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ヘリ空母(アマガエル)が正規空母(殿様ガエル)でなくて「なん」なのか?〔続・3〕

 ※-1「本稿〔続・3〕」の記述開始に当たっての断わり 

 この「本稿〔続・3〕」の初出は,2013年8月28日であってその間,10年と3ヵ月以上の時間が経過したが,議論している内容そのものが陳腐になっていたわけではなく,戦争論・軍事評論としてこれなりに意味のある検討をおこなっていた。

 本稿は「ヘリ空母(アマガエル)が正規空母(殿様ガエル)でなくて『なん』なのか?」と表現していたが,当初,日本国防衛省が空母に関してであってもごく軽いノリで,この軍艦の増強を(海上自衛隊では空母も「護衛艦」というふうに,まったく奇怪にも自称するが),それほどたいした変わった意味はないかのように語っていたけれども,

 この記述が最初に書かれてから10年(一昔)も経った現在の時点になってみれば,いまでは堂々と本格的な正規空母と呼称(誇称)できる「いずも型空母」を建造し,配備できるにまで至った。あと1年ちょっとも待てば,同型の2番艦である「かが」が,ヘリ空母として造艦されていたものをわずかばかり変身させて,いよいよ本格空母として就役させる予定である。

 この記述の更新し,書こうとした今日,軍事関係のつぎのニュースが報道され,またもや大騒ぎになっていた。例の「未亡人製造機」と恐怖されたオスプレイという「ヘリ型風のエンジンを装備した輸送機」,それも垂直離着陸機として操縦される軍用機に関した報道である。

オスプレイの画像はつぎ( ↓ )に紹介
アメリカ以外では日本だけが保有している
という点が注目か?

 防衛省の『防衛白書』2023年版には,日本の陸上自衛隊がオスプレイを13機保有・運用していると記されている。『防衛白書』2022年版もしらべてみたが,こちらでは9機であったから1年で4機増えた。

 オスプレイの正式名称関連でいうと,型式:ティルト・ローター機,機種:Vー22,用途:輸送,エンジン:ターボシャフトなどと説明されている。よりくわしくは,つぎの参考資料を参照されたし。

【参考資料】-『防衛白書』2023〔令和5〕年版から-

 以上,オスプレイ関係の記述は,いうまでもなくこのヘリ型の航空輸送機ならば,日本の軍艦としての「いずも型空母」からも離着艦が可能だと「想定し推定する」ための含意をもたせたつもりである。

 この連続した記述各回のなかではすでに,つぎの画像資料をかかげてあった。これをいま,あらためてよくみてみると「護衛艦ひゅうが 全長197m」である「ひゅうが型空母」の飛行甲板には,実はオスプレイが3機描かれていた。

 この飛行甲板上には,通常の軍用ヘリが舳先に近いほうの位置に1機(のみ!)表現されているのに対して,なぜかオスプレイは3機描かれており,オスプレイを強く意識したこの画像の内容になっていた。

 なお,日本の自衛隊が保有するオスプレイは全機,陸上自衛隊に配備されている。( ↓ )として甲板上の位置を示してみた。ヘリ空母だから当然の作図?
                  (            )

ひゅうが型空母のときはオスプレイ搭載可能だとすでに宣伝していた
いずも型空母になるF35Bを搭載する予定
自衛隊の軍楽隊が奏でる軍艦マーチもいよいよ勇ましく聞こえてくる

 前段の記述は,「もしかしたら空母としての航空甲板の広さ(前後左右)にてらしていえば,いずも型空母よりも一回り小さい『ひゅうが型空母』であっても,オスプレイの離着艦が不可能ではあるまい」などと考えついて記述したところで,実は以上のごとき防衛省自衛隊海上自衛隊側の着想は,すでに早くから明確に提示されていたことに気づいたので,以上のように言及することとなった。

 

 ※-2 ヘリ空母で本格空母「遼寧」を撃沈? -想像もたくましく,日中の空母に戦わせて,どうなる-

 ここでは「模擬演習にもならない勝手な妄想絵」,「核戦争の破壊が始まったらこの地球はどうなる?」という問題意識でもって,本日のこの記述をつづけて書いていきたい。

 1)  プラモデル「ヘリ空母〈ひゅうが〉」の箱絵

 先日(ここでは2013年8月中の話だったが),歯科医院にいって待ち時間のとき週刊誌をみていたら,軍艦のプラモデルの販売広告が出ていて,しかもその箱には「想像海戦」図が描かれているこの宣伝に出会った。当該の話題は,少しあとにまわして記述するところとなるが,海上自衛隊ヘリ空母「ひゅうが」のプラモデルが販売されていた点に関連しての議論となる。

 その前につぎのことがらに触れておきたい。そのプラモデルは,原子力空母についてではなかったが,ある「航空母艦」のことを話題にとりあげていた。

 それは,旧ソ連がこの国の崩壊後,建造の途中で廃棄状態になっていた空母「ヴァリャーグ」を,中国が,ソ連から独立したウクライナからくず鉄として購入し,改修(もとは空母であったのでこれにあらためて艤装)作業をほどこして竣工させ,中国名で「遼寧」という艦名をつけ,本来の空母に復活させていた,というこの艦艇に関係する話題であった。

 最低限の軍事知識があれば,ヘリ空母と通常の本格空母が戦ったら,前者は後者に対しては不利であり,勝てそうにはないことは,すぐ理解できる判断である。単純に考えればそうとしか考えられない。

 ただし,現在開発準備中であるハリアー型戦闘機の後継機種で,垂直離着陸機仕様のF35B型を,ヘリ空母が搭載して戦えば,互角〔かそれ以上の〕の作戦・戦闘ができる可能性は生じる。

F35B離着艦の様子

 だが,いまのところ(ここでも2013年8月の話であった),F35は〔アメリカでも配備はまださきの話であり,日本がいつ調達できるかまだ確定していない〕実戦配備されていない段階だったので,以上の「想定」はまだ現実的なシミュレーションではなかった。前掲,産経新聞の関連記事はだから,こう報道していた。

 ( ⇒ただし2023年の現在はその10年後となっており,前後する話題じたいの様相は,すっかり変わっている。つまり,その間においては相当に事情の進展がみられた。だが,ここでは,ひとまず10年前の話題そのものとして聞いておくことにしたい )

   ☆ F35は日米ほぼ同時に配備へ “完成機種” は間に合わず ☆
      -『産経新聞』電子版,2013.6.1 21:29 -

 米国防総省は〔2013年〕5月31日,最新鋭ステルス戦闘機F35の開発見通しに関する報告書を議会に提出した。

 航空自衛隊も次期主力戦闘機として採用する空軍仕様のF35Aについて報告書は,2016年12月までに「初期運用能力」(IOC)を獲得し,実戦配備が可能になるとの見通しを示した。

 航空自衛隊は2017年3月末までに,米国から空軍仕様4機の引き渡しを受ける予定で,米国での配備とほぼ同時期に受けとるかたちとなる。

 しかし,調達計画に関する最新の内部報告書(SAR)によると,至近距離での空中戦に欠かせない短距離ミサイルなどの性能が発揮できる最終型ソフトウエア「ブロック3F」の納入は2017年8月の見通しだ。

 米国防総省は産経新聞の取材に,日本に売却するF35には3F型ではなく,至近距離の空中戦が不可能な「3I型」が搭載されると明言,日本側の要求を満たさない戦闘機しか納入できないことを認めた。

 米国防総省は,IOCを獲得した段階で許可されるF35の量産承認はさらに遅れて2019年夏以降になると見積もっており,完成品の量産開始と実戦配備の時期は依然,不透明なままだ。

 報告書はまた,海兵隊仕様の垂直離着陸型F35Bについて,2015年12月の配備をめざすとした。最初の国外配備先として,2017年中の米軍岩国基地(山口県岩国市)に予定されている。

 最新鋭ステルス戦闘機J20(殲20)の開発,配備を急ぐ中国軍に対し,航空自衛隊や嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の米空軍とともに,東シナ海での制空権維持と島嶼防衛に備えるのが狙いだ。

『産経新聞』2013年6月1日

 2)プラモデル『HYUGA ひゅうが』2013年の話題

 前段で言及した話題に戻る。

 つぎの画像(これは海上自衛隊ヘリ空母『ひゅうが』のプラモデルの箱絵である)をかかげてであったが,ある中国(人)のホームページが「日本を批判していた」する文章を公開していた。10年も昔になる話であったが,いまにも通じる内実があるという筋合いで,以下の記述に進む。

 この箱絵の右端のほうをよくみると,中国の空母「遼寧」が爆発し,火焔・噴煙を上げ,撃沈される様子が描かれている。ということで,中国側からすると,「たかが」プラモデルの箱絵であっても「されど」相当ムキになって反撥する,という話題が提供されていた。

右側に小さくでもはっきりとこのように遼寧が撃沈される絵が描かれた
というわけで中国(人)側からは反撥が生まれた?
      

 というしだいがあって当時,日本の国内メディアでは,プラモデルの箱に描かれた絵だと思われる画像が話題になっていた。「離島防衛作戦」というタイトルがその絵には添えられていた。

 前掲した箱絵には実は,中国の領土である釣魚島(日本名:尖閣諸島)が左側に描かれてもいたが,その部分は切り落とした画像として提示されていた。そこで,この箱絵の全体を出している別の画像を借りて示すとこうなっていた。その魚釣島は攻撃を受けたのか噴煙が上がっている構図にもなっていた。

「ひゅうが」でもここまで強いとなれば「いずも」は
もっと強い?

 要は,日本の海上自衛隊のヘリコプター護衛艦「ひゅうが」が中国海軍の空母「遼寧」を攻撃し,撃沈させるという勝手放題の内容が描かれていた。これは,日本国内の右翼勢力の中国に対する敵対意識を断面的に反映するものである。

 註記)「釣魚島海域の激戦で『遼寧艦』撃沈を妄想する日メディア」『Japanese.CHINA.ORG.CN』10. 05. 2013,http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-05/10/content_28787668_2.htm 

 補注)この註記した記事のなかに「上の箱絵」がとりあげられていた。

 つぎの画像も,上記・註記の記事のなかに紹介された「プラモデルの箱に描かれた『ヘリ空母:ひゅうが』の絵」のひとつであった。海上自衛隊の艦艇番号 181 は,こちらの箱絵がよりはっきりみえる。

左手の軍艦は海上自衛隊の艦艇番号173だとすれば
イージス艦のこんごう

 以上の絵をみていて恐ろしいと思ったのは,アメリカが10隻保有している原子力空母(日本の横須賀米軍基地を母港とするその原子力空母はロナルド・レーガン)が,もしもの話として考えるに「逆にだが」,某国海軍などの攻撃を受けて,このような様相で「撃破・撃沈」されるときが発生しないとはかぎらない。

 またそのとき起こりうる事態は,戦争行為を原因として破壊される『艦艇推進力のための原子炉』の「損傷⇒爆発事故」,簡単にいえば《軍艦用原子炉事故》の発生である。あるいは,戦闘行為中に打撃をこうむった結果,その「艦艇用の原子炉」が爆発(誘発?)事故を起こしながら「海底に沈下する」という事態もありうる。

 いままでの艦船沈没史にはなかった緊急の非常事態,つまり原子力艦艇の撃破による放射能汚染災害が発生するといったたぐいの原子炉事故災害は,これを「ないもの」として「想定しておく」ことは,できない相談である。

 いまから55年前にこういう出来事であった。爆撃機が核爆弾を積んで墜落事故を起こしたのは,1968年1月21日,グリーンランドのチューレ空軍基地米軍機墜落事故であった。これは,アメリカ空軍のB-52爆撃機が起こした事故であった。このときは不幸中の幸いで,回収できなかった核爆弾1部品も含めて,爆発事故はなかった。

 この事故は,当時は米ソの対立が激しい時代のなかで,米軍機が通常の対ソ警戒飛行中に起きていた。これは,有事になったさい考えられる「ソ連が核爆弾で攻撃してくる軍事行動」に備えてであったが,常時警戒態勢で飛ばしていた爆撃機が起こしたきわどい・危うい事故であった。

 しかし,実際に戦争が起こり,原子力を推進力に使用している双方(両国)の軍艦同士が戦いを交わしたら,たとえば「同じ比率」で双方が損害を受ける(兵器・武器,そして将兵も損耗させられる)と想定しただけでも,これはきわめて恐ろしい事態の発生を意味することになる。
  
 

 ※-3 原子力空母で戦う戦争状態になったら?

 2013年現在で,原子力空母を運用していたのは,アメリカ海軍の配備する10隻とフランス海軍の「シャルル・ド・ゴール」の合わせて11隻だけだということである。

 しかし,極端な話をあえてすることになるが,原子力空母同士が太平洋戦争中のミッドウェー海戦のような戦いをおこない,双方の空母が撃破・撃沈されたりしたら,いったいどのような事態が発生するか?

 アメリカ海軍は,原子力空母〔原子力を推進力に使うこの空母〕が,原発事故を起こす可能性を想定に入れて,日常的の作戦行動をしているはずである(原子力潜水艦もあるが,ここではひとまず置いておく)。

 「3・11」東日本大震災のとき,アメリカ軍側の反応が素早かったのは,原子力空母じたいにおいて推進動力用原子炉の事故が発生した場合にどう対応するか,ふだんから備えていたからである。そのとき出動したアメリカ海軍の原子力空母はロナルド・レーガンであった。

 現実的な話,中国にはいまのところ,アメリカの軍事力,とくに原子力空母の関係で,それにみあった実力(まだ保有していないから,実戦的な運用力に相当するものをも想定する余地)はない。

 だが,仮に中国も原子力空母を何隻が保有し,米中が戦争状態に実際に突入したとしたら,戦争そのものに特定の変質が生じるかもしれない。つまり,戦争そのものが底しれぬ恐怖である事実にくわえて,原子力空母が原子炉事故の原因となるがごとき,

 すなわち,それも戦争によって軍艦の推進動力となっている原子炉に核爆発的な深刻事故が起きることにでもなったら,この地球は原発事故以外にさらに,原子炉を積んでこれを推進用動力に使用するこの軍艦からの放射性物質の拡散事故にも恐怖しなければならない。

 関連して,ウィキペディアにはこういう説明が出ていた。

「中国の空母建造計画(Chinese aircraft carrier programme)とは中華人民共和国で進められている航空母艦建造の計画である」が,「2022年現在,『遼寧』と『山東』の2隻の空母が就役,『福建』の1隻が艤装中である。ほかにも2隻が建造または計画中とされ,これらは原子力空母となる可能性もあるとされる」

中国の空母

 本日のこの記述をするために参照した http://ja.wikipedia.org/wiki/原子力空母 は,実戦(海戦)になったとき当然,原子力空母が損害を受けることはありうるわけだから,そのさい具体的にどのような問題(トラブル)が実際に発生するかについて,どう記述しているかというと,こうなっている。

 ◎ 通常時:「平時の核事故や戦闘時の被害による放射能汚染のリスクがある

 ◎ 非常時:「戦闘による艦の喪失が起きれば政治的,軍事的影響があまりに大きいため,高い戦略的意義がないかぎり,高脅威な海域への派遣はおこなえない

 しかし,非常時における「原子力艦の喪失」によって惹起される「影響」は,単に政治的・軍事的なものに限定されず,経済社会的・自然環境的なものまで広範にわたる。したがって,このような解説は説明不足である。

 ところで,ニミッツ級原子力空母(1967年度予算よりこのニミッツ級の建造が開始されていた)に積まれた原子炉の出力は熱出力で90万キロワット,発電炉に換算すると出力30万キロワットで,100万キロワット級の原子力発電所の3分の1に相当する。

 ニミッツ級原子力空母は順次に改良を重ねつつ長く建造されたが,2007年度からは大規模に改設計したジェラルド・R・フォード級へと移行した。こちらのフォード級原子力空母は,熱出力60万キロワットの原子炉を2基搭載されているから,発電炉に換算した出力は40万キロワットとなる。

 軍事用の兵器である空母が原子力(艦艇用に開発・実用化された原子炉)を推進力に使いために,「高い戦略的意義がないかぎり,高脅威な海域への派遣はおこなえない」というのは,戦争というものの本義を思うに,ずいぶん矛盾した記述である。

 つまり,本当に原子力空母を出動させる作戦であるときは,この空母が撃破・撃沈される事態も覚悟しろ,と断わっている。これは「軍備としての兵器」であればなんであれ〔→原子力空母であれ,ほかのなんであれ〕,喪失する可能性はあるのだから,もとからしてまったく妥当する話であった。

 だが,どのような場合・状況であっても,航空母艦が航空母艦として本来の戦闘・戦争用に運用しきれるような兵器としての艦艇にならなければ,これは,本当の意味・本来の目的にかなった「本物の兵器」とはいえない。

 結局,原子力を推進力に使用する兵器としての空母に固有である「不可避の自己矛盾」,いいかえるに,人類史的な観点でとらえていえば,兵器としてゆきつくところまでいってしまい,使いにくくなった兵器である原子力空母(原潜も基本的に同じである)の「軍事的運用の困難性」が,正直に露呈している。

 補注)「ロシアのプーチン」が2022年2月24日に開始したウクライナ侵略戦争は,ヨーロッパ諸国のなかでは原発の基数が一番多いウクライナ国内の事情のため,しかも具体的には,ザポロージェ原発がいまもロシア軍に占有(占拠)されている状況を踏まえていえば,

 戦争に核兵器をもちこみ,兵器や武器にまで原子力(放射性物質)を利用しだした結果,人間は「地球環境史」に対して「覆水盆に返らず」とでも形容したらよいような,まことに「尋常ならざる異様な事態の突発的な発生」までも,全人類はいまや覚悟しておけねばならなくなった。

 こういう現実的な話を考えておく余地がある。原子力空母であっても,海戦で相手国戦闘機や,どこかの陸上からあるいはべつの原子力潜水艦などから発射されたミサイルや魚雷などの攻撃を受ける可能性も想定しなければならない。

 そのときは,空母の護衛に当たっているイージス艦などが護衛・防御に当たるとはいっても,けっして万能でも完全でもない。すなわち,戦争事態のなかでは,原子力空母であっても原子力潜水艦であっても,万能あるいは完全な兵器などありえない。無敵ではなく撃破され,破壊され,原子力空母なり原潜なり相応の損害をこうむり,その結果原子炉も損傷を受け,放射性物質を発散させる結果をもたらす。

 原子力資料情報室は,原子力空母の実際的な危険性について解説していた。その点に触れた文書「原子力空母配備の問題点」(リンク先住所)を,ここに紹介しておきたい。

 ⇒ http://www.peace-forum.com/mnforce/senden/080719-02.pdf

 つぎに紹介するブログの記述は,横須賀市が関連の文書を公開していたが,現在はこの内容は削除されており参照できない。本ブログ筆者は10年前に「この住所(アドレス)の記述」を読んとき,本ブログ筆者なりに写して書きのこした文章がまだあったので,これのみ再録しておく。
    
 さきにことわっておくと,その削除されたリンク先住所はこれである。クリックしても閲覧できない状態だが,いちおうこのアドレスは記載しておくことにした。

  ⇒ http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0150/kithitai/11/3_fakuto/index.html
        
 さて,上のアドレスの中身を本ブログ筆者が読んだうえで「関説していた文章は,つぎのように書いてあった。

 --この説明は,戦争・戦闘のときにこの原子炉が攻撃を受けたら,どうなるかの「説明」になっていない。また,原子炉が損害を受けなくとも,撃沈される可能性はいくらでもある。

 原子炉が絶対に大丈夫という説明は「原子力村」的な説明であって,眉唾もの。戦争状態のなかで,原子炉に関する「安全神話」の話題は,これじたい破綻した話にしかならない。

 すなわち,原子力空母だからといって「全戦全勝であるとか,攻撃されても絶対に大丈夫だ」とかは,絶対にいえるわけがない。

 原子力空母に原発事故を起こさせるような戦争事態が本当に発生したら,そのとき,この地球には非常に大きな打撃,ばあいによって決定的な損害(ダメージ)が生じるかもしれない。

 原子力空母は通常時は搭載している原子炉の安全に万全と期しているといわれるが,戦争状態のときはそのような対策は無効だとみて当然である。

 前段に言及されていたが,プラモデルの箱「絵で戦争を起こさせる」のはしごくたわいのない,単にその製品を売るための工夫かもしれない。だが,この絵をみて想像力をたくましく膨らませると,けっして仮想だとはいいきれない「恐怖の事態」が起こる可能性が,けっしてゼロとはいいにくくなる気分も出てくる。(この文章はここでお終い)

 前段の話題にした「プラモデルの箱絵」をめぐっては,前述にもとりあげてみた中国(人)側からなされた指摘が「日本国内の右翼勢力の中国に対する敵対意識」だ,などとウンヌンしていた。

 けれども,そのような次元だけの話に留まりえない論点もあったのではないかと〔⇒そのプラモデルを製作・販売していた会社が右翼(だ?)ということもあるまい〕,その程度の「プラモデルの箱絵」から,故意にそこまで読み解くのは,考え過ぎである。この箱絵の件は,プラモデルを販売していた会社の「単なるお遊び程度の《遼寧》撃沈」の図(?)だと,受けとめておくのがいいかもしれない。

 それよりも,プラモデルの箱絵に関連しては,「その種の想像力」が本当にたくましい一定の集団が事実いた。それはほかならぬ「現役の軍人たち」である。1隻1千数百億円のイージス艦やヘリ空母,1機100億円以上もする最新鋭戦闘機,こうした兵器(武器)を,それもいつも「おニュー」(最新鋭)のものがほしいとねだって(要求して)止まないのが,彼らである。

 たとえば,最新型式の戦車から1発砲弾を発射したら,いくらかかるのか? 以下に例示されたものは,2013年当時のお値段であった。 

 a) 戦車砲弾(APFSDS)1発あたりの価格
  ★ 120mm JM33(90式用):95万円
  ★ 105mm93式(74式用):55万円

 b) 対戦車ミサイル 1発あたりの価格
  ★ 01式軽対戦車誘導弾(通称 軽MAT):約 400万円(推測)
  ★ 96式多目的誘導弾(通称 MPMS):約 5000万円

 2023年12月現在でもなお戦争をしている「ロシアとウクライナ」間に関連する話題となると,あるユーチューブ動画サイトは,「毎日,たとえばロシア軍側がどれほどに損害を受けているか」という点について,それは「推定総額で◉◉億ドル」になるとかいったかたちで,その計算した金額を逐一報告している。

 ここでは,日本の陸上自衛隊の主力戦車「10式戦車」について,少し説明しておきたい。この戦車は国産しては4代目の型式である。

 この「10式戦車」が使用する砲弾1発の値段はどうなっているか? 前述に既出の価格も参照しながら説明をしてみたい。

 燃料1リッターで1㎞も走行できないはずである,せいぜい「数」百mしか走行できない。たとえば,2百リッターの燃料を積めると仮定して,リッター当たり5百m走れるとみても,行動できる範囲は片道で百㎞(往復50㎞)前後である。戦車の兵器(武器)としての性能であれば,作戦運用上,これで必要かつ十分かもしれない。

    = 陸上自衛隊「10(ひとまる)式戦車」の性能諸元 =
            (製造年: 2009年)

       乗 員: 車長・砲手・操縦手の3名
       重 量: 約 44トン
       全 長: 約 9.4 m
       全 幅: 約 3.2 m
       全 高: 約 2.3 m
       主 砲: 120 ㎜
       装 甲: 複合装甲
       速 度: 約 70 km/h(路上速度)
       製造費: 9億5千万円

10式戦車性能諸元

 戦車の走行可能距離については,いろいろ議論があるが,事後に拾えた説明では,こういうものがあった。

 【追 記(その後調べた結果)】

 「確かに戦車の燃費は悪い。ディーゼルエンジン搭載戦車で 200~400m/リッター,ガスタービン搭載戦車なら 50~100m/リッターといわれている。しかし,1200~1900リットルという大容量の燃料タンクにより,300km以上の航続距離をもっている」

 「自衛隊が装備開始している10式戦車は航続距離300Km」

 「最近の戦車の耐久性はかなり上がっている。1991年の湾岸戦争では,米陸軍のM1A1エイブラムス戦車や英陸軍のチャレンジャー戦車の部隊が,何度も100km以上の連続進撃をおこなっていたが,故障が続発するようなことはなかった。その他の国の戦車も,現代のものならば同様の耐久性をもっていると考えてよい」

 註記)「戦車の走行距離 戦車は100kmも走るとこわれると聞いたのですが本当でしょうか?」『OKWAVE』2012/09/30 01:36,https://okwave.jp/qa/q7724062.html#goog_rewardedhttp://okwave.jp/qa/q7724062.html 参照。

 戦争は偉大かつ膨大な浪費であるが,現に「宇露戦争」ではすでに1年と10ヵ月にわたって,その乱費以外のなにものでもない戦争状態が継続されている。ウクライナ側もロシア側も戦争遂行・続行のために必要な軍需品の調達には苦労している。それでもなお,兵員を殺し,兵器・武器を壊し,土地を荒らし,環境もダメにしていく。

 ところで,プーチンは北朝鮮から152ミリ榴弾砲100万発などを調達した。これに対してウクライナ側は密兵をロシア国内に派遣したり,もともとロシア国内に潜伏しているパルチザンを使い,それらを輸送する経路に当たる鉄道に対して破壊活動をおこなっていた。

 戦争というものは,日本の経営学の父といわれた上野陽一が「能率概念」を妨害する3つの要素としてあげた「ムダ・ムリ・ムラ」の,まさに「負の真骨頂」といえる。

 つぎの記事は本日(2023年12月5日)の『日本経済新聞』朝刊に出ていたウクライナ戦争関連の記事である。アメリカだけでウクライナに援助しようとする金額が,このように,日本じおける軍事予算の倍以上。

戦争は金食い虫どころかドブに金を捨てるように
物資を軍事として浪費しつくし
そしてなによりも人間をどんどん殺していく

 しかし,それでも人間どもはいつでも戦争をしたがる。なぜか? 私利・我欲のためである。安倍晋三といういまは亡き首相が,この国をアメリカに付きしがたいだけで,しかも戦争をしやすい国に変えてきたのは,彼自身が戦争を好む人間であった事実を教えた。

  「外交のアベ」? 安倍晋三の北朝鮮に対する態度はどうであったか。戯れ言であっても,この「世襲3代目の政治屋」のダメさかげんは量りきれないほどに体たらくであった。

 それでいて,アメリカに向かってはなにひとつ,まともに発声できなかった彼が,自国民に対してならば,まさに強権の専制の圧政を敷いてきた結果,この日本はさらに対米従属国になりはてた。

 その最大の証拠は自衛隊3軍の位置づけが,まさに事実としてだが,アメリカ軍のそれも,「ロハの傭兵」になったがごとき立場にみいだせる。岸田文雄は最近,いよいよさらに,ヨレヨレの総理大臣になりつつあるが,安倍晋三のその政治路線を促進させる役回りしかはたせていなかった。

 いずれも「売国かつ亡国の首相」であった。これは結論である。日本をダメにするために首相の座に就いていたようなこの2人。いわば「ダメ押し」付きならば,の,まるでダメだった首相2人。

 ついでになるが,本日の『毎日新聞』朝刊からつぎの論説を紹介しておこう。大治朋子「〈火論〉オスプレイ墜落と脅威」『毎日新聞』2023年12月5日朝刊2面が,こう批評していた。

 今回の墜落の原因がこの問題と関係があるのかはまだ分からないが,そんなオスプレイがついに日本でも墜落したというのに,政府の対応は驚くほど米国任せだった。米国が当初,不時着水と説明すればそのまま受け売りし,翌日米国が「墜落」と修正すると,平然とこれに従う。

 日本国内で起きた事件である。政府はなぜ自国民がその目や耳で直接とらえ,証言した情報をもとにみずからの言葉で語らなかったのか。墜落状況を目撃した市民の多くは,「オスプレイは3回ほど回転していた」「火をふきながら海面に落ちた」と語っていた。駆けつけた海上保安庁も墜落と表現した。

 日本政府はこうした情報をしりながら米政府の「大本営発表」を押しいただき,事態の深刻さを過小評価するかのような表現を選んだ。

 (中略)

 オスプレイはいずれ日本の住宅密集地に墜落するかもしれない。現状の日米安全保障条約では,日本の警察は現場検証も許されない。それでも日本政府には,事態の深刻さをみずからの言葉で国民にしらせる権利と義務がある。

 今回の墜落はオスプレイの問題を国民がしる重要な機会だ。周辺国からの「脅威」を抑止するためとしてオスプレイ配備を支持する日本政府だが,国民をあざむくその姿勢こそ,脅威ではないのか。

『毎日新聞』2023年12月5日朝刊2面

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【未 完】 「本稿〔続・4〕」のリンク先は,つぎのものである。

  ⇒ https://note.com/brainy_turntable/n/n91c64ba9a6ec

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