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岸田文雄は原発問題にまともな認識をもたない愚相であるからこそ「再稼働と新増設」などという末恐ろしいエネルギー「感」を吐いていた-原発狂国論への「補遺」-

 ※-0 前置き

 本記述は,2024年5月17日と18日に公表したつぎの2稿を受けている内容である。できればなるべく,こちらをさきに読んでもらうことを期待したい。

 

 ※-1 本記述の問題意識-腐敗・堕落した日本政治,その救いようのなさには絶望的にならざるをえないが……

 この記述は(再言するが),2024年5月17日・18日にさきに公表してあった記述,「 原発狂国日本がこんどはリニア中央新幹線にくわえ,AI技術電力需要にも備えるためにも,原発の再稼働・新増設が必要だと「地震大国の立場」からいいだした暗愚で危険な電源観(1)(2)」を受けたかたちで,本日(5月20日)においてなされている。

 というような,前後関係があったので,先行して公表さえていたその2編のリンク先住所を,前段に指示しておいた。

 --さて,「日本政界・勘違い3人! 統一教会・裏金脱税の果てに東京都連会長続投のNo.2萩生田。NO.3維新の馬場代表。そしてNo.1は? 元朝日新聞・記者佐藤 章さんと一月万冊」という『一月万冊』のユーチューブ動画サイト(次記のリンク先・住所)は,
 
 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=6cvDyM-Yudc

 その「日本政界勘違い政治屋のNo.1」は,なんといっても岸田文雄という現総理大臣だと,躊躇することなく断定しつつ,現状における日本の政界の体たらくぶり(くだらさなさ)を分析・批判・解説していた。

 その岸田文雄が,2021年10月4日に菅 義偉のあとを襲ってだが,この国の首相になっていた。ところが,この「世襲3代目の政治屋」のやることなすことといったら,政治家として評点をくわえる以前に,その点数など与える必要など全然なかった。

 ともかくも,そのトンチンカンな政治屋ぶりであった事実だけならば,これまで2年と7ヵ月もさらけ出しつづけてきた。彼流になるその「トンデモな為政」ぶりが〈堅持〉されてきたゆえ,国民生活への害悪だけがはなはだしく広がるばかりになっていた。

 21世紀における日本政治は,あの小泉純一郎が自民党をぶっこわすといって首相をやりはじめたが,竹中平蔵を手先に使い,本当にさんざんに壊した相手は,実はその自民党じたいではなくして日本国の「全体」であった。

 民主党はその後,2009年8月から2012年12月まで3年ほど,政権を保持していたものの,国家官僚(売国的な彼ら・彼女ら)や,自民党寄りの,これまた対米従属精神を横溢させていた政治家たちが,旧来どおりの自民党流反動的な悪政に舵を戻してしまった。

 東アジア共同体論の構想を披瀝した民主党の初代首相:鳩山由紀夫は,アメリカ(ジャンパンハンドラーズがその手先)からの支援を受けた「日本人政治屋」や「外務省のアメリカン・スクール」,そして「財界筋から謀略的な政治妨害」を,陰に陽にひどく受けてきた。その種の事実は,いまとなっては公然の秘密どころか,当然でもあったかのように認識されていたゆえ,この国にいおけるそのタチの悪い政治体質は,あたかも不治の病であったかのように映っている。

 それはともかく,安倍晋三が第2次政権に返り咲いてからというもの,この日本国は下り坂一途で,アホノミクスという子供じみた標語をかかげていた点はともかくも,まるで坂道を転がり落ちるかのように国力・民力を低下させてきた。いまでは「衰退途上国」そのものになってしまった日本の国情はとみると,かつて「ジャパン as No.1」とまで称賛されていた面影など,もはや幻影としてしか思い出せないような「21世紀の原風景」が,目前に展開されているだけである。

 貧乏な日本国民たちが大勢いるこの「日本」国内になった。それとは対照的にあちらこちらの観光地では「外国人観光客のふくころ」を目当てに商売する日本人たちが,品物や食物を売買する現場においてなれば,「外国人と日本人」とのあいだで〈差別的な二重価格〉まで設けて商売をする現象が発生している。

 要は,日本人たちの日常生活:人びとの消費生活の態様が,その実質的な中身に関してみると,これがひどく落ちぼれてきた。2024年の「春闘」では大手企業の恵まれたところでは,5~6%の賃上げがあったとはいえ,労働界の全容における「実質賃金の十分な上げ」を意味しうる結果とは無縁であった。

 それよりも,そのほかの大多数派になる一般労働者,とくに非正規労働者群にいたっては「弱り目に祟り目」でしかないインフレが,いよいよ顕著に現象しだしていた日本経済の実勢のなかでは,それこそ食うや食わずの貧困層をさらに増やす窮状が,さらにじわじわと浸透している。

 平均的な話題になるが,人びとの平均的な蓄えでみるに,2000万円の預貯金を確保できている人びとの比率が3割を割ったという報道がこの5月中にはあった。たとえば『朝日新聞』はこう報じていた。

    ★ 勤労者世帯の平均貯蓄,5年ぶり減少                         負債は初の1千万円超え ★
 =『朝日新聞』2024年5月17日 19時00分,
   https://www.asahi.com/articles/ASS5K327WS5KULFA01CM.html

 総務省が〔5月〕17日に発表した2023年の家計調査報告によると,2人以上の勤労者世帯の平均貯蓄額(生命保険と有価証券を含む)は前年より2.3%減り,1474万円になった。減少は5年ぶり。物価が上がって生活費などがかさんだ影響とみられる。

 貯蓄の4割弱を占める普通預金などの通貨性預貯金と,株や投資信託といった有価証券は増えた。だが,定期預金などの定期性預貯金と,生命保険が減った。

 無職と自営業をくわえた2人以上の全世帯では,貯蓄額の平均は 0.2%増の1904万円となり,過去最高を更新した。ただ,約3分の2の世帯が平均を下回っており,一部の富裕層が平均を押し上げている。

 一方,負債額の平均は2人以上の勤労者世帯で 14.8%増の1009万円となり,統計のある2002年以降で初めて1千万円を超えた。全世帯では 13.7%増の655万円。いずれも住宅・土地のための負債が9割超を占めた。

平均貯蓄減少

 岸田文雄が2021年10月から首相として言動してきた様子は,これをいままで観察してみたかぎり,この「世襲3代目の政治屋」は「一般庶民の生活実態を一国の最高指導者の立場からまったく理解できていない」し,そもそも「理解しようともしていない」,つまり,完全に「丸出だめ夫」状態の総理大臣であった。

 ただ,より彼のそうした人材としての問題性そのものがどだい,当人にはその自覚が全然なかったとなれば,この点から噴出していた困難においてこそまさしく,「世襲3代目の政治屋」のダメさかげんがフルスロット(絶好調!という意味だが)で発散させられてきたことになる。

 参考にまでいえば,安倍晋三以降の自民党政権は,つぎのようにほぼ時系列に把握できる〔こじつけられるかもしれない〕

 ⇒ 安倍晋三 --落第首相のダメ押し的見本として,弁証法的に「正」

 ⇒ 菅 義偉 --基本は貧相な精神の持ち主として,同じく「反」

 ⇒ 岸田文雄 --「世襲3代目の政治屋」であり,完全なる非常識の手合いの1人として,同じく「合」

安倍晋三・菅 義偉・岸田文雄の弁証法的位置づけ

 そのようにだが,いちおう論理学的な理解を,だが屁理屈的に試みているうちに,この日本国は “All is over” も同然,という領域に突入したごとき気分に落ちこむ。こうなると,国もはや全部おしまいになったのか,という感じさえ抱く。

 きゃつらは全員,亡国・国辱・国賊の首相であった。いまごろこのように指弾したところで「時にすでに遅し」になったが,それでも「遅ればせながらであっても,きちんとそう認識しておく」ことは,けっして今後のムダにはなるまい。

 日本の国民・市民・庶民たちは,安倍晋三らのあの実にくだらなかった為政のために,この国がいま完全に崩壊過程にはまりこんでいる現状をなんとかして変えたいのであれば,いったいどのような行動が必要かについては,あらためて示唆されるまでもなく承知であると思いたい。だが,この点に関する理解がまだ足りないようである。


 ※-2 2024年5月の世論調査-『時事通信』と『毎日新聞』があいからずひどい結果-

 1)『時事通信』の 2024年5月世論調査

 時事通信社の5月世論調査によると,岸田文雄首相に自民党総裁任期が切れる9月以降も続けてほしいとの回答はわずか6.0%だった。政権の枠組みに関しても,「政権交代」が「自民党中心の政権継続」を上回った。岸田首相が今国会中(会期末は6月23日)に衆院を解散しようがしまいが,総裁再選が困難なことを調査結果が示している。

岸田文雄は止めどきをつかめていないらしい
「異次元の鈍感力」?

 この『時事通信』の5月世論調査は,つぎの3点をキーワードとしてかかげていた。この3点につづいて報道された内容は,画像資料にしてつぎに引用しておきたい。

  ◇ 自民支持層でも2割届かず
  ◇ 二つのシナリオ,すでに破綻
  ◇ 野党の選挙協力,45%が支持

岸田文雄はともかく首相に在任する時間を延ばしたいだけ

 岸田文雄は首相になったとき,小学生が「なぜ総理大臣になりたかったのか」と訊かれたさい,総理大臣としての「人事を采配できるからだ」ということを,本当に馬鹿正直に答えていた。つまり彼は,まったくにそのとおりに自分が「矮小で陋劣な」「世襲3代目の政治屋」でしかない「人物」であった事実を,すすんで自白していた。

 補注)岸田文雄のその「答え」は意訳して書いていたが,より正確にいうと「日本で一番権限の大きい人なので」とのことであった。

 2)『毎日新聞』2024年5月世論調査

 2024年5月19日に報道されたこの記事の見出しは「岸田内閣支持率20% 11カ月連続30%割れ 毎日新聞世論調査」であった。本文を引用する。

 毎日新聞は〔5月〕18,19の両日,全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は20%で,4月20,21日実施の前回調査(22%)より2ポイント減の横ばい。不支持率は前回調査と同じ74%だった。支持率が30%を下回るのは11カ月連続。

 昨〔2023〕年11月以降,自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題が深刻化。衆参両院で政治倫理審査会が開かれ,派閥幹部らが弁明するなどしたが,問題の実態解明は進んでいない。

 今年2月には支持率が14%にまで下落した。岸田文雄首相(自民党総裁)は,今国会での政治資金規正法改正をめざすなど政治の信頼回復に努めているが、厳しい政権運営が続いている。

『毎日新聞』2024年5月19日

 こんなそんな世論調査での結果であったが,岸田文雄という「世襲3代目の政治屋」の首相は,それでもともかくできるだけ長く「自分が総理大臣の椅子」に座っていられるかについてにしか関心がなかった。あとは万事に関してオボロの理解しかもちあわせなかった,いわば,もとから脳天気もきわまっていた御仁そのものであった。


 ※-3 岸田文雄は2022年8月下旬に「原発の再稼働と新増設」を積極的に展開するなどと途方もない「地震大国」における狂気の沙汰と受けられるほかない「エネルギー政策」に関した無知三昧の発想を語っていた

 1)『日本経済新聞』2024年5月16日朝刊に報道された「電源構成,脱炭素急ぐ」という見出しの記事

 a) この記事の現物を紹介しておく,活字が小さい写りみにくいが,クリックすれば拡大できる。ともかくこの日経の脱炭素関連の報道となると,二言目には「原発の必要,不可避性」であった。

 まるで「原発依存症」にはまったかのような日本政府経済産業省エネルギー資源庁の立場を,いつもかわらずに大事にしつつ代弁・擁護・推進するのが,この日経の基本的な立場であった。

『日本経済新聞』2024年5月16日

 この記事じたいに関する批評的な言及は後段にまわすとして,さきにこういう議論をしておきたい。

 原発はそもそも「熱交換比率が33%しか」ない。しかも操業度(稼働率)の運用において小回りがほとんど利かず,どだい再生可能エネルギーによる電力生産を増大させるため条件などは全面的に妨害せざるをえず,つまり基本的には否定せざるをえないのが,原発(原子力)の特性であった。

 その原発が仮にでも再び,チェルノブイリ原発事故や東電福島第1原発事故並み大事故を惹起させたぶんには,この宇宙船地球号から全人類が脱出を余儀なくされるような事態が起きないとはかぎらない。絶対にそうならないと確証できる原子力工学の専門家はいるか? 

 以前,原発が「安全・安心・安価」だという大ウソがまことしやかに提唱され,かつまた「安全神話」までついでにでっちあげられたのは,その標語じたいがもともと嘘っぱちであったからに過ぎない。人間があつかう技術に関して,〈絶対というモノ:基準・前提〉というものが「ありうるわけなど」,もとよりなかった。

 しかし,再びこの地球上において原発の大事故がなんどが起きることになったら,そのときは事後に多分,「猿の惑星」化したごときこの地球だけが残されるかもしれない。そのように予想したからといって夢想が過ぎると笑う人は笑えばよい。

 チェルノブイリ原発事故が起きたとき,日本の原子力工学たちはなんといったか? まさか忘れたわけではあるまい。阪神・淡路大震災のときに市内を走る高速道路の高架橋桁が横倒しになった。ところが,それ以前にアメリカのサンフランシスコで起きた大地震を受けて日本の関係者は,こういっていたではないか。

 サンフランシスコでは,1989年にロマプリータ地震が発生し,1994年にロサンゼルス・ノースリッジ地震が発生していた。両地震ではベイブリッジ損壊や道路崩壊が注目された。

 だが,その時日本から調査にいった建設省の関係者は「日本の道路や橋は関東大震災にも耐えることになっているから,アメリカのような被害は発生しない」と言明した。

 しかし,1995年の阪神・淡路大震災では根拠のない安全神話とともに阪神高速道路などが一瞬にして崩壊した。時代が変わっても「自分だけは大丈夫」と思いたい気持ちが,防災対策を怠り,形骸化させ,国民の防災意識低下を招いている。

 註記)「サンフランシスコ地震の教訓」『防災システム研究所・公式ホームページ』https://www.bo-sai.co.jp/sub11.html,2024年5月20日 閲覧・参照。

アイゼン神話の虚構性

 原発の問題をめぐってとなると,目先のエネルギー需要に関してだけ,ただ無条件に,原子力エネルギーのことばかりに関心を向けて説くだけで,旧ソ連(現・ウクライナ)やこの日本で「人間が発生させてしまった原発大事故」に対する反省の色などない皆目ないだけでなく,その恐怖などについてもなんとも思わない(思いたくない)連中が,まだ世界中に大勢いる。

 日本もその驥尾に連なっている一国であったが,けっして忘れるわけにはいかないはずだったはず出来事は,すなわち,原発そのものを恐怖の装置・機械に豹変させた「大事故としての東電福島第1原発事故」は,東日本大震災を原因・撃鉄にして発生した事実であったのである。

 b) 隣国韓国にも原発は,その設置数を国土面積あたりで計算すると,つぎのように説明されている密度になっていた。時期は2016年の話だが,基本は現在にも通用する説明であり,基数そのものの計算ではなく,「周辺人口と発電量」比を尺度とした説明がなされていた。

    ◆ 韓国の原発は密集度世界1位,                          古里原発の周辺人口は福島の22倍 ◆  
 
=『HANKYOUREH ハンギョレ』2016年9月19日,
          https://japan.hani.co.kr/arti/politics/25186.html

 世界で原発は30カ国189団地448基が運営されている。〔2016年9月〕13日,原子力安全委員会が2014年に国会に提出した資料「原発密集度国際比較」によると,韓国は国土面積9万9720平方キロメートルに,8万721メガワットの発電容量の原発を稼動しており,密集度が0.207だった。

 原発を10基以上保有している国のなかでもっとも高い。2位の日本は0.112で韓国の半分の水準だ。

 原発100基を運営し,もっとも多くの原発を保有する米国も密集度は0.01であり,韓国の20分の1に過ぎない。

 この比較を進めていた当時,韓国は原発23基を運営中だったが,現在は25基に増え,密集度は 0.282(今〔2016〕年6月基準。エネルギー正義行動分析)となり,より高くなった。

『HANKYOUREH ハンギョレ』2016年9月19日

 しかし,韓国では日本のような「地震大国」ではない。同国における地震について基本的には,こう説明されている。

 韓国では被害を起こす地震は少ないものの,年間平均48回の中小規模地震が発生しており,そのなかマグニチュード3以上の地震は10回程度です。

 1978年以降2020年12月現在,マグニチュード5以上の地震は10回発生しました。 期間中,最大規模の地震は2016年9月12日慶州地域で発生したマグニチュード5.8の地震でした。

註記)「地震活動」『〔韓国の〕気象庁』https://www.weather.go.kr/njpn/earthquake/earthquake-trends.do

韓国の地震

 さきの『HANKYOUREH ハンギョレ』の記事のなかには,つぎの図解が記事の途中に挿入されていた。

韓国に断層はある-特別な地質の問題としてではなくて-

 c) 韓国は日本にくらべれば地理上の地質的な組成はだいぶ異なり,地震は非常に少ない地域である。かといって,それでも地震の発生による原発事故発生がまったくないとは,説明されていない。

 ましてや日本は「地震大国」である。この事実はこの国:日本じたいが当面する「栄枯盛衰それじたいのなりゆき」とはなんら関連性がなく,地球環境学的な観点に照らしていえば,万年単位で完全に妥当する真理であった。

 ここで,a) で挙げた日経の記事に関してだが,このなかにかかげられていた統計図表のうち,経済産業省エネルギー資源庁が以前から目標にしていた「2030年度時点における電源構成比率」の問題を吟味してみたい。

 なかでもつぎの「エネルギー基本計画で2040年度の電源構成の見直しを求める」という,これは環境省作成の図表であるが,その中身として表示されているのは比率(%)であった。

この図表は比率だけの表記であった
電力の生産量に「関連する図表」もつぎに挙げておく

2040年度は2022年度より「図表(太い棒線)の棒線」が
少し高く表記されている点に注意したい

 2011年「3月11日」の東電福島第1原発事故発生以降は基本的に,日本における電力需給関係はなだらかに減少してきた。それは総需要の減少傾向に表現されており,この傾向のなかでの「省エネの趨勢」も,その減少ぶりに大きく影響してきた要因であった。

 しかし,このところ脱炭素の標語(かけ声)のもと,電源としてはもっとも危険かつ有害である原子力の比率を現状の1桁台から2桁台の「20~22%」にまで上げたいとする経済産業省(エネルギー資源庁)のもくろみ:野望は,以前から消えることなく継続して執拗に追求されてきた。

 d) だから,この※-3で参照する日経の記事は執拗に,この記事の前文ではまず,こう強説していた。

 経済産業省は2024年度中にまとめる次期エネルギー基本計画(エネ基)で脱炭素社会の実現を急ぐ。現行計画の期限より10年先となる2040年度の電源構成目標を策定する。2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標の達成へ再生可能エネルギーと原子力の活用を促す。新計画は脱炭素への姿勢を示すものとなる。

 エネ基は国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示すもので,3年に1度改定する。斎藤健経産相は次期計画の議論を始めた〔5月〕15日の有識者会議で「化石燃料の輸入金額は2022年に34兆円に上昇し,輸出で稼いだ国富を化石燃料輸入ですべてて失っている」と指摘。脱炭素の加速が急務だと訴えた。

日経の主張

 「脱炭素」すなわち「化石燃料からの脱却」から「原発比率の拡大」へという論理は,再生可能エネルギーと原子力とをそれこそ「水と油」を混ぜあわせようとする要領でもって,無理やりに主張されつづけてきた。

 再生可能エネルギーの導入・利用・増大は,それなりにまた問題や難点がないわけでなく,自然破壊を派生させている副次的だが重大な問題をかかえて進行中である。かといって原発に対して日経の立場が力説するがごとき発想は,実は,この原発に固有である弊害を完全に無視した立場,その電力イデオロギーに染まっていた。

 e) 日本は地震大国だからよりいっそう問題は明白であり,そして東電福島第1原発事故という痛い目に遭わされてもきたのだから,もう原発は全廃して再生可能エネルギーを中心に,これに向けて電力事情(電源構成)を10年単位で本格的に推移させていくのでなくて,総電力生産量の2割(以上)も原発に依存するといった「3・11」以来,一度もなかった高水準にまで戻そうとする企図(狙い)は,いうなれば「歴史の歯車」を逆転させようとする「反動のエネルギー思想」であった。

 そのエネルギー路線の方途は,ここではっきり断定しておくが,エネルギー路線としては完全な誤りであった。先日(2024年5月18日)の本ブログ内の記述では,つぎのオオナマズを描いた絵画を紹介する日経夕刊・文化欄の寄稿を紹介してあった。ここでも再度かかげておくことにしたい。

【参考画像】 -オオナマズの想像図-

この程度の大きさのナマズならたいした地震は起きない?

 この日経・文化欄の記事は,沖田瑞穂が「災禍と神話」という大題名のもと,「大地ささえる巨人・英雄・動物 地震起こす聖なる存在」と題して寄稿していた。本日のこの記述としては,その前文に当たる段落のみ活字として紹介しておこう。

 日本は地震の多い国であって,つねにその脅威にさらされている。2024年1月1日に起こった能登半島の地震は記憶に新しい。日常を奪われた人びと々がいまだ苦しみのただ中にある。

 私自身,2つの大きな地震を体験した。

 阪神大震災の時には神戸に住んでいた。この巨大な地震の揺れは記憶から消えることがない。とくに地鳴りが恐ろしかった。地鳴りがして,その少し後で強烈な揺れが来る。それが何度も繰り返された。この世の終わり,と覚悟したものだった。

 東日本大震災の時は神奈川に住んでいて,揺れじたいはそれほどでもなかったものの,交通機関が混乱し,物流が途絶え,非日常が続いた。

沖田瑞穂の大地震体験

 オオナマズが地震の原因だと思う人間など誰1人いない現代である。東日本大震災や今年の元日発生した能登半島地震は,科学的にはけっして予測できない大地震ではなかったものの,人間の側の対処力の貧弱さのせいで,人びとやその住む地域に甚大な損害がもたらされていた。

 f) 東電福島第1原発事故は要するに,日本にはオオナマズに相当する地震の原因となる〈ナニカ〉はありえない,あるいはそれが何匹かいたとしても,たいしたことにはなりえない,などとそれこそ高をくくっていた。

 とりわけ「経済産業省エネルギー資源庁」や,超巨大地震の発生によって必らず押し寄せてくる大津波の発生を甘くみくだした東電の最高経営陣のせいで,東電福島第1原発事故が発生してしまい,その甚大なる被害を発生ささせたと断定してよい。

 ここでは,以上までの議論をさらに掘り下げて考えるために東電の柏崎刈羽原発をめぐる近況を詮議した『毎日新聞』2024年5月16日朝刊11面「オピニホン」の「〈論+〉柏崎刈羽原発の再稼働 新潟だけの問題ではない 不祥事の根絶てるか 複合災害の不安強く」と題した解説記事を,これも活字で引用する長くなるので,画僧資料として紹介しておく。

『毎日新聞』2024年5月16日朝刊11面「オピニホン」

 最後に一言。大手電力会社の「現状における財務諸表上の数値」はさておき,日本の原発事業はすでに実質破綻している。原発を再稼働できている電力会社はただし,自社の採算が当面回復されており,たいそう喜んでいる。

 しかし,とんでもない。これからごく近い未来には,つぎのごとき大問題が必然的に「電力会社の経営に財務的な困難」としてもたされる,その難関として必らず現象してくるのである。それは『廃炉会計の問題次元』における諸課題の登場を意味していた。

 現状における原発会計は,「それこそ稼働しながら」「埋没原価や社会原価を大量に」,外部経済に向けて吐き出しつづけている原発が,今後もさらにその廃炉会計の問題次元に搬入させることになるほかない,いいかえれば「さらなる収益力の獲得が皆無となったのち経費だけが莫大に発生していく廃炉工程の技術問題」を,すでに覚悟させられるほかない事態を当然に迎えていく,という「厳然たる事実」に表現されている。

 以上のごとき本ブログ筆者の見解が理解できないとか,そのような心配はオマエ1人だけの杞憂だとか断言できる人は,できたら,つぎの著作に目を通してからも同じようにそういえるかどうかである。

 この種を本を読んだら,とくに会計学や経営学,経済学にくわしくない人であっても,原発のこれからにおそらく,「とてつもない恐怖とともに深い憂慮」をいだかざるをえなくなる。

 金森絵里『原子力発電の会計学』中央経済社,2022年3月。

 金森絵里『原子力発電と会計制度』中央経済社,2016年3月。


 -金森絵里・画像資料-

だいぶ前に紹介してあった画像資料の再掲

 だから,本日,2024年5月20日の『毎日新聞』朝刊「社説」のつぎのごとき原発批判論であっても,まだ決定的に足りない重要な論点が残していた。

核燃料サイクル問題も不調であった日本の実績
ここにくわえておくべき論点であった

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