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ブランディングは、コンプライアンスを取り込むことで完成する。

コンプライアンス違反は、ブランド価値を激しく棄損する。

こんにちは。ブランディング×弁護士の三浦です。今日もブランディングの視点から、コンプライアンスについてお話しします。

コンプライアンス違反は、ブランディングを行っている企業にとって最も避けたい事象の一つでしょう。ひとたびコンプライアンスを起こすと、手塩にかけて育てたブランド価値が一瞬でガタ落ち。私が見た事例の中には、ブランド価値の40~60%が吹き飛んだものもありました。

財務的なインパクトはもちろんのこと、ひどい場合には取引先から契約を打ち切られたり、不買運動がおこったり、広告を打つことができなくなったりと事業活動への影響は計り知れません。そんな会社に見切りをつけて、他所に移ってしまう従業員だっていることでしょう。

ブランディングにとって、コンプライアンス違反は最大のリスクイシューなわけです。

ブランディングとコンプライアンスの溝

ところが、多くの企業にとってコンプライアンスは「法律問題」。ブランディングの一部としてコンプライアンスに取り組んでいる企業はほとんど皆無と言ってもいいのではないでしょうか。

その原因はいろいろありますが、私が考える最大の原因はブランディングに携わる人がコンプライアンスや法律という世界と縁遠いことではないかと思います。

人によって差はありますが、ブランディングに携わる人の多くは、マーケティングやクリエイティブ、デザインといったバックグラウンドを持つ人が多いですよね。これに対して、コンプライアンスに携わる人の多くは法律のバックグラウンドを持っています。

これらのバックグラウンドは、同じ「人文系」と呼ばれるものでも、全くと言っていいほど考え方や文化が異なります。例えば、所与のルールから演繹的に結論を導き出す法律に対して、マーケティングは実在の事例を紐解いて、そこから帰納的に論理を探し出します。これだけでも「法務の連中はルールを振りかざすばかりで杓子定規だ」「営業の連中は、行き当たりばったりですぐ暴走する」といったすれ違いの原因になります。

でも、そんなこと言ってられません。コンプライアンス違反が起きたら全員が困るわけですから。

溝に橋を架ける「コンセプトドリヴン・コンプライアンス」

ブランディングは、コンプライアンスを取り込まなければ完成しません。他方で、コンプライアンスもまた「法令遵守」を叫ぶだけではうまくいきません。

両者の橋渡しが必要なのです。

これができるのは、両方のバックグラウンドを持つ私のような奇特な人間だけだろう、ということで、今般上梓したのが「コンセプトドリヴン・コンプライアンス 担当者の9割が見落としている企業コンプライアンスの極意」です。

この本は、企業コンプライアンスに長年携わってきた弁護士であると同時に、企業ブランディングの研究者でもある私が、コンプライアンスとブランディングの橋渡しをするために書いた本です。

コンプライアンス担当者の皆さんにとっては、ブランディング担当部門との会話のきっかけになる本として、ブランディングの担当者の皆さんにとっては、コンプライアンス担当者が何を考え、どんな課題を持っているのかを知っていただくための一冊として、お役に立てるのではないかと思います。

インナーブランディングをしているけれど、なかなか社内制度や規程類にそれを反映することが難しいという方や、コンプライアンスを企業価値向上のための全社的な運動にしたいけれど、突破口が見つからないという方に特におすすめです。

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