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21世紀に「日沈む国」の悪足掻き的退歩現象としての在日差別の復活動向,国家全体そのものが落ちぼれると人心まで殺伐となってきた旧ヤマト国のさもしさ

 ※-1 人間(人種や民族)の相違性に対する偏見・差別は普遍的に存在しつづける問題なのか

 差別(人種・民族に対する偏見による処遇)はすべからく,なにも日本だけの問題でなくて,それをもっとも分かりやすく現象させつづけている国がアメリカであった。

 かつて第2次大戦中,それも大東亜戦争(太平洋戦争)が始まると,アメリカは日系アメリカ人(米国籍ありの人びと)を荒涼たる内陸地に設営した強制収容に送りこんだ。ここでは関連させて最近,『産経新聞』が報じた記事を紹介する。

『産経新聞』2024年2月20日記事

 戦後もだいぶ時が経過してからであったが,アメリ政府はそのように,その戦争中における日系人処遇を謝罪し,補償もした。そしてその後も時おりこのように大統領みずからがその反省の弁を語ることもある。

 だが,敗戦後史に反映されてきた日本政府のとくに旧植民地出身者たちに対する処遇というものは,かつて法務省入国参事官が「いまは外国人とみなした彼ら」は「煮て食おうが焼いて食おうが自由」だという基本路線にこだわっており,いまだに根本的にはなにも変更する意向がない。

 そもそも,その気がまったくない政策が,これまで持続されてきたわけであるが,その点を馬鹿正直にでも正々堂々と自白していた法務官僚がいた。

 註記)池上 努『法的地位200の質問』京文社,1965年,167頁にある記述のこと。この本,アマゾン通販には現物が出品されていないので,日本の古本屋においてみつかる所在を示しておくことにした。

 しかし,本日 2024年5月22日にあらためて検索したところ,「現在,お探しの書籍は登録されておりません」との答えであった。つぎのリンク先は,まだ在庫があったころの情報だったと思われる。


 つぎの『毎日新聞』2024年5月20日夕刊に報道されたニュースは,旧来の在日韓国・朝鮮・中国(台湾)人たちに対する偏見・差別のあつかいではなく,新来(ニューカマー)の在日居住者たちに向かい,かなり露骨でかつ心ない「まるで初めから無条件に犯罪予備軍=容疑者あつかい」が

 この人たちに関してならば当然の見方なのだと,堂々と決めつけたごとき基本姿勢が,すでにいままで繰り返しており,問題になっていた。この種の関係当局(入国在留管理庁や警察庁関係側)のあり方は,日本社会における対外国人観に関してきわめて深刻な事態を意味してきた。

 しかもそのさい,白人系とそれ以外の諸人種・諸民族に対する態度もまた,嫌みったらしく差別的になされている現実もあった。だから,この日本国のあり方には問題が複雑にからみあい現象させられていることになる。

『毎日新聞』2024年5月20日夕刊


 ※-2 いまあらためて問われている日本社会の差別構造の根深さ

 前項※-1でまず触れてみた問題を考えていたところ,つぎのごときネット記事も出ていて,まさに『毎日新聞』が報じていた「在日外国人」の問題は,いまの日本社会のなかではすでに “当たりまえに現象している事実” を教えられた。

 その記事の題名は,こういう文句で表現していた。

  ◆ 「『政治から目を逸らさせるためのスケープゴート』永住資格取り消し制度,若い世代からも抗議の声-『永住者を含め,外国にルーツのある人たちはすでにこの社会で共に生きています。生活者の目線を共にする一人の人間として,声を上げなければ』(深澄美琴さん)」◆

 出所)國﨑万智稿『The Huffington Post』 2024年5月20日 14時0分 JST, https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_664953a2e4b0fad036f048aa

 この國﨑万智(Machi Kunizaki)の議論は説得力がある。以下に引用しておく。

『The Huffington Post』2024年5月20日

 a) 税や社会保険料を故意に納付しないなどの場合に,外国人の永住資格を取り消すことができる規定を盛りこんだ入管難民法の改正案が5月17日,衆院法務委員会で賛成多数で可決された。

 現在の制度でも,虚偽の申請をしたり,1年を超える懲役や禁錮刑に処され強制退去となったりした場合などは,永住資格を失う。改正法案には,永住許可をえている外国人が故意に公租公課の支払いをしなかったり,拘禁刑に処されたりした場合,永住資格を取り消すとの内容が盛りこまれた。在留カードの常時携帯など入管法上の義務を遵守しない場合も,取り消しの対象となる。

 補注)「故意」なのかそれともその「否」なのか,誰がどのように判断するのか? 疑問があった。

〔記事に戻る→〕 こうした永住資格の取り消し事由の拡大をめぐっては,日本社会で生活基盤を築いてきた外国籍住民を不安に陥れるなどとして,外国人支援の団体が反対する署名キャンペーンを開始。4万筆超の署名を17日,法務省に提出した。

 b) こうしたなか,若い世代からも法案に抗議する声が上がっている。
 
        「直球の差別が社会の前例に」

 入管の人権問題や難民支援に取り組む若者の団体などでつくる「永住許可取消し反対連絡会」は〔5月〕13日,取り消し事由の拡大を盛りこんだ法案の取り下げを求める声明文を発表した。

 声明では,永住許可の取り消し規定が「永住者を狙った直球の差別・レイシズム」だと批判し,「この差別を私たちの社会の前例としてしまう状況が作られる」と警鐘を鳴らしている。

 入管はこれまで,一部の自治体から「永住許可の申請時にまとめて滞納分を支払い,その後再び滞納する永住者がいる」などと情報提供があったと説明。そのうえで,「永住許可制度の適正化」を名目に,資格取り消しの対象を広げる方針を示してきた。

 c) だが入管は4月の衆院法務委で,「自治体からの通報件数の統計はもっていない」「永住者による公租公課の滞納額を把握していない」と答弁した。

 また入管は5月,「永住者の実子として出生した者による永住許可申請の審査記録において,永住者である扶養者による公的義務の不履行の有無」を確認した結果を公表した。2023年1~6月までに処分が決定した1825件のうち,永住許可が下りなかった556件を精査したところ,235件で「公租公課の未納が確認された」と報告した。入管は235件のうち,許可取り消しの対象となるケースが何件あるかを把握していないという。

 入管が示したデータは,約89万人いる永住者のなかでも一部の限られた人を対象としており,永住者全体の滞納状況を反映する調査結果ではない。

 d) こうした入管側の説明を踏まえ,連絡会は声明で「立法事実がないにも関わらず,議員や入管の思惑のみで,永住者の命や人権に関わる法案を議論しようとすること自体,非民主主義的なやり方です」と批判した。

    「優生思想に根ざす軸で人間の『型』を決められる怖さ」

 連絡会は,20〜30代が活動の中心を担っている。

 「永住者を含め,外国にルーツのある人たちはすでにこの社会で共に生きています。生活者の目線を共にする一人の人間として,声を上げなければ」

 呼びかけ人の一人で,20代の会社員・深澄美琴さん(仮名)は,永住資格取り消し事由の拡大に反対する思いをそう明かす。

 e) 深澄さんの両親はそれぞれ,南米・日系人と,アジアにルーツがある。父母は深澄さんが生まれた後に帰化し,現在は家族全員が日本国籍をもつ。

 深澄さんが大学生のとき,生後すぐの一時期で「無国籍」状態だったことを母から告げられた。これを契機に,深澄さんは無国籍・無戸籍,移民・難民問題,そしてニューカマーの人たちの人権や社会保障などを研究するようになったという。

 永住資格取り消しの本質は「人権問題」だと,深澄さんは強調する。

 「連絡会の中心メンバーの多くは,永住者の人びとと直接つながりのある日本の若者たち。多様なルーツの人が身近にいる日常が当たりまえの世代です。永住者たちに国政などの参政権が認められていないなか,当事者の生命や人権に関わる問題に声を上げる責任が,参政権をもつ私たちにはあると考えています」

 f) 声明では,自民党派閥の裏金問題にも言及した。深澄さんは「市民が抱いている不信感や不公平感の矛先を,外国籍住民に向けようとしているのでは」と疑問を呈し,「裏金問題がなにも解決していない状態で,政治から目を逸らさせるために永住者たちをスケープゴートにしています」と批判した。

 税などを滞納した場合も,永住許可の取り消し対象となる。これに対し,深澄さんは「『社会の役に立つか』『労働力として使えて経済成長にとって必要か』といった優生思想やレイシズムに根差した軸で,人間として扱われる『型』が国によって決められてしまうのは,とても怖い眼差しではないでしょうか」と問いかけた。

     東京弁護士会「合理的な理由を説明できていない」

 永住許可の取り消しをめぐっては,日本弁護士連合会が3月に会長声明を発表。

 g)「日本を終の棲家とし,あるいはしようとする外国籍者に甚大な影響を与えるものであって,その立法事実の有無などが慎重に検討されるべき」だと述べ,取り消し制度の撤回を求めている。

 東京弁護士会も5月16日,3月に続いて新たな声明を公表した。「長い間,社会に溶けこみその一員として生活し,きびしい永住資格の要件をクリアするなど,国籍以外は日本人と変わらない永住者に対し,かような制裁を加重する合理的な理由を説明できていない」と指摘する。

 法案は永住資格の取り消しに当たって,「在留することが適当でないと認める場合」を除き,法相の職権により他の在留資格へ変更することができるとの規定も盛りこんでいる。

 この点について,東京弁護士会は声明で「結局は入管当局の広範な裁量次第」だと批判。

 「問題の核心は,本法案が外国人に対する前時代的な管理支配体制への回帰を指向するものである点にある」として,永住資格取り消し制度の創設に反対する姿勢を改めて示した。(引用終わり)

 この『The Huffington Post』の記事を読んだところで思い出したのが,あの故・安倍晋三君の政治標語のひとつ,「戦後レジームからの脱却」というセリフであった。

 21世紀に入ってからのこの日本は,かつての「経済大国」であった面影にすら無縁の人びとが多数派になっている社会状況のなかで,また,北朝鮮による拉致問題などの対応姿勢にも端的に表現されてきたように,

 自分たちのみじめな生活状況や「かつて被った国際政治的な受害(その端的な実例が北朝鮮による日本人拉致)」の被害:犠牲に関しては,非常に敏感かつ針小棒大的に記憶するけれども,逆方向における自分たち側の問題にはいつも健忘症的(?)な認知状態に,あるいは最初からなにも気づかないという,岸田文雄流にいえば異次元の鈍感力を誇ってきた。。

 現状においてもそうした無意識的でもありつづけた社会状況のなかで,自国が過去から現在までもけっして留まることのない「在日外国人差別」は,どうやら自分たちを囲む生活上の不遇や不運,不幸をめぐる不満や不平,苦悶を,

 在日外国人たちに向けて代替的に発散させる材料として表現させたいらしく,この国の民たちが従来,精神的な気高さとしてもっていた品位・品格が,いまやすっかり地に落ちた風景ばかりが,前面に押し出されている。そういう〈さもしい精神構造〉が剥き出しに蔓延するばかりの社会になった。

 いわゆる「貧すれば鈍する」ではないが,その状況の底辺から吹き出してこざるをえない欲求不満,精神抑圧の状態を,少しでも他者・他方に転化・解消させておくためのの具材に悪用するといった,いわば人間感情次元における情けないカタルシス作用が,そこでは発生していることになる。

 補注)カタルシス作用の「ギリシア語で katharsis,英語で catharsis 」とは,心の中に溜まってしまったネガティブな感情を開放(解放)することで,心に存在する重苦しい嫌な気分が浄化されることを意味する。だいたいにおいて,このカタルシス「作用」に浸っている当人は,その事実そのものを明確に意識しえない場合がほとんどである。


 ※-3「真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」なのか? そうだとしたらどのように「偏見や差別」をなくすように努力すべきか?

 まず,在日大韓民国民団が発行する新聞紙からつぎの記事を紹介する。いまから7年前の記事である。この内容はいまだになにも変わっていないと受けとるほかない,最近の日本事情があった。

法務省は本気で解決に向けて取り組んでいるのか?

 このような在日たちの問題は「オレたち・わたし達」とは関係ないよという人は,それでは,つぎの『日本経済新聞』「私の履歴書」においてだが,「いまでは」世界的に超有名な指揮者となっていたあの「小澤征爾」が,自分が日本人として受けてきた『〈頭に来た〉体験』を,その後「彼なりに生きてきた世界史の次元」において表現した事実を紹介しておきたい。

日本人が主に非白人系を差別し
白人系中心の諸国は主に有色人種を差別するという輪廻?

  小澤征爾が体験した以上のごとき差別の問題は,欧米(白人)諸国人内における種類のものであったが,しかし,小澤の場合はその困難は容易に克服できていた。

 ところが,いまもなお日本社会のなかに執拗にはびこる「偏見と差別」は,小澤が受けたそれとは比較にならないくらいに奥底が広がっており,いったい,いつになったら改善・根絶できるかその見通しすら全然ついていない。

 つぎに,ネルソン・マンデラのことに触れたい。黒人初の南アフリカ大統領になったこの人は,それはもうすさまじい人種差別を何十年も体験させられてきた。

この人の足の爪の垢でも煎じて飲ませる必要がある人間が
日本には大勢いるのかもしれない

 日本という国のなかにある差別は,つぎのように整理である。

   ▲-1 部落(地域)差別
   ▲-2 民族(人種)差別
   ▲-3 沖縄・アイヌ差別
   ▲-4 障害者差別 
   ▲-5 女性差別(LGBT差別)
   ▲-6 職業差別

 いってみればこれら差別のひとつでも完全に解消できないかぎり,そのほかのすべての差別も解消されることはない。たとえば,日本におけるジェンダーギャップ指数はつぎのとおりであって,恥ずかしいほどに低位を記録しつづけているどころか,長期傾向的には低落してくるばかりであった。

たとえば東大の入学生における男女比率で女性は2割
ちなみに韓国のソウル大学「学生男女比率は6割対4割」とか


 ※-4 在日外国人の永住権「取消法案」の時代錯誤性


 在日する外国人のなかでもとくに,戦前・戦中からこの日本で生きてきた人びとは在留資格とはいえない「特別永住」というその資格をもっているが,この人たちは外国人とはいえないような,それこそ半世紀・1世紀以上も昔から,この日本に生きてきた者たちであった。

 永住〔在留資格〕者に特別という言葉を冠する意味じたいが,たいそう不思議というか奇怪であった。だが,あくまで「オマエたちが日本に居られるのは恩恵なのだ」という語感ないしは気分を充満させていたいのが,法務省の基本姿勢であった。

 在日でも韓国・朝鮮人たちの子孫はすでに5世の時代にまでつづいている。1世代を25年から30年として計算すると125年から150年の長期間にもなる「在日系の日本人」がいる。

 それでも日本国籍を取らないと(本当は敗戦後もしばらくは旧日本国籍をもっていた在日系の人びとの話なのだが),ただ,どこまでも特別に永住させてやっているのだというドの付いた屁理屈の法律観念でもって,この人たちを処遇する立場しか念頭に置いていなかった。

 そうだったとなれば,しかも現在のこの日本が,どのくらい〈すばらしくない国〉になってしまっているかはさておき,ずいぶん傲慢で横柄な人間観がまかり通してきたことになる。

 ここで,在日本大韓民国民団の機関紙である『民団新聞』から,以上の記述内容に相当する記事を2点(2面)から,画像資料で紹介しておく。この2024年5月8日の『民団新聞』の記事以外(以前)に,関連して報道されていた記事も,つづく a) と b) に引用しておく。なお,この明代新聞は誰でも無料で閲覧できるので,直接閲覧したい人は自分でのぞいてみるといいかも……。

『民団新聞』2024年5月8日1面

 同紙の2024年5月1日号は,「入管法改定案に声明 民団中央 永住権取り消しを憂慮」という見出しの記事を掲載していた。くわえては,在日系の新聞紙だけでなく,日本の報道機関もつぎのように報じていた。

 a) 「『選ばれる国台無し』入管法改正案,税滞納で外国人永住許可取り消し」『朝日新聞』2024年5月21日 20時00分,https://www.asahi.com/articles/ASS5P338ZS5PUTIL019M.html は,冒頭の段落のみ引用するが,つぎのように批判する論調を披露していた。

 外国人労働者の受け入れ拡大をめざす入管難民法改正案に,永住許可の取り消しのハードルを下げる新たな規定が盛りこまれている。法案は〔5月〕21日に衆院を通過したが,日本で暮らす外国人のなかには不安が広がる。支援者は「『共生社会の実現』に逆行する」と指摘する。

   「受け入れの拡大と,永住(権の取り消し)は              まったく結びつかない」

 15日,東京・永田町の衆院第1議員会館。外国籍の住民を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)の鳥井一平共同代表理事が,永住許可の取り消し規定を盛りこんだ法案に反対する4万947筆の署名を出入国在留管理庁の職員に手渡した。

 改正案は,税金や社会保険料を故意に支払わない場合のほか,住居侵入や傷害など一定の罪を犯した場合に永住許可を取り消せる規定を新設。国や自治体が故意の未納を知った場合に通報できる仕組みも設けた。

 補注)「故意に支払わない(その未納だ)」という意思の判断は,いったいどこの誰が下すのか? 「一定の罪」とはなにか? 「通報できる(誰かにさせる?」となると,永住権をもつ外国人であってもすでに潜在的な犯罪者あつかい。

〔記事に戻る→〕 政府は国会で,病気や収入の減少などの事情があれば規定の対象にはならないと強調。許可を取り消す場合は,一定の在留期間はあるが就労分野に制限がない「定住者」への変更を想定していると説明している。(以下,有料記事ゆえ参照不可)

 ところで,いまではすっかり少子高齢社会になって1人でも人口を増やしたい,しかも「衰退途上国」である汚名を自他ともにみとめざるをえなくなっているこの国であるにもかかわらず,以上のごとき「対・外国人政策」は,ある意味 “血迷っている” としか受けとれない。こうしたいいぶん=観方がありうるならば,日本国籍者であっても犯罪者は国外追放にしないのか,というようなヘンテコな理屈も湧いてこようというものである。

 まさに「受け入れの拡大と,永住(権の取り消し)はまったく結びつかない」どころか,その逆そのものである。それでもともかく,永住資格をもつ外国人はそれなりにこの国のなかで定住化して生活している。にもかかわらず,公租公課の支払い・納付の金ウンヌンで,ちゃんと払っていないと国外追放(!)だといわんばかり……。なんか,ものすごく根性だけが悪いねという印象を抱くほかない。

 いまどき「日本 ハラショ(スゴイね!)」で観光に来てくれる外国人は大勢いても,実際に,円安でひどく生活しづらいこの国の現状(惨状)によろこんで来てくれ,定着しようとする者は,なかなかいない。

 駐日大使に昇格させられていい気分で日本に赴任してくる「諸外国のその大使の立場になれたその国の高級官僚」ならばさておき(これ極論だが),日本の現実をめぐっては,前段のように理解するのがよりまっとうではなかったか。昨今における日本政治・社会・経済の実相を踏まえた議論をしたほうがよろしい。

 さらに日本の各紙のうち,つぎのように報道したのが『時事通信』。

 b)「永住資格,不安定化に懸念『選ばれる国』逆行も―入管法改正」『時事通信』2024年5月16日07時08分配信,https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051501169&g=pol#goog_rewarded

 今国会で審議中の入管難民法改正案をめぐり,永住者が税や社会保険料の納付を故意に怠った場合,永住許可の取り消しを可能とする規定に対し,懸念の声が出ている。政府は慎重に対応すると理解を求めるが,野党などは「永住者の地位が不安定になる」と批判。運用しだい,岸田文雄首相が提唱する「外国人材に選ばれる国」と逆行する恐れもある。

 補注)この「外国人材に選ばれる国」という表現については,確たる定義づけが与えられていない現状のなかではあくまで,言葉だけに終始していたそれだったと受けとるほかない。

〔記事に戻る→〕 首相は〔5月〕15日の衆院法務委員会で,取り消し対象は「一部の悪質な場合」に限られると強調。「大多数の永住者に影響を及ぼすものではない」と懸念の払拭に努めた。

 これまでの審議で,小泉龍司法相も「やむをえず支払えない場合は取り消し事由に該当しない」と説明している。

 永住者は,滞在期間や就労活動に制限がない在留資格。2023年12月末時点で約89万人に上る。許可後に資格を取り消すことは原則できない。

 出入国在留管理庁は審査のさい,納税など公的義務の履行状況を確認するが,地方自治体から「永住許可後に履行しなくなる事例がある」との指摘が出ていた。同庁は実態把握のため,2023年1~6月に行った永住者の子の永住許可審査1825件を調査。235件〔約13%〕で未納が確認されたという。

 補注)日本〔国籍〕人の場合のその未納件数は,いままでわかった情報では,2倍(比率だと2割)いたという報告もあった。いったい,なにを考えてこのような永住権という在留資格の取り消し措置(処分)をやりたいのか,その意図や効果に関する説明がまったくないので,それこそ意味不詳だと解釈するほかない。

 まるで,外国人の犯罪はとりしまるが,日本人はそうはしないといったも同然の,まことに露骨に外国籍人差別がまかり通る算段の法律を成立させていた。要はお尻の穴が小さいというか,さらには,その穴がみえないほど小さいということか。だから,つぎのようにも報道されていた。

 ただ,永住者全体の履行状況や,故意の不払い割合などは分かっていない。小泉法相は「(未納の)ケースが一定数あることが示された」と主張するが,立憲民主,共産両党は改正の必要性を裏付ける「立法事実」がないと訴える。

 『毎日新聞』2024年5月11日朝刊26面「社会」は,関連する報道を次の記事にしていた。「税や保険料を支払わない場合」については,これが悪質かどうかを判断する基準は,アイマイであるどころか,まともに示されていない。この事実からしてそもそもの問題が残されたまま,関連法改正案が可決されていた。拙速というか,自国の評判をあえて引き下ろすためであったがごとき愚案が通されていた。

『毎日新聞』2024年5月11日朝刊

 与党は17日にも衆院法務委で採決したい考え。立民や日本維新の会と,改正案の付則に永住者への配慮規定を盛りこむ修正案を検討している。

 いまから14年近くも前になるが,在日系の経済紙『東洋経済日報』の2010年10月15日が報道した記事の見出しは,「〈在日社会〉天皇陛下『桓武天皇生母は百済の子ども」とか……。そのリンク先・住所は以下のもの。

 ⇒ http://www.toyo-keizai.co.jp/news/society/2010/post_4151.php

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