「企業版ふるさと納税を活用した映像制作の可能性」イベントレポート
2023年6月13日(火)に、BRANDED SHORTS 2023のセミナーとして【企業版ふるさと納税を活用した映像制作の可能性】が、赤坂インターシティコンファレンスで開催されました。
※BRANDED SHORTS 2023は、米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)2023」の中で開催。
企業版ふるさと納税を活用した映画・ブランデットムービーなど映像コンテンツの制作方法や可能性を3つのパートに分けて具体的な事例と共にトークが繰り広げられました。
Part1:「企業版ふるさと納税の概要や課題・動向について」
はじめに内閣府企業版ふるさと納税マッチング・アドバイザーとしてご活躍されている晝田(ひるた)浩一郎さん、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」の運営や地方創生事業を展開する株式会社トラストバンクの岸上忠弘さんが登壇し、映画祭代表の別所哲也がモデレーターとして企業版ふるさと納税の概要、ふるさと納税との違いや、企業、自治体にとっての金銭以外での利点についてお話を伺いました。
企業版ふるさと納税の課題としては、認知度が低い点や、企業、自治体の両社に明確な将来のビジョンを持つことの重要性が挙げられています。
しかし、傾向としては寄付金は約225億円、件数でおよそ5,000件と右肩上がりとなっており、「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」において北海道大樹町、徳島県神山町が受賞している例も挙がり、企業と自治体が社会課題解決を目的とした活用が進んでいます。
パート1の最後には、企業版ふるさと納税と映像情報発信の重要性について展開され、映像事例として三菱UFJ銀行の北海道6自治体へ3億円の寄付をした、Z世代を巻き込んだプロジェクト事例が挙げられました。今後さらに、企業版ふるさと納税を活用した映像情報発信が、活性化されることが期待されています。
SSFF & ASIAでも2012年から国土交通省観光庁と共に、全国のご当地PRムービーを取り上げ表彰するアワードプロジェクト「観光映像大賞 観光庁長官賞」を行っています。
Part 2:愛知県蒲郡市での旅番組・ドキュメンタリー・ドラマで構成したテレビ番組『∞ゾッキ』の事例紹介
具体事例の1つ目として愛知県蒲郡市で撮られた映画『∞ゾッキ』と、その裏側を撮影した「裏ゾッキ」について、映像制作に取り組む経緯、作品づくりのきっかけなどが紹介されました。
本作は蒲郡市が企業版ふるさと納税を活用したモデルケースとなり、周りに広げていくこと、単発のプロジェクトではなく持続可能でサステナブルな環境づくりが必要なことなど、経験談をもってお話しいただきました。
トークの後半では、人との繋がり、コミュニティの重要性があげられ、企業とまち、制作側のプロジェクトに関する深い理解と繋がりによってやり遂げることができたなど、次のプロジェクトに繋げるためにも支援の輪を広げていくことの重要性があげられました。
最後に、自治体としてはロケ場所を提供して終りではなく、その収益が少しでも地域に戻り、その資金を次作の費用にするなど、循環していく仕組みづくりが必要だと話されました。
Part3:岐阜県飛騨市での映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』の事例紹介
具体事例の2つ目は、岐阜県飛騨市で撮られた映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』のプロジェクト。
まずは飛騨市の特徴や、人口減少の先進地であることの紹介があり、人口減少が進む市ならではの取り組みとして、飛騨市ファンクラブ制度を設けて、約1万1千人からの支援を繋げていることなどが挙げられました。
また、ロケ誘致に力をいれており、アニメ映画『君の名は。』のモデル地となっていることがきっかけとなって映像作品の力を知り、ロケツーリズムなどロケ誘致への強化を行うための具体的な取り組みについてご説明をいただきました。
映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』の制作にあたり、監督から市全体の繋がり、景観が作品にマッチしていたこと、自治体との完成映像のビジョンが共有できたことがロケ地の決め手となったと話されています。
自治体も制作側の熱い思いに共感し、企業版ふるさと納税を活用して独自に資金集めの窓口を設立したこと、助成金づくりのための市の努力について語られました。
最後に、ロケ誘致をする自治体として映像制作陣の思いを大切にし、一緒に作品をつくっていけるかどうかの意思確認をすることの重要性を挙げ、その中で資金集めのツールのひとつとして企業版ふるさと納税の有用性が話されました。