銀行との付き合い方、銀行員の使い方　＜取引編＞

銀行との付き合い方において財務内容以上に大事なものが取引のやり方です。

＜メインバンクについて＞

以前と比べて「メインバンク」の意味合いが薄くなってきており、「融資はこの銀行、支払い機能はこの銀行、個人取引はこの銀行」と用途に分けて銀行を分ける事が一般的になってきております。
ただ、地方金融機関においてはいまだ「メインバンク」という言葉が強い意味を持っております。

銀行としても「多少難しい案件だが当行メイン先であり取り組むべき」との判断があったり、保証協会でも「メインバンクからの相談なので保証応諾する」と回答したり、政府系金融機関においても「メイン行も支援体制ならば、協調支援を受ける」等、様々な場面で「メインバンクがどこか？」が問われることがあります。

一般的に融資残高が多い金融機関をメインバンクとしますが、上にも書いた通り地方の金融機関においては融資以外の取引も自行に取り込みたいと強く思っております。
むしろ融資のみ自行メインで他の取引は他行メインの先については「非協力的な先」などと思われてマイナス効果だったりします。
全てを1行に集約する必要はないのですが、決算期の預金残高はメイン行が一番多くなるように調整する等していれば「非協力的」などと変なレッテルを張られることが少なくなります。

＜担当者について＞

銀行との一番の接点が担当者（いわゆる渉外係）です。担当者も人間ですので、正直な話能力による当たり外れはあります。外れ担当者になれば、話は嚙み合いにくい、融資は通りにくい（というよりも稟議を書いてくれない）等、良いことはありません。
ただ、言えることは「どんなに外れであっても担当者は立てるべき」ということです。

担当者を飛ばして上席に話をすることは意外と簡単です。銀行という組織はお客様からの苦情をとにかく嫌いますので、ちょっとでもそういう雰囲気になればすぐに上席が飛んで出てきます。ただ一回そういう事が起きたら間違いなく担当者はその取引先への訪問を減らします。

理由は色々あると思います。
「上席が対応したからもう自分は担当者として対応しなくていい」
「次も何か問題があったら上席に連絡されるかもしれない」
という理由かもしれません。

「あの取引先がめんどくさいことを言ったせいで自分が叱られた」
「あの取引先はもう何もしてくれない」
等という逆恨み的な理由かもしれません。

いずれにせよ、間違いなく訪問頻度が減り、銀行との接点が減ります。そしてその担当者が転勤の時に引継書に「過去に対応不備で苦情あり、対応注意のこと」などと書かれます。下手したら顔を合わせての引継ぎもないかもしれません。

そういう先に対して、何も知らない後任が行くかと言えば答えはNo。前任者との微妙な関係が継続してしまします。そして次の引継ぎの際も「〇〇氏の担当時に苦情あり」と継続して書かれます。

逆に担当者をかわいがったら（not相撲用語）どうなるのか？
引継書には「取引協力的な先。用事がなくても定期的に訪問を行うこと」と書かれます。当然新旧担当者同行での引継もあります。

銀行の引継ぎ期間は大体２,３日なので、事務引継時間も考えれば30社ほどしか同行引継はできません。

この積み重ねの差は後々大きくなります。

ならば具体的に何をすれば担当者は喜ぶのか？

ノルマが色々ありすぎてわかりませんが、僕が経験した項目で言えば、クレジットカード・リース契約等の関連会社系、年金振込・給与振込・積立預金・保険・投資信託・NISA等の個人取引系、小規模企業共済・倒産防止共済の共済系、後は自行や取引先の開催するセミナー参加等の人集め系。
変わり種系で言えば、N〇Kの口座引き落とし（N〇Kからの依頼）、児童手当の振込口座指定、など自分自身でも何の為にやるのかわからないと思うことが多々あります。

当然、これら全部に付き合う必要はありません。ただ、その銀行と今後深く付き合うつもりならば、「やってもいいかな？」と思うことは二つ返事でやってください。担当者はかなり助かります。

そして大事なことが、申込や契約する時期。ベストは「担当者が頼んできたとき」です。

こういった項目ノルマには旬があります。
あるものは期末決算前の3月9月であったり、あるものは期初の4月10月であったり、またあるものは契約は4月10月だとしても3月9月中に確約が欲しかったりとまちまちです。

何度も書きますが、銀行員自身が「なぜやる必要があるのか？」と疑問を持ちながらやっている事ですので、全部に付き合う必要はありません。
そもそもやる必要すらないのですが、だからこそこれをやってあげたら担当者は喜びます。そして協力的な取引先の依頼については優先的に対応したくなるのが人間というものです。

担当者が中々依頼してこないという場合は、こちらから「何か協力できることがあればやりますよ」とまで言ってあげてください。
そこまでする必要はないのですが、だからこそこれをやってあげたら担当者は喜びます（大事な事なので2回目）。

そして一番大事なことは、お願いされたタイミングでこちらもお願いをすること。
ここが一番お願いが通るタイミングです。ここまでやって塩対応なら、潔く他の銀行に取引を移すことも検討しましょう。

財務編はこちらになります。

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