2023年12月24日(日)詩を書くことが苦しいと感じているのなら

詩を書くことが苦しい、という人がいます。その気持ち、ぼくにもよくわかります。ぼくもかつてはそうだったから。

なんで苦しいかというと、もちろん人によって違うでしょうが、ぼくの場合その頃は、詩を書いている、というよりも、詩を書かされている、という気持ちがしていました。詩を書かなければならないのだと、いつも焦っていました。

でも、あとで考えれば、勝手に焦っていたのです。だれも僕に、次から次へ詩を書けと命じてなんかいなかったのです。

たぶんその頃は、自分には詩を書く才能があるのだと思い込み、自分はなにものかであると信じたかったのだと思います。せめて詩だけはきちんとやり遂げたいという、追い込まれた人の望みだったのだと思います。

けれど、そんなふうに苦しんで、焦って書いたものは、どれも薄っぺらな詩でした。

詩を書く才能があるとか、ないとか、そんなことはどうでもいいのだと、気がついたのは、それから何十年も経ったあとでした。

ただ自分らしい詩が書ければそれでいいのだと、やっとわかりました。そして「自分らしい詩」とは、ひとりにもどって、自分を焦らせず、好きな時に、好きなことを、好きなふうに書くという、いたって当たり前のことだったのです。

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