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旅の力 寝たきりの母の目標 バリアフリー温泉に入ること

2週間で退院できると言われて行った手術後、まさかの脳梗塞を起こした母。手術後12日目に気管切開になり、人工呼吸器が外れてICUから一般病棟へ。その後も、意識障害20日間。1人看病の私は、何が何だかわからず、怖くて不安で。
そして座ることからのリハビリが始まった。
その時、リハビリの先生から私に対して「娘さんの目標はなんですか?」と聞かれた。
私は「母と温泉に行くことです!」と答えた。
母は大きな声でやっと目が開くレベル。1人で座ることすら出来ない母に対しての目標は温泉♨️
リハビリの先生は、驚きというか、呆れているというか。
この娘この状況で何言ってるの?もっと現実的なことないの??
今から8年前のことであるが、そんな表情であったことを記憶している。
でも娘の私は大真面目な意見。だって楽しいことを目標にしなきゃ。
手術後3ヶ月半で退院した時は、やっと支えて座ることが出来るようになったが、立つことも出来ず、普通の車に乗ることが出来ないので、リフトカーで退院。気管切開はそのまま、そして要介護5。
目標は温泉だったけど、家のお風呂に入ることも出来なかったから、リビングに浴槽がやってくる訪問入浴。お姫様抱っこでその浴槽に入れてもらう。有難いが、母はとても苦痛であった。
その生活が4ヶ月続き、リハビリで立つこと、支えたら歩くことも出来るようになり、目標の温泉旅行に向けて始動!
まずは家のお風呂に、訪問看護の人の介助で入る。そして私が介助する練習。身体を支えるだけでなく、気管切開もある。
散々イメトレして、家のお風呂で実践して、ついに手術から10ヶ月後退院から6ヶ月後、目標である温泉旅行へ、母と私の2人で出かけた。普通なら親戚御一行様で出かけたいところだが、私はワンオペ介護。150センチ、どう考えてもちびっ子💦
目的地は、三重県榊原温泉の湯元榊原館。ここは、バリアフリールームもあり、身体障害者用の貸切温泉もある。
ついに念願の榊原温泉へ

日本三大名泉 榊原温泉
天の原 露天風呂に行くには簡易の昇降機で
榊原温泉湯元榊原館の貸切露天風呂
車輪がついている浴室車椅子
介助しやすい温泉
お部屋の入り口はスロープなので車椅子も大丈夫
部屋のトイレ
お部屋 1つはリクライニングベッド
ダイニングテーブルもあるので部屋食なのが嬉しい。
リクライニングベッド ベッド柵もある
隣には和室。数人は泊まれる

車椅子でも入りやすい貸切温泉、リクライニングベッド、そして夕食朝食共に部屋食というのがこのお宿の決め手。
夕食のお料理はかなり前の旅なのでお肉の写真。
気管切開だってお肉も食べれる。

夕食のすき焼き

朝食も部屋食。バイキングでないのが嬉しい。車椅子の母の分まで取ってくるのはかなり大変だと思うから。

朝食 この旅館には2回行ったが、だいたい同じ感じ。

本来リハビリの最初目的は、本来は立つこと、歩けること、家で生活できることなのかもしれない。でももっと大きな夢であってもいいのではないか。それが病状からしたら突拍子もない、大きすぎる夢であっても。
旅に行けるようになった母は奇跡的な回復なのかもしれない。でもその背景に、温泉に入りたい。旅行に行きたいという気持ちがあったのも大きい。それに向かって、娘の私も1人で温泉の介助ができるように、そして母自身も、湯船に入れるように頑張った。
やっぱり旅の力ってすごい。

退院して間もなく8年になる。この旅行に行った時は要介護5であったのが、現在は要介護3。旅はいつも目標だった。バリアフリー旅行は、ネット情報だけでなく、電話確認も忘れない。
だって失敗はよくないから。次の旅行に向けていいイメージで終わらないと。
でもやっぱり付き添う私は大変。母の状況を知っている人たちは、「よく旅行に連れて行けるね。しかも1人で」と言う。だって私しかいないんだもん。それに楽しまなきゃ!
私の介護のモットーは、ほんの小さなことでも楽しむこと💞旅行はそれが一番実現できます。

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