2023年12月23日(土)くだらないものを読みやがって

土曜日の朝だ。昨日はららぽーとにクリスマスの買い物へ行ってきた。買い物途中で友人からメールが来た。図書新聞のことを教えてくれていた。図書新聞には、ぼくは粕谷栄市さんの詩集『楽園』(思潮社)の書評を書いていた。

掲載は来年だと思っていたから嬉しかった。このところちょっと元気がなかったけど、少し立ち直った。どこかに「まします」ものからの、何よりものクリスマスプレゼントだ。

ところで、ぼくは、詩はそれぞれの人がそれぞれの好みで、自由に読み、書けるものだと思っている。

話は変わるけど、たまに思い出すことがある。ぼくが勤め人だった頃、会社からの帰りだったと思うけど、菊名駅で電車を待っていた。ぼくの前に若い女性がいた。その女性に向かって、ぼくの横にいたおじさんが、突然言った。

「くだらないものを読みやがって」

結構大きくてハッキリとした声だった。むろんぼくにも聞こえた。聞こえてから、その女性がなにか週刊誌のようなものを読んでいることに気づいた。言われた女性は一瞬驚いて、それから「関係ないでしょ」と強く言い返した。その通りだとぼくは思った。そのあとちょっとした言い合いがあったと思うけど、忘れた。

言うまでもなく、その女性は自分の好きなものを読んでいただけのことだ。だれにも迷惑はかけていない。人からその好みをとやかく言われる筋合いはない。

だからぼくは今日も、好きな詩を読む。幸い、知らないおじさんが部屋に入ってきて、わきから覗いて、「くだらない詩を読みやがって」と言われる心配はない。

むしろ心配は、ぼくが知らず知らずのうちに、そのおじさんのようになっていないかということだ。

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