見出し画像

3時のおやつは文明堂♪

私は新潟の下越地方出身で、この歳になるまで、文明堂のカステラのCMを知らずに大人になった。

というわけで、カステラ自体は確かいただきものなどで食べたりしたことはあったような気がするけれども、自ら身銭を切って食べるのはこれが初めてのことになる。


あれこれ大人買いしたら、こんな大きな紙袋に包んでくれた。この潔さとキッチュさの配分が絶妙なパッケージデザイン。こんなヒゲ面のオッサン二人が妙にキュートなのは、きっとこの二人は間違いなく甘党なのだろうな、と想像できるからだろう。

まずは正統派どら焼き。どら焼きを指して三笠山と呼ぶのは西の文化だ。文明堂は長崎市に総本店を構える超老舗菓子店である。

ところでカステラは洋菓子なのではないかと混乱する向きもあるかと思うのだけれど、洋菓子と和菓子の違いはその起こりと定義によって区別される。区別の鍵になる境界線は明治の文明開化以降にヨーロッパなどの諸外国から輸入された製法か否かという点と、油脂類や乳製品を用いているか否かという原材料の違いによって判断される。

時期的な話で言えば、カステラは明治より遡って、安土桃山時代にスペイン・ポルトガル・オランダをルーツとして日本に入った後、日本で独自の進化発展を遂げた南蛮菓子だ。その歴史の深さと、今となっては日本のカステラと同等の菓子が、輸入元であるはずの前述した国々に見当たらなくなってしまっている…という実状から、和菓子として大別されている。

と、蘊蓄はこの辺りにして。

皮には清酒と醤油がかくし味(?)として使用されている。あんこの瑞々しさは水飴と寒天によるものらしい。こちらのどら焼きのあんこは深みのある黒。じっと見つめると吸い込まれそうな有機的な黒。炊き方によるものか、あるいは小豆の色味がもともと濃い品種なのか?

対して、こちらは「洋風どら焼き」と銘を打たれた「さんどら」シリーズ。

例によって桜風味ブームが来ている個人的嗜好に基づき、買わずにいられなかった期間限定メニューの桜さんどらと、通常版のさんどらの二つを購入。

通常版さんどらのアップ。

撮影環境が異なるので一概に言い切れないものの、さんどらの方が皮の色味がきもち黄色味が強いような。それに皮生地に弾力というか粘り?があり手でちぎりづらかったこと。あとあんこの色や質感がこうして見比べると分かりやすい。

三笠山の皮は小麦粉の比率が最も高いのに対して、さんどらは小麦粉に対して鶏卵の成分比率の方が高いらしい。それに植物油脂や脱脂粉乳も使われているという点が「洋風」とされる理由とわかる。

食べた感想として最も強く印象に残ったのは、さんどらの方は2パターンとも皮に「マーガリンの気配みたいなもの」を感じたこと。植物油脂が入っているのでそれでなのかもしれません。それに「洋風」という刷り込みによるのかもしれないけれどもホットケーキの親戚、みた様な心持ちにもなった。油脂が入って生地自体にしっとりとしたテカリ感を感じるからかもしれない。

今回は大人買いしたことで必然的に「食べ比べ」になってしまい、三笠山とさんどらの差異の部分ばかりに気を取られてしまったのは少し反省点ではあるものの、なんだかんだ言って、どれも私はありがたく美味しくいただいた。

あと気になったのは、この桜あんはあんですマトバ製なのかなーなどといったこと。どうなんでしょうね。


最後に、冒頭のCMを彷彿とさせるミニカステラを。手のひらサイズの立方体に小ぶりなカステラが二つ仲良く並んでいる。

カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂〜♪

味も品質も確かで、チェブラーシュカのようなくま(?)もコロンとしたサイコロみたいなパッケージもかわいいので、友人と会うときの手土産に、またお世話になりたいものです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?