何も感じられないのが残念です。

楽天の現在のブランドの課題は、消費者にとってポイントが魅力のバリューブランドを維持しつつ、単にお得さだけでない、先進的で未来的なミッションを発信できるかどうかにあると思います。

(完全に大きなお世話ですが、「楽天」という社名も不利ですよね。由来は安土桃山時代の楽市・楽座にあるそうで、その精神は素晴らしいと思います。しかし「極楽浄土」的な語感のせいで、ハイテクなイメージはどうしてもなりにくいですよね)

これからの楽天ブランド

ではここから、楽天のブランドパーパスのあるべき姿を考えてみましょう。

楽天が社会に提供するユニークな価値は何か?それは、買い物から金融など圧倒的なサービスラインアップと各サービス内での品揃え。ポイントを貯める楽しさとお得さを消費者に還元すること。そして楽天のサービスを使うなかで、他では得られない、発見と感動を提供することです。

圧倒的な「お得さ」、「楽しさ」、「便利さ」を、業界の慣習を打ち破って提供する。ショッピングを単なるショッピングで終わらせない体験。世界で最高にワクワクするお買い物体験。それが楽天の目指す姿ではないでしょうか。

そんなことから、楽天のブランドパーパスは次のように言語化できるのではないでしょうか。いくつか考えてみました。

最高の便利さ、お得さ、そしてワクワクを、全ての人に
圧倒的な便利とお得とワクワクを、世界中の人に
最高に便利でワクワクするコマース体験を、全ての人に。

英語だとこんな感じでしょうか。

Reinvent commerce, making it exciting and rewarding for everyone

日本を代表するネットコマース企業である楽天。魅力的なブランドパーパス掲げて、ぜひ新しい時代の楽天ブランドをつくっていってほしいですね。

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