「そうじゃない」未来がすぐ側に横たわっている気がして

月-金で毎日毎日仕事に行って、すっかり暗くなってから帰宅する。
一日の半分以上を職場で過ごして、休息は会社の寮だからもうずっと会社にいるみたいなものだ。
車を運転している時だけが自分の空間。

現実逃避したい気持ちがたまによぎるようになった。
だけどそれは逃げ出したいという強い気持ちではなくて
思考の逃げ場としてここじゃないどこかを探しているだけみたい。
今ここにいない自分を思い浮かべることにどれだけの意味があるのだろうか
意味。意味。いや意味ではなくて
ここではないところに考えを巡らせることにどんな価値があるのだろうか。

そうではなかった自分がすぐ側に横たわっている気がする。
プラットフォームの最前列で数十cm先を電車が駆け抜けていくように。
蝶の羽ばたきによる位相のずれで
電車が来た瞬間にぼくの座標が数十cm狂えば身体は吹き飛ばされる。
明確に分けられた生と死の境界線が身体のすぐ側に引かれ続ける。
ビルの10Fにいる時の窓に対する恐怖心や
病院の待合室で隣に座るおじいさんと自分
この感触をどうやったら耐えることができるのだろう。

毎日変わらずに過ごしている日常が唐突に変化するきっかけは
あまりに世界にたくさん転がっていて
ぼくの周りだけに偏在しているような被害妄想で
突然に自分の世界が反転してしまうような
そんな強迫的な何かのささやきが
ぼくの側を離れない。

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