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#佐藤鬼房

俳句を読む 42 佐藤鬼房 糸電話ほどの小さな春を待つ

糸電話ほどの小さな春を待つ 佐藤鬼房

てのひらで囲いたくなるような句です。どこか、夏目漱石の「菫程な小さき人に生れたし」という句を思い出させます。どちらも「小さい」という、か弱くも守りたくなるような形容詞に、「ほど」という語をつけています。この「ほど」が、その本来の意味を越えて、「小さい」ことをやさしく強調する役目をしています。さて、今年の冬はいろいろなことがありましたが、早いもので本日は立春に

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