「ありがとうございます」という言葉に思うこと

 「ありがとうございます。」
日本で生活する自分たちにとってよく耳にする言葉だ。とても不思議な力を持った魅力的な言葉であると思う。口にする方、される方のどちらの人もいとも簡単に幸せにしてしまう。いわば魔法のようだ。しかし、この世の中に完璧な魔法が存在しないようにこの言葉で手放しに幸せだと感じられない人間がいる。それが私だ。幸せになれないというのは多少言い過ぎたかもしれないが、苦悩しているのは事実である。それは、この言葉は「あまりに長すぎる」からだ!この長すぎるというのはレジで会計してもらった店員に対して言う時によく感じる。私はそもそも滑舌が良くない方だ。滑舌という言葉自体も音声入力を一発で変換できる自信がないほどに良くない。そんな私にとって「ありがとうございます」という10文字の言葉はなかなかのプレッシャーである。私は接客バイトを経験したことがあり、「ありがとうございます」と言われると仕事をしている自分の存在を肯定されたように感じ、とても嬉しくなったことがある。それ以降、積極的に言うようにしている。しかし、いざ自分が言うとなると難しい。これまで、納得できる「ありがとうございます」を言えた試しがなく、「ありがとうございます」の「ます」の時点でいつも自信が消失し、もう私のことを見ないで…///と思ってしまう。なんとも悲しい生き物だ。そんな私を前に幸せな気持ちになる店員がどこにいるのだろうか。
英語だと「センキュー」。センキューの伸ばすところで颯爽にレジから去ることができそうである。
中国語だと「シェイシェイ」。バイバイのように気張らずに発音できそうである。
その他にも海外では色々な言語があるが、「ありがとうございます」ほど複雑なものはないと思っている。これは神様が私に海外に住むように言っているのだろうか…。そう思いTOEICの英単語帳を開いたが程なくして読むのをやめてしまった。英語は「ありがとうございます」より習得が難しい。


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