<レポート>BRANDED SHORTS 2024 セミナー ~グローバルなAI×映像の最新事情~
SSFF & ASIA 2024で開催されたBRANDED SHORTS の未来を考えるセミナー。今回は「グローバルなAI×映像の最新事情」の書き起こしレポートを紹介いたします。
開催日時:2024年6月10日[ Mon ] 17:30-18:30
会場:赤坂インターシティコンファレンス
ゲスト:木之村 美穂 STUDIO D.O.G GK 代表 / クリエイティブディレクター
馬詰 正 プロデューサー
MC:阿部龍太郎 SSFF & ASIA プロデューサー
阿部:皆様、本日はBRANDED SHORTS X FUTUREグローバルなAI×映像の最新事情にお集まりいただきましてありがとうございます。国際短編映画祭ショートショート フィルムフェスティバル & アジア (SSFF & ASIA)では、2016年にブランデッドムービーを国際短編映画祭としての独自の基準を設け、それらの作品を集める公式部門BRANDED SHORTSを設立しました。設立以降、毎年6月に国際短編映画祭SSFF & ASIA内でBranded Shorts of the Year、優秀賞を発表するセレモニー、イベントを毎年赤坂インターシティにて行っています。
そして、今回はブランデッドムービーの可能性を追求するイベントで、AIをテーマとしています。申し遅れました私、モデレーターを務めさせていただきますプロデューサーの阿部龍太郎と申します。よろしくお願いいたします。
このイベントは、PARCO初の生成AI広告「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」をクリエイティブディレクターとして制作されたロサンゼルス在住のSTUDIO D.O.G GK 代表 木之村美穂さんと、プロデューサーである株式会社TYO の馬詰正さんをお迎えしています。
アメリカを中心に世界で活発になっているAI×映像、そして、Generative AI広告の最新事情をご紹介していきます。AIを使ってのブランデッドムービーや、ブランディングは何ができるのかということも考えていきたいと思います。
それでは早速、ゲストの皆様にご登壇いただきたいと思います。皆さん拍手でお迎えください。木之村さんはアバターでのご登壇になりまして、後ほどまたご紹介させていただければと思います。どうぞおかけください。
それでは木之村さん、一言自己紹介いただいてもよろしいでしょうか?
木之村:皆様こんにちは。ご来場いただきましてありがとうございます。私、ロサンゼルス在住、STUDIO D.O.G GK 代表クリエイティブディレクターの木之村美穂です。今日は私の代わりにアバターのミオミオが、海外での最新AIについて、特に2024年チェックしておきたいポイントなど、どこよりも早い最新のAIムービーの情報をお話させていただきます。このアバタームービーは、全てAI技術によって作られています。後ほど、お時間がありましたらご質問など受け付けますので、どうぞ楽しんで聞いてください。よろしくお願いします。
阿部:ありがとうございます。
馬詰:そして、僕はTYOという映像プロダクションでプロデューサーをやっております。馬詰と申します。よろしくお願いします。
阿部:木之村さん、馬詰さん、よろしくお願いします。私もここからまたモデレーターで参加させていただければと思います。まずは、お2人がこれまでどういうクリエイティブを手がけられてきたのかをお話しいただきいと思いますので、お2人が手がけられた作品の一つをご覧ください
木之村:今見ていただいたのは、私が2022年からはじめているAIとファッション、そして、今回はムービーを混ぜた世界のトップクリエイターの人たちの作品を集めたイベント『NFFT』(New Future AI Fashion Technology)をやっています。イベント紹介するティザームービーをAIを使って私がディレクションした作品です。
阿部:ありがとうございます。そういった作品をいっぱい手がけられているということですね。
馬詰:相当なお客様に来ていただきましてありがとうございます。
阿部:そうですね。今回木之村さん、馬詰さんがプロデュースしているAIによる作品を、ショートショートフィルムフェスティバル & アジアの今年の映画祭のオープニングセレモニーの会場でたくさん展示させていただいたら、たくさんのお客さんが来ていただいて!
馬詰:どのくらいの方がいらっしゃるかちょっと心配だったとところもあったのですが、ムービーが皆さんにとってきっかけとなって来ていただいたのかなとお話聞いて思いました。
阿部:ありがとうございます。木之村さんは、以前、広告もいっぱい手がけられていて今こういうAIの映像も手がけられているのですね。
馬詰さんも簡単にちょっとご経歴をお伺いできますでしょうか?
馬詰:はい。僕はTYOという広告映像プロダクションに所属していまして、ブランデッドムービーなども作っています。最近の例で言うと、2年前のパンテーンの就活キャンペーンで女子大生のひっつめ髪のお話や、LGBTQの方の就活におけるハードルみたいなことを髪の毛を切り口にして、ブランデッドムービーを作ったりしています。今日はブランデッドムービーとAIでどんなことが考えられるのかをお話できたらなと思っております。
阿部:ありがとうございます。TYOは、映画祭全体のサポートや、BRANDED SHORTS部門にもたくさんご応募いただいてノミネートもされています。
先ほど、木之村さんからもお話ありましたが、この一年でAI技術はだいぶ様変わりをしているということですね。新しくお2人が作られた作品が先ほどありましたが、追加でもう1作品ご覧いただければと思います。
阿部:ありがとうございます。最後のエンドクレジットにもちょっとヒントがあったような気もしますけど、これは、AIでどこまで作れるのでしょうか?
木之村:全てです。こちらご説明いたします。
つい最近の出来事で今年の4月のお話です。2023年に設立したばかりのスタートアップ二社、一社目はPika Labsという会社です。Pika Labsはシリコンバレーにあり、プロンプトから動画を生成するソフトを作っている会社です。二社目は、ElevenLabsという会社名で、ナレーションやボイスを生成AIで作り出すという特徴を持っている会社となります。この二社が、プロモーションとして、コンテスト開催しました。それが、すごく面白いコンテストでして、全てAIで72時間以内に3分間のショートフィルムを作るというのをやったのです。
このスペシャルコンテストの開催発表の仕方も面白くて、SNSのXに一文ポロっと出ただけで、これをチェックできた人が世界で果たして何人いたのかなって感じですけど、私は常に追っている側なので、たまたま募集要項を拾えて、やってみようと思いました。
もう1人、日本側でguntamixさんという、AIのクリエイティブの方と出ました。だから私とguntamixさんと、あと日本側で多分数人は出た方がいるのではないかと思います。
私は72時間で、先ほど上映された2分間のショートフィルムを作りました。私達以外には、プロの方ばかりで映画関係のシナリオライター、映像ディレクター、ハリウッドのスタジオもチームで参加していました。ものすごいハイクオリティのショートフィルムができていました。このコンテストに参加することによって、横の繋がりが一気にできちゃいましたね。このような、新しいことがどんどん行われています。
阿部:どのくらい応募されていたのでしょうか?
木之村:Pika Labsの方にロサンゼルスで行われたクリエイターミートアップパーティーでお会いしたのですが、何作品実際に出ていたのかは教えてもらってないです。ただ、トップテンは発表されていまして、それは相当クオリティが高くて、どう見てもプロだよねっていう感じでして、素人には無理だねっていう感じの作品ばかりでした。今見ていただいたのは、シナリオもChatGPTで書きましたし、全てプロンプトから画像を作って、画像から言葉と動画を作りました。ナレーションも全てElevenLabsを使っているので、AIじゃないのは、編集ソフトぐらいです。
阿部:ブロンプトは文章で指示を入れるということですね。プロンプトのことを呪文っておっしゃっていたと思いますが、どのぐらい呪文を入れたらこれができるのですか?
木之村:ものすごい大量のプロンプト(呪文)が入っています。例えば先ほどのショートフィルムは2分間ですが、中に静止画と言われる1枚ずつ、要するに、動く前の画像を作るわけです。まずその画像の1枚に対してどのぐらいの呪文が入っているか、恐らく皆様単語が入っていると思われると思いますが、私の場合は単語ではなくて、ものすごい複雑な文章が入っています。それは英語です。私達が使っているのは、日本語にあまり対応しておらず、英語で作っています。例えば、先ほどロボットがランウェイみたいなところを歩いていましたね。この場合は、まずどのカメラで撮っているか。カメラの種類、レンズ、アングル、それからどこからどうライティングが入っているかなどを文章にします。なので、撮影をわかっている人でないと多分できないと思います。
阿部:なるほど。要は、そもそもリアルな映画撮影がわかってないと、どういう指示を出したらいいのかわからないのですね。ただただ、「こういう映像を作って!」くらいの感じではないのですね。
木之村:一応それっぽいのは出来ますよ。だけど、今見てもらったぐらいの感じにするには、全ての撮影技術、編集的なことを知っていないとだと思います。特に、私の場合は元々洋服のデザイナーで、そこから映像のファッションフォトグラファーの方に行った組なので、ファッションのこともわかってないと、プロンプトが入れられないわけですよ。例えば、さっきはロボットでしたけど、人間の女の子であれば、どんなヘアメイクにするのかを指示しなければいけないのです。トレンドのメイクアップや、肌の質感はマットなのかグロッシーなのか、アイラインの色はどのぐらいの色で、どんなアイラッシュをつけているかとか、全部具体的に入っているんですよ。
阿部:おお。それは本当に総監督ですね。
木之村:はい。総監督でもあり、さらに美術監督的な、例えば後ろのセットはどういう倉庫にするのみたいな。ニューヨークのウェアハウスみたいなところの窓から光がどのぐらい入ってとか、そういう本当に具体的なことが全部入っているのですよ。
阿部:もう細かい指示があってこれが出来上がっているわけですね。
馬詰:カテゴリーの専門用語の辞書のある部分がごっそり入るくらい、プロンプトが入らないとそう簡単にはいかないっていう
木之村:もちろん、いろいろあってプロンプトを入れすぎてもまた出ないんです。例えば、私が作ったプロップを馬詰さんが同じものを入れても、同じものって絶対出てこないのですよ。これは、不思議なことで。
馬詰:これはAIの特徴で、常にラーニングモデルはラーニングしていて同じものは生成できないのです。常に移り変わってしまう。
木之村:すごくAIの面白い部分というのは、自分が意図したものとは違うものが出てくる可能性があるわけです。人間の頭で考えられるものとは違う偶然性が生み出す、すごく面白いものが出てきたりする。なんかそれを楽しむっていうのが、AIの面白さだなと思います。
アメリカ・日本でのAIにまつわるトレンドトピックは?
阿部:そうですね。後半その辺りのお話をお聞かせいただければと思いますが、木之村さん、アメリカで拠点にされていると思いますが、直近でAIにおけるトレンドトピックみたいなものがあれば、お聞きできればと思いますけれどもいかがでしょうか?
木之村:わかりました。トレンドとしましては、私もフィルムプロダクションをやってきたし、映像のことも散々やってきましたが、3年前のWeb3.0という、新しい時代が来たときから、いろんなテクノロジーを使った新しいイベントがすごく多くなってきたとは思います。
AIって言い出したのは去年の春ぐらいからです。日本語だと、生成AIって言いますが、ジェネレイティブAIという、それが冠についたイベントがもうどんどん増えています。全米であれば、大小問わず1ヶ月に1回くらいはイベントをやっています。
阿部:馬詰さん、逆に日本はどうですか?AIと映像クリエイターの状況って?
馬詰:僕と木之村さんがムービー出身のチームであるってこともあると思いますが、今年4月の「Pika」っていうのがAIのムービー生成のステージを上げたソフトウェアになります。ムービーを作るAIです。その会社が主催して72時間のコンテストをやりました。
ムービー関係者が、生成AIって何ができるのかっていうのを、もう一段階自分ごとにした感じがあって、先ほどお話にあった4日のNFFTの展示とかもムービーのAIだったわけですけど、日本のクリエイターの参加人数というのは、去年に比べるとちょっと増えているわけです。そういう意味で参加するクリエイターの間口が広がっているような実感はあります。
阿部:ありがとうございます。
木之村:今馬詰さんが言ってくれたことに補足すると、去年もイベントをやったのですが、そのときはムービーがまだそんなにできなかったから、1枚の静止画を展示するイベントでした。それが、今年になってガラッと進んじゃったから、映像関係の人がもう黙っていられず「やってみたい。」と増えた気がします。6ヶ月以内に変わりました。
阿部:ありがとうございます。そうですね。ショートフィルムの世界においても、我々は映画祭もやりつつ自身で映画も作っていますし、短編を配給することなどをやっていまして、AIのPikaもおそらく同じマインドで、自分たちでシステムを作りながらコンテストもやることで、その理解がより深まっているタームに今なっているのだろうなというふうにすごく感じました。最初のアーリーアダプターは、本当にチャンスですよね。
さっきWeb3.0というキーワードがで、ましたが、実は我々もLIFE LOG BOXっていう、映像のデータを預けたら、NFTをつけて販売することができるプラットフォームを去年立ち上げています。ここでクリエイターの新たなビジネスや、新たなクリエイティブっていうものを引き出していけるテクノロジーWeb3.0とAIっていうのは、ショートショートとしてもすごく注目しているエリアになっています。これからAIで映像制作をされる方々に向けてAIが得意な領域をお伺いできればと思います。木之村さんいかがでしょう?
AIの得意分野は?弱点はあるのか?
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