見出し画像

銀行との付き合い方、銀行員の使い方 <財務編>

今日は少し銀行員っぽいことを書いてみたいと思います。

「銀行の担当者が自分の事業を理解してくれない」
「融資の話が思うように進まない」
「担当が会社に訪問してくれない」
「そもそも担当者が誰かわからない」
などなど…

日々、現場の人間として、レベルには大小あれ銀行担当者への種々の不満を感じている事業者は多いと感じております。
こんな不満がないという事業者の方はおそらく、財務内容・取引内容等から銀行にお願いする立場ではなく、銀行からお願いする立場に変わっている方なのかなと考えられます。

ただ、大部分の事業者は銀行に何かしらの依頼(だいたいが融資)を行ったりする必要があると思いますし、我々地域金融機関はそのためにあると思っております。

そんな方にとって、「どうすれば銀行員が自分の思うように動いてくれるのか?」というのは興味があることだと思いますので銀行員の視点として、「こんな事業者だったらうれしい」という事をまとめてみます。

<財務内容について>

まず一番最初に財務内容について、いくら経営者がいい人で「助けたいな」「融資したいな」と思っていても、財務内容が悪い先には貸せませんし、貸すとしても労力がかかります。
そういう先からの融資相談は、融資力の低い担当者にとっては気苦労の種ですので、訪問したくない先に振り分けられ、訪問頻度が減少します。

財務内容を知ったところで急に財務内容を良くすることは出来ませんが、対応の仕方を考える事は出来ます。
事業者としては自分の会社の事業内容だけではなく財務内容も理解した上で、銀行員と会話することが銀行との関係良化の第一歩だと思います。

細かな財務指標に対する説明については、もっと詳しい方々に任せまして、ここでは2つの指標に絞って説明したいと思います。

(1)貸借対照表が債務超過でないこと

債務超過を言葉で説明すると理解しにくくなるので図で説明するとこんな感じです。

どうすれば純資産がマイナスになるかと言えば赤字を出す。しかもただの赤字じゃなくて資本金の額を超えて赤字を出す。

「いや、赤字はいかんでしょ」と思うかもしれませんが、通常の経営をしている企業でも節税対策の名のもとに意外と赤字にしている場合はあります。ただ、節税対策が度を過ぎて債務超過になれば銀行の見方は一気に厳しくなりますので、赤字にするにしても自社の財務内容・純資産額を頭に入れておいてください。

もうすでに債務超過になってしまっている企業はどうすればいいのか?
「決算書は債務超過ですが本当はこれだけ資産があるのです」と銀行員に対して説明してください。
具体的には個人資産(不動産・金融資産)の開示や、実態の法人資産(法人での保険契約等)の開示が挙げられます。

これらの資料を見て銀行員は「会社には資産を残していないけど、個人には十分な資産があるな」とか、「表面上法人の資産は少ないけど、保険解約すれば債務超過解消するぐらいの特別利益が計上されるな」等と考え、「この会社は大丈夫です」と判断してくれます。

決算書以外の資料の開示を嫌がる経営者は多いと思いますが、財務上決算書のみでの説明が難しい場合は、極力開示してください。隠せば隠すほど銀行員は疑いの目で決算書ひいてはその企業を見ます。

(2)債務償還年数が10年以内であること

不動産賃貸業など大口の設備投資が必要な一部の業種に対しては、単純にはあてはまりませんが、どの業種でも債務償還年数という考え方自体は重要です。

債務償還年数の計算方法は銀行によって違いますが、一例としては下の式です。

債務償還年数 = 金融債務 ÷ ( 当期利益 + 減価償却費 )
※当期利益+減価償却費を簡易CF(キャッシュフロー)と呼んだりします。

金融債務から正常運転資金や現預金を引いたり、当期利益ではなく経常利益や営業利益を使ったり、当期利益から一過性の要因を控除したりと色々ありますが、銀行が知りたいのは「借りたお金を返せますか?」ということです。

一方で「借りれるうちに借りれるだけ借りて手元資金を確保しよう」と考える経営者の方も多くいます。
その考え自体は個人的には賛成ですし、自分でもそうするように勧めております。ただ、余分に借入するときも「借入後の債務償還年数はどうなるのだろう?」という事を常に頭に入れておいてください。

債務超過の項目でも書きましたが、度を過ぎた節税対策は債務償還年数を計算する時もマイナスに働きます。

銀行は決して税務署の回し者ではありませんが、銀行にとっての良い決算書を作るには多少の税負担は必要だと思います。


財務以外の取引等のことはこちらの記事にあります。


「面白かった」「ためになった」と思われた方はスキ!を押していただいたり、✕で拡散していただけたらとてもうれしいです!!

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?