自己紹介での趣味と特技

 自己紹介を一度もうまく出来た記憶がない。思春期に入る寸前の小学3年生ぐらいの時は、自意識がそこまで強くなかったため上手く出来ていたのかもしれないが、残念ながらその時の記憶はない。自己紹介の時期が近づくたびに、慌てて自己紹介用の趣味や特技を無理矢理作ろうと思うのだが、自己紹介に自分が振り回されていることにモヤモヤしてやめてしまう。結局、自己紹介の時に後悔するというのがここ10年間のルーティンになりつつある。
 一番最近の自己紹介では、お笑いが見るのが好きと言って具体的な芸人の名前を3組(有名なものからマイナー目なものまで)挙げたが、聞こえていなかった!?と思わず疑ってしまうほど反応がなかった。自己紹介をする前に、「お笑い好きの友達ができちゃうかもっ!」と思っていた自分を殴りたくなった。人殴ったことないけど。この自己紹介の後に、「インドカレーと粉物が好きです!」か「麻雀が好きです!」のどっちかにすればよかった!!と本気で後悔した。
 高校の自己紹介では、「永遠の0」と「世界から猫が消えたなら」の二冊しか読んでいない状況で「読書が趣味です」と言っていた(どちらもかなりの名作)。高校時代の自分には、「できるだけ波風を立てずに生きよう」という弱腰なポリシーがあり、まるで幽霊かのように生きていた。その中で読書が趣味というのは私の中で無難中の無難であり、自己紹介のテンプレのように思っていた。今では、自己紹介の後に「趣味の合う人に話しかけられないかな〜」とソワソワしているが、この時に読書好きの人に話しかけられたらかなりまずかったと今となっては思う。高校時代の自分の特技である"話かけるなオーラ"に感謝する日がくるとは…。

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