見出し画像

知性が高くない人の職業?

 4月1日に県庁で行われた訓示で知事は「毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいは物を作ったりとかということと違ってですね、基本的にその皆様方は、頭脳、知性の高い方たちです。」と述べ、職業差別ではないかとの批判があった。その件についての釈明の中で知事は6月に辞職すると述べた(「6月議会をもって辞する」“職業差別”発言の静岡県・川勝平太知事が辞意表明 物議を醸した「訓示」の詳細は… | TBS NEWS DIG (1ページ))。

 知事は、職業差別ではないとした上で「農業をやっているとか、商売をされているとか、あるいは物づくりをされている方とは違う仕事ですから、従って知性をしっかり磨いてくださいと、そういう意味のことを言った訳です。」と述べている。

 知事は全く気が付いていないようだが、釈明の中でも職業差別を繰り返している。「農業をやっているとか、商売をされているとか、あるいは物づくりをされている方とは違う仕事ですから」と述べているが、農業、商業、製造業等の民間のビジネスにおいては、知性は不要なのだろうか。
 知性とは、「物事を知り、考え、判断する能力」だ(知性(ちせい)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書)。果たして、知性が必要ない職業というのはあるのだろうか。

 知事の発言の問題は、知性の高い人は民間のビジネスの世界にはいないと思っていることだ。

 しかし、民間は厳しい競争があるので、常に創意工夫をしなければ生き残れない。つまり、知性を磨く必要性は非常に高い。

 他方、公務員の場合、市民の厳しい批判にさらされることが職務の公正につながる。

 人の中に能力の高い人と低い人がいて高い人が低い人を支配(統治)するという考え方は、社会的地位の高い人にも浸透していて人権の理解を妨げている。

 知事は、「ここまでこういう風潮が充満していることに対しては憂いをもっています」と述べている。本当に自分の発言のどこが問題なのかわかっていないのだろう。それゆえ、自分以外の誰かが悪いとしか思えないのだろう。

 こうした問題があると、今の時代に合っていない、世帯交代すべき、といった意見が出るが、そう簡単ではない。自民党青年局の懇親会を見ればわかるが、中堅や若手だからといって感覚が新しいわけではない。では、もっと若い世代ならどうか。神戸大学非公認サークルの迷惑行為(【速報】神戸大学 サークル迷惑行為を謝罪 合宿先の旅館で天井など破壊 (tv-asahi.co.jp))を見ればわかるが、自民党の青年局のしていることよりひどい。同大学に合格するくらいだから教科の理解は正確だろうが、それだけでは「学んだ」とはいえない(4.27通知|precious time (note.com))。もっとも、同大学の学生がすべて同様の迷惑行為を行っているとは思えない。むしろ、ほんの一部だろう。重要なのは、世代、社会的地位等によって差が出るわけではないということだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?