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日記2023/10/23今やひとくくりではない欧州危機の問題児たち

ギリシャの格付けが投資適格級へと格上げされたというニュースが目に入った。欧州の問題児のギリシャも今や投資適格級だ。かつてEU加盟を目指すために、ギリシャ政府統計部は高価格帯のトマトを物価指数から除外したり、レモンとオレンジを巧妙に入れ替えるなどの手口を使って、意図的に物価指数を低く操作していたことで悪名高い。多くの国はサブプライム関連の一連の危機で、銀行により政府が窮地に追い込まれたが、ギリシャの場合は不埒で猥褻な政府が銀行を窮地に追い込んだ稀有な例だ。

ギリシャとイタリアは欧州危機を引き起こしたEUの問題児というイメージがあるが、現状はギリシャとイタリアでは大きく経済状況が変わっている。ギリシャは観光産業で儲かっており、経済成長もベンチマークであるドイツと比べても良好で、財政健全化も進んでいる。その結果が今回の格上げだ。逆にイタリアは財政赤字が拡大しており、政治もかなり不安定だ。欧州危機時に「do whatever it takes to save the euro(ユーロの破綻を防ぐために必要なことは何でもする)」と宣言した、欧州中央銀行の総裁でもあった前イタリア首相のマリオ・ドラギもイタリアの経済を復活させることは難しかった。

不動産バブルやアングロアイリッシュ銀行問題が深刻だったアイルランドも、今では経済は好調だ。欧州危機時に債券市場を騒がせた欧州の問題児たちも今やひとくくりではない。


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