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東電福島第1原発事故から13年目,なにも変わらぬこの国のエネルギー価値観からも透視できる「衰退途上国」としての基本性格

 ※-1 東電福島第1原発事故-21世紀の歴史に特筆大書される大事件-

 2011年3月11日,東電福島第1原発事故が起きてから13年が経った。だが依然,日本のエネルギー政策面から観た国家体質に根本からの変化がなく,さらに「衰退途上国」体制だけを深刻化させてゆくばかり,もうすぐ「先進国から完全に転落した3流国家」になる。

 「忘却とは忘れ去ることなり」「忘れえずして忘却を誓う心の悲しさよ」とは,「忘れられるわけないのに忘れることを約束する」という,なにか空しくも悲しい精神のありようを意味する。 

 現状における日本の原発政策は,2011年3月11日午後2時46分に起きたあのマグニチュード9の超大地震,東日本大震災といわれたこの自然災害の発生によって惹起された東電福島第1原発事故によって,抜本からの大変革を迫られたはずであった。

 東日本大震災のために起きた東電福島第1原発事故は,この国の半分にもなる地域,その東日本が放射性物質汚染で覆われたかのように拡散される事態まで起こす可能性があったものの,不幸中の幸い,その「危機一髪」の寸前で踏みとどまることができていた。

 それでもこの国は,その種の体験・記録などすっかり忘れておきたい気分でもあるのか,この原発事故から「13年後の今日まで時間が経過してきた事実」をもってこそ,その歴史的な教訓の意味が冷静かつ客体的にも汲みとれるはずのところを等閑視したい態度がないわけではない。

 現在のごとき,あの体たらくの「統一教会風:自民党と創価学会傘下:公明党との野合政権」は,現段階においてより明々白々である「この国の政治経済面における溶融現象そのもの」を,これからもますます進行させていくほかない自堕落政権であった。

 「3・11」の東電福島第1原発事故という大事件が「第2の敗戦」とまで呼称されているのは,単におおげさな表現をしたかったからではなく,この日本という国家の存亡にまでかかわるほかない「もっとも基本的な国家思想のあり方」そのものまで問われていたからである。

 だが,現在,あの森 喜朗政権以来,そのうつけぶりがはなはだしいと酷評される岸田文雄政権ゆえか,あいも変わらず「異次元的に的外れ」というか,その「的」じたいを「喪失状態」にさせたままでも平然としていられるこの「世襲3代目の政治屋」は,21世紀の現段階でこの国の運営を任せられていても,ひたすら制御不能の状態をみずから招来させつづけてきた。

現在も発令中であるのはなにゆえか?

 「原子力非常事態宣言」はダテに発令されていたのではない。この宣言の発令はいまだに解除されていない。

 大地震や原発事故の甚大な災害をこうむった現地が,徐々に,確実に復旧されてきた姿を,実際に観察できるようになったとはいえ,すでに被災地の現状をかいまみるに,人口の回復がさほど期待できていなかったというきびしい現実も随伴させてきた。

女性比率が極端に少ない実態もまた問題
この上の表をかかげていた記事全体もつぎに参照しておく

地域社会における「女性差別」の価値観が
とくに描かれている記事でもある

 福島県の浜通りのうちでは,地域社会そのものが十分に成立しえない水準にまで人口統計が減少し,実質的に崩壊状態に近くなりつつある地区もあった。つまり,従前の人口規模が回復できておらず,その政治・経済・社会環境の再生が困難になった場所も出ている。この種の現実は,原発事故の被害が重大であった地区であればあるほど,否応なしに広がっている。

岸田文雄首相への期待が最後に書かれているが
この「世襲3代目の政治屋」には無理難題

 ところで,2022年2月24日「ロシアのプーチン」が始めたウクライナ侵略戦争をめぐっては最近,ウクライナ側から報じられた情報のなかには,ロシア軍が軍事的に占拠しているザボロージェ原発が「危険な状況に近づきつつある」という警戒が発信されていた。

 この非常に危険な事態,いいかえれば,原発を「原爆の代替武器」にしたてあげ悪用しかねない〔そのための「故意の脅し的な警告」を発声してもきた〕「プーチンのロシア」は,隣国に立地する原発にまつわる危険性を,侵略戦争のための駆け引き材料程度にしかみなしていない。

 2011年に「3・11」として発生した東日本大震災は,東電福島第1原発事故との裏表の関係,換言するというまでもないのだが,背中合わせの連関,すなわち「自然災害(環境災害)と原発災害(大規模公害)との〈組み〉」でもって,あの大損害を,この国に与えた。

 2010年代になるまでに,この国はすでに「失われた10年」を2周回分経てきたが,その後,あの「国家叛逆罪」の廉により告訴されてもいた安倍晋三が,その2010年代においてさらに,この国を完全に破壊する為政を継続させてきた。

 安倍晋三はその「失われた10年」の第3周回目を,観るも無惨なまで,みごとに走破してきた愚相であった。それがために,この国はいよいよ取りかえしのつかない「政治と経済と社会の諸領域」において「国家病理的な悪体質」を定着させた。

 なお,安倍晋三は第1次政権を担当していた2006年9月から2007年9月のとき,国会のなかで「原発に関しては大事故など起こりえない」と,繰り返し断言していた。ところがアベは,その発言の政治的な責任など果たさぬまま自分だけはさきに他界した。

 以上の記述については,その内容を反省的にみなおす,考えなおすためにそれほど長くはないユーチューブ動画サイトのつぎの1編を紹介しておきたい。放送時間は15分36秒である。


 ※-2 東電福島第1原発事故のその後は?

 現状,東電福島第1原発事故の現場ではその後始末,つまり「3・11」時(直後)に溶融してしまった3基の原子炉(この「圧力容器」⇒格納容器⇒建屋全体)の後始末は,実質的に判断すればいまだに,99%以上終わっていない

 まず,つぎの記事を参照してもらおう。紙面の配置(構成)の関係で,この記事の後半は,筆者が活字を拾いなおして入れてある。

おそらくこのような対策・手順がこれからも
延々と10年単位でついやされていく

この報道を読んだわれわれはどのように受けとめるか? 正直いって,断わるまでもない点となるが,いまだにこの程度,つまり「これからどのようにデブリをとりだしたらいいのか」「この試みにはどのような方法があるか」といった具合に,議論をしつづけてきた段階に留まっている。

 肝心の手順についていうと,まだまだ暗中模索的というか試行錯誤的な「デブリ取り出し」作業への取り組みならば,いままでも,あれこれ実験的(?)に取り組まれてはきたものの,結局のところ,これといった決定打になりうるその作業方法は,まだ確立できていない。

 東電福島第1原発事故から13年が経ってもそのような進捗状況という以前に,肝心のデブリ取り出し「作業」をどのようにおこなうかについて,小田原評定だといったら気の毒だが,まだ,その範囲内での「甲論乙駁(?)的な検討のための議論」がゆきかうだけの様子しかうかがえない。

 東電福島第1原発事故の処理としての後始末は,実際には次項※-3で語られる方式しか手段がない。これがある意味,どのようなかたちであれ,結論にならざるをえない。専門家ではない本ブログ筆者でも,この程度の理解ならば,それほどむずかしくなく納得がいく。


 ※-3 現状において最大・最高だといいうる科学的な見地から,東電福島第1原発事故の後始末についての妥当な意見

 1)「【核心】ゴールなき廃炉計画。誰も知らない「完了後」の姿」,須田桃子副編集長 / 科学ジャーナリスト稿『NewsPicks』2021年4月17日, https://newspicks.com/news/5774305/body/

 日本のみならず世界を震撼させた東京電力福島第1原発事故から10年が経った。事故現場では,全6基の廃炉に向けて日々約4000人が作業に従事する。

 敷地内の放射線量低下などの進展もみられる一方,当初の工程表からの遅れも目立つ。最大のハードルとされる溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の回収は,着手にも至っていない。

 もっとも本質的で重要な課題は,廃炉計画の「ゴール」を,誰1人としてしらないことだろう。国や東電は「2041~51年に完了する」とうたっているが,実は「完了後の姿」を決めていない。

 専門家集団の試算では,その姿や進め方によって,かかる年数や出てくる放射性廃棄物の量に大幅な違いが出るという。

 2) AERA編集部「福島第一原発『デブリ取り出しは不可能』と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」『AERA dot.』2022年3月7日,https://dot.asahi.com/articles/-/41837

 東京電力福島第1原発事故からまもなく11年〔2024年なら13年だが〕。国と東電は30~40年後の廃炉完了をめざすロードマップにもとづき,作業を進めている。

 だが,相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は,小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた。

【ロードマップ】 「使用済燃料の取り出し開始から廃止措置終了までの道のり」は,この図解に表現されているが,実現のみこみはないと断定してきたのが,小出裕章の意見である。

30年から40年で終了にまでこぎつけるような
生やさしい作業ではないのが廃炉の工程である

しかも東電福島第1「原発事故の場合」の後始末は
通常の廃炉とは完全に異なる

予定は未定にして確定にあらずとは
よくいったものである

 国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。

 国と東電がいう「廃炉」とは,燃料デブリを格納容器から取り出し,専用の容器に封入し,福島県外に搬出するということです。

 当初,国と東電は,デブリは圧力容器直下の「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の台座に,饅頭のような塊になって堆積していると期待していました。そうすれば,格納容器と圧力容器のふたを開け,上方向からつかみ出すことができます。

 しかし,デブリはペデスタルの外部に流れ出て,飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。

 そこで,国と東電はロードマップを書き換え,格納容器の土手っぱらに穴を開け横方向に取り出すといい出しました。しかしそんなことをすれば遮蔽のための水も使えず,作業員の被曝が膨大になってしまいます。

 それどころか,穴を開けた方向にあるデブリは取り出せたとしても,格納容器の反対側にあるデブリはペデスタルの壁が邪魔になり,みることも取り出すこともできません。

 つまり,デブリの取り出しは 100年たっても不可能です。

 東電は「国内外の技術や英知を活用すれば廃炉はロードマップどおりに達成できる」などと繰り返しいっているようです。本気で考えているとすれば,相当なバカだと思います。ロードマップは彼らの願望の上に書かれたもので,その願望はすでに崩れています。

 廃炉できなければどうすればいいか。できうることは,1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように,原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺」で封じこめるしかありません。

人間に対して脅威となる放射性物質のセシウム137とストロンチウム90の半減期は,それぞれ30年と28年です。100年待てば放射能は10分の1に,200年待てば100分の1に減ってくれます。

 100年か 200年か経てば,その間に,ロボット技術や放射線の遮蔽技術の開発も進むはずです。そして,いつかの時点でデブリを取り出すこと以外ないと思います。

 国と東電は,それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけません。そのためにも,一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し,謝罪するべきです。悲しいことですが,事実を直視しなければ前に進めません。

【参考記事】-『情報速報ドットコム』から本記述に深く関連する2点など都合4点を紹介する-



 ※-4 『毎日新聞』と『日本経済新聞』の原発関連記事,その好対照ぶりを確認

 1)『日本経済新聞』は原発推進派であるから,このように希望・期待をもたせたいかのように記事を書くのが常習。

少しでも早く取り出したいということだが
「そうは問屋が卸さないで来た」のが東電福島第1原発事故現場における実際の進捗状況

 2)『毎日新聞』は原発廃絶派であるから,こういう社説を書く。

見通しすら立たない状況は
事実として厳然たる現実的な難題

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 以下はアマゾン通販の案内を借りた参考文献の推挙。クリックは左側の住所で。

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https://amzn.to/3PhzCkA ⇒ 核兵器と原発 日本が抱える「核」のジレンマ (講談社現代新書) 新書 – 2017/12/14,鈴木 達治郎 (著)

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